環境省が、5 月2 0 日付けで都道府県などあてに通知した
「廃プラスチック類等に係る処理の円滑化等について」環境省のサイトでも公表
第八「産業廃棄物に該当する廃プラスチック類の一般廃棄物処理施設における処理」で、、市町村は、いわゆる併せ産廃で処理できるので、、、、緊急避難措置として、必要な間、産業廃棄物に該当する廃プラスチック類を受入れて処理することについて、積極的に検討されたいとしている。また、受入れを実施する場合、循環型社会形成推進交付金、廃棄物処理施設整備交付金、二酸化炭素排出抑制対策事業費交付金(先進的設備導入推進事業)又は廃棄物処理施設整備費補助金の交付を受けて市町村等が整備した一般廃棄物処理施設において産業廃棄物を処理する際の財産処分(目的外使用)の扱いについては、、、と、各種交付金、補助金との抱き合わせでの要請である。3.11の災害廃棄物の広域処理受入要請でもそうであった、、、き
環循適発第1905201 号
環循規発第1905201 号
令和元年5 月2 0 日
各都道府県一般廃棄物行政主管部(局)長 殿
各都道府県・各政令市産業廃棄物行政主管部(局)長 殿
環境省環境再生・資源循環局廃棄物適正処理推進課長
廃棄物規制課長
( 公印省略)
廃棄物行政の推進については、かねてより御尽力、御協力いただいているところである。
さて、産業廃棄物に該当する廃プラスチック類については、年間約700 万トン程度が排出されているところ、平成29 年末の中華人民共和国を始めとする外国政府による使用済プラスチック等の輸入禁止措置以前は、年間約150 万トン程度のプラスチックくずが資源として輸出されていたが、平成30 年の輸出量は約100 万トン程度にとどまっているところである。これらの影響として、国内で処理される廃プラスチック類等の量が増大したことにより、国内の廃棄物処理施設が逼迫し、廃プラスチック類及び関連する廃棄物の処理に支障が生じているとの声が多くの産業廃棄物処理業者(以下「処理業者」という。)から寄せられている。
これまで、環境省においては、廃棄物処理センター等の公共関与の産業廃棄物処理施設での受入促進を依頼しているほか、プラスチックリサイクル設備の導入に対する補助事業等を実施しているところであるが、それでもなお、国内での廃プラスチック類の滞留が解消されず、処理が逼迫している状況である。
こうした状況を踏まえ、下記の事項のとおり、当面の対策について示すこととするので、御協力願うとともに、貴管内の排出事業者及び処理業者への周知及び指導いただくようお願いしたい。
また、下記第八については、各都道府県一般廃棄物担当部局においては、管内市町村及び一部事務組合に周知いただくようお願いしたい。
なお、本通知は、地方自治法(昭和22 年法律第67 号)第245 条の4第1項の規定に基づく技術的な助言であることを申し添える。
記
第一 広域的な処理の円滑化のための手続等の合理化について
従前より、一部の自治体において、事前協議制等により域外からの産業廃棄物の搬入規制を事実上行っている場合が見られるが、これに起因して産業廃棄物の処理が滞留したり、不法投棄等の不適正処理が生じることにより、結果的に生活環境の保全上の重大な支障を生じるおそれがある。このような廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137 号。以下「廃棄物処理法」という。)の趣旨・目的に反し、同法に定められた規制を超える要綱等による運用については、必要な見直しを行うことにより適切に対応されたい旨を通知等により要請してきたところである。
特に廃プラスチック類については、国内における処理が逼迫している状況に鑑み、広域的な処理の円滑化及び不適正処理の防止のため、これらの搬入規制の廃止、緩和を速やかに実施されたいこと。廃止、緩和が困難な場合においては、手続の合理化、迅速化を実施されたいこと。
第二 排出事業者責任の徹底
排出事業者は、廃棄物処理法の規定により、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理をするか、他人に委託する場合には処理業者等の同法において他人の廃棄物を適正に処理することができると認められている者に委託しなければならないとされており、その責任は極めて重いものである。
廃プラスチック類の処理に当たっては、広域的な処理に係る運搬費用の増加や廃プラスチック類の処理に係る中間処理後の二次委託先における処理料金の値上げ等により処理コストが増加傾向にあるものの、処理業者からは、これに対応するための処理料金の値上げについて、排出事業者の理解が得られないとの声も上がっている。
廃棄物処理法第19 条の6の規定において、排出事業者等が当該産業廃棄物の処理に関し適正な対価を支払うことが求められており、委託先の処理業者による不適正処理により生活環境の保全上支障が生じた場合等においては、排出事業者が措置命令の対象となる可能性もあるため、各都道府県・各政令市におかれては、処理業者だけでなく、排出事業者に対しても廃プラスチック類の処理が逼迫していることを周知するとともに、分別の徹底及び適正な対価の支払いを含めた適正処理の推進について指導ありたいこと。
さらに、廃棄物処理法第12 条第7項や第12 条の3第8項などの排出事業者に係る規定が適切に運用されているかを確認し、適正処理が確保されるよう、必要に応じて指導を強化されたいこと。
第三 不法投棄監視強化
環境省において平成30 年8月及び平成31 年2月に各都道府県・各政令市産業廃棄物行政主管部(局)長等に対して行ったアンケート調査では、外国政府の輸入規制等の影響による廃プラスチック類の不法投棄は、当該アンケートに回答いただいた自治体においては確認されていないものの、一部地域において上限超過等の保管基準違反が発生していることや一部処理業者において受入制限が実施されていることから、今後、廃プラスチック類の適正処理に支障が生じたり、不適正処理事案が発生する可能性が強く懸念されているところである。各都道府県・各政令市においては、廃プラスチック類の不法投棄が発生しないよう不法投棄の監視等について、より一層強化するとともに、外国政府による廃棄物の輸入規制の影響等により発生した可能性のある廃プラスチック類の不法投棄等の事案が確認された際には、速やかに環境省に連絡されたいこと。
第四 輸出関係
使用済プラスチックについては、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に判断し、産業廃棄物に該当するものを輸出しようとする事業者は、廃棄物処理法第15 条の4の7で準用する同法第10 条の規定に基づき、環境大臣の確認を受けなければならないことから、これを事業者に対して周知するとともに、環境大臣の確認対象となりうる事業者を発見した場合は、速やかに所管の地方環境事務所に情報提供されたいこと。
第五 使用済電気電子機器関係
使用済電気電子機器を含む金属スクラップ(いわゆる雑品スクラップ)等の外国政府の輸入規制の影響等により、従来、資源として取り扱われていた使用済電気電子機器等が廃棄物となり、不法投棄等の不適正処理がなされる懸念があることから、必要な監視・指導等を徹底されたいこと。また、有害使用済機器についても同様に国内における処理の滞留や放置、火災の発生等も懸念されることから、有害使用済機器保管等届出制度の運用に当たっては、有害使用済機器の保管等に関するガイドライン(平成30 年3月環境省)等を活用いただき、不適正処理等の防止のため、必要な監視・指導等を徹底されたいこと。
また、リチウムイオン電池等、発火のおそれのある異物を含む有害使用済機器又は廃棄物の処理に当たっては、異物の分別・除去を徹底するよう、排出事業者及び処理業者を指導されたいこと。
第六 使用済プラスチックの廃棄物該当性
これまで有価物として輸出されてきた使用済プラスチックについても、外国政府の輸入規制の影響等により搬出先が確保できず、野積みの状態が継続している場合等においては、「行政処分の指針について」(平成30 年3月30 日付け環循規発第1803328 号環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課長通知)に基づき、廃棄物該当性を適正に判断されたいこと。
また、有価物と称して使用済プラスチックを搬入し、プラスチック原料等を製造している事業者がいる場合についても、当該製造工程が廃棄物の処理に当たらないか否かを改めて確認し、適切に対応されたいこと。
第七 補助事業の周知
中華人民共和国等の使用済プラスチック等の輸入禁止措置に対応するとともに、設備の高度化・効率化を通じてプラスチックの国内リサイクル体制を速やかに確保するため、プラスチックの高度なリサイクルに資する設備への補助事業を平成30 年度より大幅に拡充したところである。各都道府県・各政令市においては、プラスチックの処理を行う事業者に対して本制度を周知し、活用を促進されたいこと。
第八 産業廃棄物に該当する廃プラスチック類の一般廃棄物処理施設における処理
廃棄物処理法第11 条2項に規定されているとおり、市町村は、一般廃棄物とあわせて処理することができる産業廃棄物その他市町村が処理することが必要であると認める産業廃棄物の処理をその事務として行うことができる。このことを踏まえ、ごみ焼却施設又は廃プラスチック類の再生施設等を保有する市町村においては、今般の状況に鑑み、当該施設において、緊急避難措置として、必要な間、産業廃棄物に該当する廃プラスチック類を受入れて処理することについて、積極的に検討されたいこと。
受入れを実施する場合、循環型社会形成推進交付金、廃棄物処理施設整備交付金、二酸化炭素排出抑制対策事業費交付金(先進的設備導入推進事業)又は廃棄物処理施設整備費補助金の交付を受けて市町村等が整備した一般廃棄物処理施設において産業廃棄物
を処理する際の財産処分(目的外使用)の扱いについては、「廃棄物処理施設の財産処分について」(平成20 年10 月17 日付け環廃対発第081017003 号。以下「財産処分通知」という。)第2の「3 環境大臣が個別に認める財産処分について」に示しているとおり、所定の要件を満たす場合には国庫納付に関する条件を付さずに承認することとしているので御承知おき願いたい。また、財産処分通知の同項アにおいて「当該地域において、対象とする産業廃棄物の適正処理が確保できない又はそのおそれがあること。」としているところ、今般の状況に鑑みて当該地域以外から産業廃棄物に該当する廃プラスチック類を受け入れる場合については本要件を満たすものとして取り扱うので、併せて御承知おき願いたいこと。
なお、財産処分通知の同項エに示しているとおり、産業廃棄物を受け入れる際には、排出事業者責任等を勘案し処理費用として料金を徴収するなど、市町村財政に負担をかけないこととする。料金水準については、例えば、産業廃棄物処理業者等の廃プラスチック類の処理料金の水準と同等とすること等が考えられる。
第九 火災防止対策
国内で保管される廃プラスチック類が増加傾向にある中、昨今、廃プラスチック類の処理施設等における火災の発生が複数確認されているところである。
廃プラスチック類は、消防法(昭和23 年法律第186 号)第9条の4の指定可燃物として、危険物の規制に関する政令(昭和34 年政令第306 号)別表第4に掲げられる合成樹脂類に該当する可能性が高いものである。したがって、廃棄物処理法第12 条の産業廃棄物処理基準に従って適正に処理することに加えて、消防法に基づき市町村条例において定められる物品の貯蔵及び取扱いの技術上の基準に従い、火災防止に努めるよう、処理業者に対して指導されたいこと。また、これらの廃プラスチック類の処理に係る火災防止の具体的な運用に当たっては、消防法又は市町村の火災予防条例等を所管する消防署等関係機関とも連携して対応されたいこと。