東京電力福島第1原発敷地内に立ち並ぶ、トリチウム水などが入ったタンク=2月
共同通信「基準値超の放射性物質検出、福島 トリチウム以外、長寿命も」から
東京電力福島第1原発で汚染水を浄化した後に残る放射性物質トリチウムを含んだ水に、他の放射性物質が除去しきれないまま残留していることがわかったという。なんと、半減期が約1570万年の長寿命のものも含まれていると、、、半減期が1570万年というのは、ヨウ素の同位体「ヨウ素129」かな?
このトリチウム水、敷地内にためるタンクが増え続け、近く敷地いっぱいになるというので、海洋放出を議論中なのでは?
放射性物質が除去しきれていないで残っているのだ、、
「福島第1原発のトリチウム水、処分を議論 海洋放出軸に」によると、「東京電力福島第1原子力発電所の汚染水問題を検討する政府の有識者会議が13日開かれ、放射性物質トリチウムを含む水の処分に向けた本格的な議論が始まった。会合では事務局が国民からの意見を聞く公聴会を8月末に開くと表明。政府は処分方法として海洋放出が最も現実的とみるが、地元からは風評被害を懸念する声が強い。」となっている。
そうなると、あのタンクに溜まっているトリチウム水も、すべて疑問だな、、、
福島第1原発で出る汚染水は、トリチウム以外の放射性物質を取り除ける浄化設備で処理した後、敷地内のタンクにため続けている。処理水は事故後7年間で100万トンを超えた。2020年末には用地が限界に近づくとみられており、「年度内」(原子力規制委員会の更田委員長)に処分方法を決める必要があるとみられている。
共同通信 2018年8月19日
東京電力福島第1原発で汚染水を浄化した後に残る放射性物質トリチウムを含んだ水に、他の放射性物質が除去しきれないまま残留していることが19日、分かった。一部の測定結果は排水の法令基準値を上回っており、放射性物質の量が半分になる半減期が約1570万年の長寿命のものも含まれている。
第1原発でたまり続けるトリチウム水を巡っては、人体への影響は小さいなどとして、処分に向けた議論が政府の小委員会で本格化し、今月末には国民の意見を聞く公聴会が開かれるが、トリチウム以外の放射性物質の存在についてはほとんど議論されていない。

ヨウ素(I)という元素は、原子番号53番の元素です。ヨウ素には数多くの同位体が存在していますが、安定同位体はヨウ素127の1種類のみです。また以下に示したとおり代表的な放射性同位体として、ヨウ素129、131、133が挙げられます。
放射性ヨウ素は、原子力発電の燃料であるウランの核分裂反応の際にできる放射性物質として代表的なものの一つです。ヨウ素131やヨウ素133は原子炉停止直後には核燃料中に多く蓄積していますが、半減期がそれぞれ約8日および約21時間と短いため再処理工場で使用済燃料が処理されるまでにはほとんど無くなります。しかし、ヨウ素129は半減期が1570万年と非常に長寿命であるため使用済み燃料の処理時にも残っています。なお、超ウラン元素の自発核分裂などのために、ヨウ素131などが使用済燃料中でわずかに生成されます。
ヨウ素129はベータ線とガンマ線を出して、安定な元素であるキセノン129へと変化します。
また、ヨウ素131はベータ線とガンマ線を放出して、安定なキセノン131に変化します。
ヨウ素は人間が生きていくために必要不可欠な元素です。人体内では喉部分にある甲状腺に集まる性質があり、そこで作られる甲状腺ホルモンという物質を構成する元素となります。ヨウ素129や131はごくわずかですが天然のものが存在し、またヨウ素129は、過去に行われた大気中核実験などにより環境中に存在しているものもありますので、飲食物を通じて人間が摂取し、それらから放出される放射線によってわずかな量ですが被ばくをしています。
核分裂の際に発生した放射性ヨウ素は原子力発電所では燃料棒内に閉じ込められていますが、再処理工場では燃料棒が切断されるので処理設備内に出てきます。フィルターなどで大部分は取り除いていますがそれでも取り切れないものは気体廃棄物、液体廃棄物として環境中に排出されます。
ここでは主要な放射性同位体の物理的半減期、生物学的半減期の一覧などを載せておく。各数値の出典は[1]に従ったが、半減期の有効数字は簡単のため1 - 2ケタとした。また、崩壊定数の時間の単位はすべて半減期に準ずる。崩壊定数は物理的半減期のものである。また体内から9割排出される期間とは、生物学的半減期から計算し、初期値から一切放射性物質を摂取せず、かつ壊変により減少することを無視したものである。詳細は参考文献や外部リンクにあるデータベースなども参照のこと。
核種名核種名(元素記号)物理的半減期崩壊定数物理的に
10分の1に
なる期間生物学的半減期体内から9割が
排出される期間
(崩壊は考慮しない)有効半減期 トリチウム 3H, T 12.3年 0.056 41年 12日 40日 12日 塩素38 38Cl 37分 0.01873 2時間3.6分 N/A N/A N/A コバルト58 58Co 70.86日 0.00978 235.26日 N/A N/A N/A コバルト60 60Co 5.275年 0.1314 17.51年 10日 33.2日 9.9日 ヒ素74 74As 17.77日 0.039 59日 N/A N/A N/A ストロンチウム90 90Sr 29年 0.0239 96年 49年 163年 18年 イットリウム91 91Y 58.5日 0.0118 194.22日 N/A N/A N/A モリブデン99 99Mo 66時間 0.0105 219.12時間 N/A N/A N/A テクネチウム99m 99mTc 6時間 0.1155 19.92時間 N/A N/A N/A テルル132 132Te 77時間 0.009 255.64時間 N/A N/A N/A ヨウ素131 131I 8日 0.0866 26.5日 138日 458日 7.6日 ヨウ素132 132I 2時間17分 0.005 7時間38.16分 N/A N/A N/A ヨウ素133 133I 20.8時間 0.0333 69.056時間 N/A N/A N/A ヨウ素134 134I 53分 0.013075 2時間2.84分 N/A N/A N/A セシウム134 134Cs 2年 0.346 6.63年 70日 232日 64日 セシウム136 136Cs 13日 0.0533 43.16日 N/A N/A N/A セシウム137 137Cs 30年 0.0231 100年 70日 232日 70日 セリウム144 144Ce 285日 0.00243 946.2日 N/A N/A N/A バリウム140 140Ba 12.75日 0.0543 42.33日 65日 215.8日 11日 ランタン140 140La 40.3時間 0.0172 133.8時間 N/A N/A N/A ラドン222 222Rn 92時間 0.00753 305.44時間 N/A N/A N/A ラジウム226 226Ra 1600年 0.000433 5312年 44年 146.08年 43年 ウラン235 235U 7億年 0.00000000099 23億年 15日 50日 15日 ウラン238 238U 45億年 0.000000000154 150億年 15日 50日 15日 プルトニウム238 238Pu 87.8年 0.00789 291.5年 N/A N/A N/A プルトニウム239 239Pu 24000年 0.0000289 80000年 200年 663年 198年 プルトニウム240 240Pu 6561年 0.000105 21783年 N/A N/A N/A プルトニウム241 241Pu 14.3年 0.0485 47.5年 N/A N/A N/A