東京二十三区清掃一部事務組合HPで「清掃事業年報(平成29年度)」が公表された。
23区のごみ量は、区収集及び持込みごみを合わせて、2,765,568.07トン
前年度と比較して11,274.87トン増加となった~
区収集ごみは、各区とも人口が増加しているがなんとか減少を維持~
事業系の持込ごみは6年連続の増加である、、
これでいいのか、持込ごみの連続増加!!
東京二十三区清掃一部事務組合 2018年8月22日
清掃事業年報(平成29年度)を掲載しました
全文 清掃事業年報(平成29年度)(PDF:2,600KB)
平成29年度 ごみの収集状況(概要)
【参考】平成28年度清掃事業年報(リサイクル編)の閲覧〈特別区清掃リサイクル主管課長会資料〉(PDF:1,217KB)
23区の清掃事業(中間処理)、事細かに事業年報にまとめられている。
数字だけを眺めていても、おもしろくもないし、よくわからないのでグラフにしてみた~
以下、グラフは清掃一組「清掃事業年報」から作成
とりあえずは、気になる清掃工場の処理状況から~
プラスチック類を焼却としてからは、、、いまや、23区の中間処理はほとんどが清掃工場での焼却処理、、、
粗大ごみや不燃ごみは全体の処理量からみれば数パーセント程度、、、
◆清掃工場等焼却量の推移◆
◆清掃工場等焼却量の推移◆
平成元年からの推移
◆清掃工場別処理量◆
有明清掃工場への全搬入量は113,017.18トン、
うち管路収集分は4,190.64トンで全体の3.7%となっている。
内訳:港区分(2,302.98トン)、江東区分(1,884.70トン)、品川区分(2.96トン)
夢の管路収集は約3.7パーセントのみ、
あとはすべて事業系の持込ごみ、収集車が街を走って有明まで運んでくる、、、、
ということで、先日、一廃計画改定検討に関連して腹立ち紛れに、「23区 有明清掃工場の搬入ごみ99%は事業系ごみ、紙類は50%以上、プラスチックは年々増加、事業活動に伴って生じたプラスチック類はいつから「可燃ごみ」扱いとなったのか?」と書いたのだが、、、公表された清掃事業年報を見ながら、粗大ごみ破砕ごみ処理施設の可燃ごみ分も搬入していることに気がついた、、、さっそくそちらも訂正しなくては、トホホ、、
◆清掃工場別 稼働日数◆
平成29年度の清掃工場の稼働日数は平均は281日(杉並除く)、
世田谷の稼働日数、平成27年度は272日、平成28年度は258日、平成29年度は240日となった。改善されたのではないのか?
「計画年間稼働日数」の283日に届かない工場は故障が多かったのか、それともごみ不足の調整なのか?
定期点検補修工事による休炉か、故障か、調整なのかは、10月頃公表される「清掃工場等作業年報」にでてくる~
◆清掃工場 搬入総括表、受入形態別◆
事業系の持込ごみは合計で982,923.84 トン
そのうち、清掃工場への持ち込み量は継続と臨時の合計で959,614.59 トン
持込ごみの約98%は清掃工場での焼却ごみということになる~
23区の清掃工場での焼却ごみ
区収集の可燃ごみが62%
事業系の持込ごみは35%
※京浜島不燃ごみ処理センター分は、京浜島で処理している粗大ごみの可燃分
◆23区清掃工場 区収集・持込 搬入内訳◆
平成29年度は約35%が事業系の持込ごみとなった。
清掃工場により、区収集と持込ごみの割合は大きく異なる。
粗大ごみ破砕ごみ処理施設の可燃分は、破砕ごみ処理施設の休止にともない、湾岸地域の清掃工場で焼却処理ということになったとおもっていたが、平成29年度の清掃工場搬入総括表をみると、世田谷、渋谷、豊島、板橋以外の15工場に運ばれている。中防から練馬、板橋、足立、葛飾までも運んで、、、ちょっとびっくり、
23区別のごみ収集量など
◆区収集可燃ごみ量の推移、各区別◆
各 区別可燃ごみ量の推移は、容器包装プラスチック類分別収集の実施区、未実施区の違いもあるが、数年が経過し、容リプラ効果もあまりなくなった。各区と も、増加傾向は見られなくなったが、減少の努力をしている区、横ばいの区と、際立つ違いがある。(文京と大田は、容リ協会への申込はしていたが、回収実績は極少。大田は実験収集期間のみ)
◆区収集不燃ごみ量の推移、各区別◆
プラスチック類が可燃ごみとなり、不燃ごみは激減
◆区収集粗大ごみ量の推移、各区別◆
23区の全ての区で人口は増加し続けている。可燃ごみ、不燃ごみは減少を維持しているが、粗大ごみに関してはどこの区も変動が大きい。粗大ごみは、人口の変動に伴うものが大きいのか?
◆23区「不燃ごみ」「粗大ごみ」合計推移◆
◆区別ごみ収集量(区収集分)と1人1日当たりのごみ排出量◆
区収集分といえども、区が収集する事業系ごみも含まれるため、都心部や繁華街で事業系ごみの多い区もあり、単純に比較はできない。
23区の清掃事業、ごみの減量やリサイクル、収集・運搬は各区の仕事である。ごみ減量取り組みも、意欲も施策も、区によってかなり違う、、、
人口は、23区すべての区で増加している、平成29年度は23区全体で9,384,987人(前年度よりも9万人超え増加)
1人一日当たりのごみ量はすべての区で減少している、
※人口は、東京都総務局統計部発行の「住民基本台帳による人口(日本人及び外国人)」の平成29年10月1日現在の数値
◆23区 1人1日当たりごみ量(g)推移【区収集ごみ】◆
--この1人1日当たりごみ量(g)は「区収集ごみ」だけの計算--
◆23区 【区収集ごみ】1人1日当たりごみ量(g)一覧表◆
-順位のようになってしまったが、単純にエクセルで並び替えをしたため、同量のごみ量の区も多々あり---
江東区、平成29年度も杉並、練馬、中野に次いで、、
不燃ごみの全量リサイクルが効いているのか、、、
●環境省の計算方式では、、
23区の平成28年度の一般廃棄物の1人1日当たりのごみ排出量は約964g/人日となる。
23区は、「1人1日当たりの排出量(g/人/日)」や「リサイクル率(%)の算出方法はあまり浸透していない。多くの区で、1人1日当たりのごみ排出量に「区収集ごみ」の但し書きがつく。それは、事業系の持込ごみが23区をまたがって収集しているため、区別に実測されていないため、、、従って、一般廃棄物の総排出量の算定も区別には難しいと、、、、
環境省まとめの23区のデータ(平成28年度実績) ←環境省「一般廃棄物処理実態調査結果」から抜粋
環境省の平成28年度調査結果
23区分の集計結果(括弧内は平成27年度)
総人口 : 9,292,776 人、(9,190,237人)
ごみ総排出量 : 3,268,940トン、(3,315,207トン)
1人1日当たりの総排出量 : 964g/人日、(986g/人日)
ごみ処理量: 3,111,267トン(3,148,386トン)
直接焼却量 : 2,621,346トン、(2,644,525トン)←直接焼却率は84.3%(84.0%)
直接最終処分量 : 3,955トン、(4,205トン)
焼却以外の中間処理 :159,799トン、(166,195トン)
直接資源化 :326,167トン、(333,461トン)
中間処理後再生利用 : 41,016トン、(41,907トン)
リサイクル率 R:16.8%、R’:16.5%、(R:17.1%,R':17.0%)
最終処分量 : 348,675トン、(365,487トン)
直接最終処分 : 3,955トン、(4,205トン)
焼却残渣 :282,000 トン、(294,467トン)
処理残さ : 62,720トン、(66,815トン)
集団回収量:188,480トン(197,763トン)
関連(本ブログ) 環境省の計算方法でごみ量、リサイクル率を出すと~
■平成28年度 東京23区の1人1日当たりのごみ排出量は964g、リサイクル率 R 16.8%、ごみ処理量は311万トン、直接焼却率は84.3% 2018年04月15日
◆灰溶融施設、スラグ生成量の推移◆
原発事故の影響がなくとも、もともとがほとんどの施設が安定稼働をしているとはいいがたかった。しかし、平成23年度、24年度は、夏場は全面停止、全施設で1炉稼働、主灰の単独溶融に切り替えた。平成25年には、「今後の灰溶融処理の休止」ということで、7施設のうち、5施設をを順次休止し、平成28年度以降は、多摩川と葛飾のみ稼働させるということになった。
中防灰溶融施設は、平成25年度末で休止となっているのに、平成26年度も4月~8月までに約3千トンの生成となっていたので、なんてこったと思ったら、生成量とはなっているが、「生成量は清掃工場で生産されたスラグのうち工場外へ搬出された量」ということのようだ~
スラグは全量有効利用(サンプル提供含む)
有効利用の詳細は~
※世田谷灰溶融スラグ生成量はガス化溶融炉(300t/日)のスラグも含む
◆溶融量とスラグ生成量の推移◆
溶融量は、事業年報では、灰投入量の自工場分の記載がなく、毎年度、作業年報から抜粋している。
従って、平成29年度の溶融量はまだわからない。
-溶融すると容積は減少するようだが、重量的には塩基度調整剤のせいか、溶融量よりも増えている年もある-
◆主灰のセメント原料化事業 処理実績◆
平成26年度: 1,987.40 トン
平成27年度: 5,848.78 トン
平成28年度: 10,992.78トン
平成29年度: 16.574.63トン
平成30年度における本格実施の概要
(清掃一組「主灰のセメント原料化事業」から)
計画量
30,000トン
搬出施設
中央、港、北、品川、大田、千歳、杉並、板橋、練馬、墨田、新江東、有明の各清掃工場
処理施設
北海道、青森県、岩手県、埼玉県、山口県、福岡県、大分県に所在する民間のセメント工場9か所
平成29年度のセメント原料化の内訳を見ていて、「中防灰溶融施設」が589.23トンとなっているので???
中防灰溶融施設は平成26年度から溶融処理は休止で、、他工場の溶融飛灰のキレート処理などを行っている。セメント原料化事業も、将来的には飛灰も検討するということではあったが、、、それにしても???
問い合わせてみると、これまでは、セメント工場までの運搬は貨物列車を利用しているが、平成29年度は船舶輸送の実証試験を行ったとのこと。有明清掃工場分を中防灰溶融施設に運んで、そこから船舶でセメント工場へ搬出したという。そういう手間暇かけても船舶輸送のメリットがあるということなんだろうが、、、リスクの拡散にならなければいいが、、鉄道にしても、船舶にしても事故やトラブルはありえるが、、、、それにしても、鉄道と船舶ではコンテナが違うのだろうか? 中防灰溶融施設で入れ替えをするの? 東京湾には近いが、、、
灰溶融と主灰のセメント原料化事業を単純に比較はできないが、灰溶融処理では溶融スラグが発生しその用途も必要となるが、セメント原料化の場合はその心配はない。清掃一組施設での灰溶融処理全盛期で約12万トンだったので、セメント原料化量の平成41年度の目標が9万トンということは、清掃工場の残灰(平成29年度残灰274,705.43トン)の3割を埋め立てせずに有効利用ということなの?やはり、焼却ごみの削減を徹底しない限りは、埋めてて処分場の延命化といえども、埋立ごみのゼロにはならない、、、
「一般廃棄物処理基本計画」では
主灰のセメント原料化の拡大 として
主灰のセメント 原料化量(湿ベース)
33~36 年度 前処理施設の整備
37年度 60,000トン程度
38 年度 70,000トン程度
39 年度 80,000トン程度
40 年度 90,000トン程度
41 年度 90,000トン程度
清掃事業年報、
平成18年度までは、各清掃工場毎の「焼却残灰量」が細かく出ていたのだが、平成18年度から「残灰量とスラグ搬出量」の一覧表だけになったので、さっぱりわからなくなった。溶融処理量も同じく???
◆23区埋立処理量の種類別内訳◆
埋立処分量の約82%は焼却灰である、、、
清掃工場残灰+中防灰溶融施設残灰=275,882.52 トン
◆埋立処分量の推移 23区分◆
廃プラスチックが分別区分変更で焼却となって以来、埋立処理量が大幅減少していたが、さすがに、福島原発事故の影響で、平成23年度は、平成20年度並みに戻ってしまった。こうしてみると、中防外側の埋立量が激減しているので、、、もう、ほぼ満杯となってしまったか?!
◆23区 清掃工場残灰等 埋立処分量の推移◆
焼却灰は増加傾向、灰溶融処理政策の破綻、、、
しかし、財政面からも、安全面からも、灰溶融炉の休止は大歓迎、
それにともなう焼却灰埋立量の増加は、不燃ごみ残さのプラスチック等の可燃分(現状は埋立処理)を,焼却することでかなりカバーできるということであった が、、、灰溶融処理に変わる施策として、平成26年度から「主灰のセメント原料化事業」が始まっている。
◆23区 清掃工場残灰等 の内訳 推移◆
灰溶融スラグの埋め立て分は大田第二工場分
◆23区清掃一組で受け入れている産業廃棄物◆
※他に、平成16年頃から事業系の不燃皮革ごみも若干量受け入れている。
◆粗大ごみ破砕処理施設では区収集の「不燃皮革」を1,232.56トン受入
◆産業廃棄物の埋立処理量(東京都分)◆
平成23年度、24年度は、23区分の焼却灰の埋立量の増加もさることながら、東京都分は、上水スラッジと、下水汚泥焼却灰は、放射能汚染で資源化できずにすべて埋立、おまけに多摩地域の下水汚泥焼却灰も受入ているので、大幅増加。平成28年度は、産業廃棄物を76,242.23 トンも搬入している。なんだろうか?
おまけ
◆23区のごみ量推移(明治33年~平成29年)◆
この1人1日当たりのごみ量は、単純に23区のごみ総量を人口で割ったもの
(環境省の計算の資源化分、集団回収分も含むごみ総排出量とは異なる)
※平成10年度までは「東京都清掃事業百年史」参考、以降は清掃事業年報などから作成
とりあえず
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■23区 平成28年度の資源回収量 ~平成28年度清掃事業年報(リサイクル編)より~ 2017年08月28日