■ 東京都環境局/災害廃棄物処理計画中間まとめ/自治体の共同組織設置へ [2017年3月8日4面]
日刊建設工業新聞社 (会員登録) 2017年3月8日
◇受援体制構築も重視
東京都環境局は7日、地震や豪雨、火山噴火といった自然災害の発生に備えて検討を進めている「東京都災害廃棄物処理計画」の中間まとめを行った。災害が原因で生じるコンクリート殻や木・金属くず、可燃・不燃物など災害廃棄物の処理方法、役割分担などの考え方を整理。処理作業の迅速化に向け、都内自治体の共同組織、都外からの応援を受け入れる受援体制などの構築に取り組む方針を示した。
都廃棄物審議会(会長・田中勝廃棄物・3R研究財団理事長)の委員らの意見を踏まえ、中間まとめを修正し、パブリックコメント(意見公募)の手続きに移る。5~6月に知事への答申案を審議会でまとめる予定だ。都は「受援体制にまで踏み込んだ災害廃棄物処理計画は恐らく全国でも初めて」としている。
都の試算では、東京湾北部を震源とするマグニチュード(M)7・3の地震が起きると都内には約4300万トンの災害廃棄物が発生するとみられている。
災害廃棄物の処理は法律上、区市町村が担うことになっているが、都は個々の自治体では処理し切れないケースを想定。災害発生時は必要に応じ、近隣の都内自治体同士で構成する災害廃棄物処理の共同組織を設ける構想を示した。
都と区市町村の連携が円滑に進むよう、各自治体の処理実行本部の組織構成の共通化にも取り組む。区市町村や共同組織での廃棄物処理が困難な場合は、都が処理業務を受託する方針も明確にした。
大規模災害時には、廃棄物処理のための十分な人員や資機材を都内だけで確保できない恐れもある。このため事前の協定締結や、国のD・Waste-Net(災害廃棄物処理支援ネットワーク)の活用を進めるとともに、広域支援の要請では都が窓口機能を務めるようにする。受援が想定される対応例には▽総合調整▽設計・積算▽契約▽書類作成▽収集・運搬▽処分▽仮置き場設置▽現地確認▽窓口対応▽広報-などを挙げた。
都の中間まとめは、7日に都庁で開かれた審議会に報告された。
委員の一人、山崎孝明江東区長は「仮置き場となるはずの公園敷地に避難者が寝泊まりしてしまうことも考えられる。近隣住民に反対される場合もある」と課題を指摘。被災現場では廃棄物の処理より、生存者や遺体の捜索が優先される実情があることにも配慮した計画立案を求めた。
別の委員からは「地震で廃棄物の処理施設が被災したり、担当者が亡くなったりする可能性も想定しておく必要がある」「廃棄物処理の契約や報酬の支払い方法の在り方を詰めておくことも重要」との指摘・意見が出た。
中間まとめが地震の対応に特化した内容となっている点については、環境局の担当者が「計画を随時見直していく中で、水害や噴火への対応も盛り込んでいく」と回答。委員らは計画に実効性を持たせるためには、同局だけでなく、庁内各部局の連携強化が欠かせないとの認識も示した。
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東京都環境局/災害廃棄物処理計画中間まとめ/自治体の共同組織設置へ
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