一般廃棄物処理実態調査の「平成29年度調査結果」が環境省の「廃棄物処理技術情報」で公開された。毎年報告される「一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成29年度)について」などの元になるデータである。一般廃棄物の排出状況、処理の状況、施設整備状況などを「日本の廃棄物処理平成29年度版(平成31年4月10日現在) (doc 3,347KB / PDF 1,537KB)」にまとめ、詳細がエクセルデータでも公開されている。平成29年度の一般廃棄物の総まとめである。
環境省 平成31年3月
●
一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成29年度)について 概要版
● 「日本の廃棄物処理 平成29年度版」(平成31年4月10日現在) (
doc 3,347KB /
PDF 1,537KB) 詳細版
再掲
環境省 2019年3月26日
一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成29年度)について
環境省は平成31年3月26日に、平成29年度における全国の一般廃棄物(ごみ及びし尿)の排出及び処理状況等の調査結果を取りまとめました。なお、平成23年度から国庫補助による災害廃棄物の処理量、経費等を除いております。
(主な結果)
・ごみ総排出量は4,289万トン(東京ドーム約115杯分)、1人1日当たりのごみ排出量は920グラム。
・ごみ総排出量、1人1日当たりのごみ排出量ともに減少。
・最終処分量は前年比3.0%減少。リサイクル率は横ばい。
・ごみ焼却施設数は減少(1,120施設 → 1,103施設)。
・発電設備を有するごみ焼却施設数は全体の34.1%であり、昨年度の32.0%から増加。
・ごみ焼却施設における総発電電力量は増加(9,207 GWh、約310万世帯分の年間電力使用量に相当)。
・発電設備を有するごみ焼却施設数、ごみ焼却施設における総発電電力量ともに増加。
・最終処分場の残余容量は増加したものの、最終処分場の数は概ね減少傾向にあり、最終処分場の確保は引き続き厳しい状況。
・ごみ処理事業経費は増加。
添付資料
一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成29年度)について [PDF 171 KB]
一般廃棄物処理事業実態調査の結果(平成29年度)について [PDF 593 KB]
以下、「日本の廃棄物処理 平成29年度版(平成31年4月10日現在)」(詳細版)から気になった部分を抜粋
図やグラフは、環境省資料から転載、または資料より作成
Ⅰ.ごみ処理
1.ごみの排出状況
注)・自家処理量は、多くの市町村において推計によるものと考えられる。
・ 「排出量(参考)」=「計画収集量」+「直接搬入量」+「自家処理量」
平成17年度実績の取りまとめより「ごみ総排出量」は、廃棄物処理法に基づく「廃棄物の減量その他その適正な処理に関す
る施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針」における、「一般廃棄物の排出量(計画収集量+直接搬入量+
資源ごみの集団回収量)」と同様とした。
・ 「家庭排出ごみ」=「生活系ごみ」-「集団回収量」-「資源ごみ」-「直接搬入ごみのうち資源として利用されるもの」
平成18年度以前は直接搬入ごみの内訳を把握していないため、資源として利用される直接搬入ごみはないものとして計算し
た。(p10ごみ処理フローシート参照)
・ 1人1日当たりのごみ排出量=(計画収集量+直接搬入量+集団回収量)÷総人口÷365又は366
・ 平成23年度以降の実績の2段書き上段は、災害廃棄物を除く値であり、下段は災害廃棄物を含む値である。
・ 平成24年度以降の総人口には、外国人人口を含んでいる。
2.ごみ処理の状況
注) ・「直接資源化量」とは、中間処理施設を経ずに再生業者等に直接搬入される量であり、平成10 年度実績調査より新たに設
けられた項目である。
・「その他の施設」における中間処理量とは
平成10 年度以降:資源化を目的とせず、埋立処分するために処理した量
平成9 年度以前:上記に加え、「直接資源化量」が含まれていると考えられる。
・減量処理率 =((直接焼却量)+(資源化等の中間処理量)+(直接資源化量))÷(ごみの総処理量)×100
・直接焼却率 =(直接焼却量)÷(ごみの総処理量)×100
・中間処理率 =((資源化等の中間処理量)+(直接資源化量))÷(ごみの総処理量)×100
・直接埋立率 =(直接最終処分量)÷(ごみの総処理量)×100
・平成16 年度までの高速堆肥化施設以外の堆肥化施設での処理量は「その他の資源化等を行う施設」に含まれている。
・平成16 年度までの「ごみ飼料化施設」、「メタン化施設」の処理量は「その他の資源化等を行う施設」に含まれている。
・平成23 年度以降の実績の2段書き上段は、災害廃棄物を除く値であり、下段は災害廃棄物を含む値である。
ごみの焼却量は減っているものの、焼却率として減少するわけでもなく、逆に増えてきている。
プラスチック類を焼却する自治体が増えてきた結果か、相変わらずのごみ焼却大国日本である~
●ごみの処理状況(平成29年度)
●ごみの処理状況推移
(グラフは災害廃棄物を除く数字で作成)
3.資源化の状況
注)・「中間処理後再生利用量」とは、資源ごみ、粗大ごみ等を処理した後、鉄、アルミ等を回収し資源化した量である。
・「集団回収量」とは、市町村による用具の貸出、補助金の交付等で市町村登録された住民団体によって回収された量をいい、
平成17年度の取りまとめから「ごみ総排出量」に含めている。
・平成9年度まで、「直接資源化量」は「中間処理後再生利用量」に含まれていると考えられる。
・平成23 年度以降の実績の2段書き上段は、災害廃棄物を除く値であり、下段は災害廃棄物を含む値である。
(1)総資源化量とリサイクル率の推移
(グラフは災害廃棄物を除く数字で作成)
(2)資源化量の品目別内訳(平成29 年度実績)
やはり紙類が多い、紙はリサイクルの優等生
①市町村等によるごみの資源化の状況
②住民団体等による資源回収の状況
4.最終処分の状況
注)・平成23 年度以降の実績の2段書き上段は、災害廃棄物を除く値であり、下段は災害廃棄物を含む値である。
23区でもはっきり激減と分かるのだが、全国集計でも埋立処分量は確実に減少
しかし、焼却大国ニッポン、焼却を止めない限りは焼却残渣の埋立は続く、、、
●最終処分量の推移
注)・平成23,24,25,26,27 年度実績の2段書きの上段は、災害廃棄物を除く値であり、下段は災害廃棄物を含む値である。
グラフは災害廃棄物を含む数字で作成
5.ごみ処理フローシート(平成29 年度実績)
・計画収集ごみ量=①+②+③+④+⑤+⑥=37,092 千トン
・計画収集ごみ量+直接搬入ごみ量=①+②+③+④+⑤+⑥+⑦=40,723 千トン
・ごみ総排出量=①+②+③+④+⑤+⑥+⑦+⑧=42,894 千トン
・1人1日当たりのごみ排出量=(①+②+③+④+⑤+⑥+⑦+⑧)/総人口/365=920 グラム/人日
・ごみの総処理量=⑩+⑪+⑫+⑬=40,770 千トン
・総資源化量=⑭=8,682 千トン
リサイクル率=⑭/(⑧+⑩+⑪+⑫+⑬)=20.2%
・中間処理による減量化量=(⑪+⑫)-⑮-(⑯+⑰)=30,402 千トン
※( )内は、災害廃棄物を含む値である。【 】内は、中間処理後に東日本大震災(福島第一原子力発電所の事故
含む)により、中間処理後に保管されている数量である。
※平成29 年度において、容器包装リサイクル法に基づき市町村等が分別収集したものの再商品化量(参考:平成28
年度実績263 万トン)は総資源化量868 万トンに含まれている。また、平成29 年度において家電リサイクル法
に基づく家電4 品目の再商品化等処理量は49 万トン、このうち再商品化量が42 万トンであり、これを含めると
総資源化量は910 万トンとなる。
出典:「平成28 年度容器包装リサイクル法に基づく市町村の分別収集及び再商品化のお知らせ」(環境省大臣官房廃
棄物・リサイクル対策部企画課リサイクル推進室)
「家電リサイクル年次報告 平成29 年度版(第17 期)」(一般財団法人家電製品協会)
6.3Rの取組上位市町村
7.ごみ焼却施設の整備状況
(1)ごみ焼却施設の炉型式別施設数の推移
まだまだバッチ炉がかなりある、
●炉型式別施設数の推移
注)・(民間)以外は市町村・事務組合が設置した施設で、当該年度に着工した施設及び休止施設を含み、廃止施設を除く。
・機械化バッチ式の数値は(バッチ式-固定バッチ式)により算出。
・炉形式が無い溶融施設は集計から除く。
(2)ごみ焼却施設の種類別施設数の推移
しかし、この分類、元データをみると、ガス化溶融炉も焼却になっていたり、その他の中にもガス化溶融炉が含まれているので厳密ではない。あくまでも市町村からの届出を集計しているだけなので、、、ちなみに23区の世田谷清掃工場も「焼却方式 流動床」の扱いでカウント、、
●ごみ焼却施設の種類別施設 平成29年度
ごみ焼却施設の種類別内訳
平成29年度は1,103施設のうち、ガス化溶融炉は106施設
●ごみ焼却施設の種類別施設数の推移
民間の焼却施設、ガス化溶融炉の施設数など気になったので、
民間だけでグラフにしてみた~
(環境省のこの報告は、一般廃棄物に関するものなので、一般廃棄物を処理する民間施設)
●ごみ焼却施設の種類別施設数の推移(民間)
(3)ごみ焼却施設の処理方式別施設数と処理能力の推移
●ごみ焼却施設の処理方式別施設数の推移
こうしてみると、市町村の焼却炉は圧倒的にストーカ式が多いが、民間は少ない、
●ごみ焼却施設の処理方式別施設数の推移(民間)
(4)ごみ焼却施設の規模別施設数(平成29年度実績)
小規模な施設が多いのだ、、、
(5)ごみ焼却施設の余熱利用状況
①ごみ焼却施設の余熱利用の推移
②ごみ焼却施設の発電の状況
④ごみ焼却施設の発電効率別の施設数(平成29 年度実績)
⑤ごみ焼却施設の発電能力別の施設数(平成29 年度実績)
8.資源化等の施設の整備状況
(1) 資源化等の施設数と処理能力の推移
メタン化施設としている7施設となった~、(もっとあるような気がするが、、、)
稚内市 稚内市バイオエネルギーセンター
砂川地区保健衛生組合 砂川地区保健衛生組合クリーンプラザくるくる
長岡市 バイオガス発電センター
南但広域行政事務組合 南但ごみ処理施設 高効率原燃料回収施設
防府市 防府市クリーンセンター可燃ごみ施設バイオガス化施設
日田市 日田市バイオマス資源化センター
注)・(民間)以外は市町村・事務組合が設置した施設で、当該年度に着工した施設及び休止施設を含み、廃止施設を除く。
・「資源化等を行う施設」とは、不燃ごみの選別施設、圧縮梱包施設等の施設(前処理を行うための処理施設や、最終処分
場の敷地内に併設されている施設を含む)、可燃ごみ・生ごみのごみ堆肥化施設、ごみ飼料化施設、メタン化施設で「粗
大ごみ処理施設」、「ごみ燃料化施設」以外の施設をいう。
・平成9 年度以前においては、①資源ごみとして収集したごみの選別・資源化施設以外の施設、②ごみの固形燃料化施設以
外の施設と、①または②を重複回答している施設を「その他」として分類していたが、平成10 年度実態調査より、資源
化等を目的とせず埋立処分のため破砕・減容化を行う施設を、「その他」の施設とした。
・平成17 年度より「資源化等を行う施設」を選別、圧縮・梱包、ごみ堆肥化、ごみ飼料化、メタン化、その他に分類し、
高速堆肥化施設を「資源化等を行う施設」に含めることとした。
・平成19 年度よりメタン化施設は、「ごみ燃料化施設」に含めることとした。
・固形燃料化施設にはRDF施設とRPF施設を含む。
・平成28 年度から「資源化等を行う施設」の処理能力を工程ごとに調査することとした(それ以前は施設ごとの調査)。
9.粗大ごみ処理施設の整備状況 省略
10.最終処分場の整備状況
(1)最終処分場の施設数と残余年数の推移
(2)最終処分場の設置状況(平成29 年度実績)
③最終処分場を有していない市町村の割合(平成29年度実績)
最終処分場を有していない市区町村297
(全市区町村数1,741 の17.1%)
図-21関東、中部ブロックの広域移動状況
「一般廃棄物処理事業実態調査の結果(平成29年度)について [PDF 593 KB]」から
11.ごみ処理の委託状況
(1)ごみ処理区分別の委託状況(平成29 年度実績)
資源化の委託はかなりあれど、、焼却処理の委託も6%
最終処分に委託も県内で23.3%、県外で6.7%
(2)最終処分を目的とした一般廃棄物の広域移動の状況(平成29 年度実績)
12.ごみの収集手数料の状況
(1)粗大ごみを含むごみの収集手数料の状況(平成29 年度実績)
粗大ごみを含むごみ処理手数料の有料化は家庭ごみで80.2%
(2)粗大ごみを除くごみの収集手数料の状況(平成29 年度実績)
粗大ごみを除くごみ処理手数料の有料化は
全国1,741市町村のうち、1,124市町村(64.6%)が有料化、無料は612市町村(35.2%)
年々微増で、28年度の1,120市町村から4市町村の増加、
13.ごみ収集の状況等
ごみの分別26種類以上の自治体は29市町村もある、、水俣市で24分別で驚いたが、、
ごみ分別数と一人一日当たりのごみ排出量は単純に相関しているわけではないようだが、、、
(4)ごみ処理の委託及び許可件数の内訳(平成29 年度実績)
(5)形態別ごみ収集量の推移
ごみ収集は直営が21.0%、委託が50.5%とかなり多いのに驚き、、
14.災害廃棄物の排出量
(1) 災害廃棄物の排出量内訳(平成29 年度実績)
Ⅱ.し尿処理 省略
Ⅲ.廃棄物処理事業経費及び人員
1. ごみ処理事業経費の推移
平成29年度、ごみ処理事業経費 19,745億円(前年度19,606億円)
・ごみ処理事業経費19,745億円(前年度19,606億円)
うち建設改良費 3,597億円(前年度3,385億円)
処理・維持管理費 15,038億円(前年度15,078億円)
注1) 平成23年度以降は、国庫補助金交付要綱の適用を受けた災害廃棄物処理に係る経費を除くが、平成22年度では当該経費が含まれる。
3.廃棄物処理事業経費(歳出)の推移
Ⅳ.各都道府県別データ
1. 都道府県別ごみ処理の現状(平成28 年度実績)
11.ごみ処理事業経費(平成29 年度実績)
関連(本ブログ) 都道府県別のグラフ等は別ページで~
■一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成29年度) 都道府県別ごみ処理の現状、長野県は1人1日817gで4年連続の最少2019年04月08日
日本の廃棄物処理に関する基本的な用語
日本の廃棄物処理で用いる用語のうち、基本的な用語の概念、解釈を以下に示す。
【ごみ処理】
1.ごみ処理
●人口(人)
平成29 年10 月1 日現在である。
「計画収集人口」は、実際にごみの収集を行っている区域の人口である。
「計画収集人口」と「自家処理人口」の和が市町村の「総人口」となる。さらに、「総人口」
は都道府県の統計課が平成29 年10 月 1 日付けで公表するために市町村に報告を求めた数値
(住民基本台帳人口)である。
なお、外国人登録制度が廃止され、「住民基本台帳法の一部を改正する法律(平成 21 年法
律第 77 号)」により外国人住民についても住民基本台帳制度の対象となったため、平成 24
年度調査より外国人人口は総人口のうち数とした。
総人口=計画収集人口+自家処理人口
●ごみ総排出量(t)
ごみ総排出量=計画収集量+直接搬入量+集団回収量
●1人1日当たりのごみ排出量(g 人/日)
1人1日当たりのごみ排出量=ごみ総排出量/総人口/365
●1人1日当たりのごみ排出量[生活系ごみ](g 人/日)
1人1日当たりのごみ排出量[生活系ごみ]=(生活系ごみの搬入量+集団回収量)/総人口/365
●1人1日当たりのごみ排出量[事業系ごみ](g 人/日)
1人1日当たりのごみ排出量(事業系ごみ)= 事業系ごみの搬入量/総人口/365
●自家処理量(t)
自家処理量とは、計画収集区域内で、市区町村等により計画収集される以外の家庭系一般廃
棄物で、ごみを自家肥料又は飼料として用いるか、直接農家等に依頼して処分させ、または自
ら処分しているものをいい、一部の市区町村では計画収集量、計画収集人口、自家処理人口を
勘案して推定している。
●ごみ処理量(t)
=直接焼却量+直接最終処分量+焼却以外の中間処理量+直接資源化量
●減量処理率(%)
=(直接資源化量+直接焼却量+焼却以外の中間処理量)/ごみ処理量×100
●中間処理後再生利用量(t)
=(焼却施設+粗大ごみ処理施設+ごみ堆肥化施設+ごみ飼料化施設+メタン化施設+ごみ燃料化
施設+その他の資源化等を行う施設+その他の施設)における再生利用量
●リサイクル率 R(%)
=(直接資源化量+中間処理後再生利用量+集団回収量)/(ごみ処理量+集団回収量)×100
●リサイクル率 R’(%)
=(直接資源化量+中間処理後再生利用量〔固形燃料、焼却灰・飛灰のセメント原料化、セメント
等への直接投入、飛灰の山元還元を除く〕+集団回収量)/(ごみ処理量+集団回収量)×100
●最終処分量(t)
=直接最終処分量+焼却残渣量+処理残渣量
続き、詳細は「日本の廃棄物処理 平成29年度版」へ