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RDF発電、継続か中止か 悩む大牟田市 [福岡県]

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西日本新聞「RDF発電、継続か中止か 悩む大牟田市 [福岡県]」より


■  RDF発電、継続か中止か 悩む大牟田市 [福岡県]

西日本新聞 2016年10月13日

福岡県内や熊本県荒尾市から持ち込まれたRDFを燃やし、その熱で発電する大牟田リサイクル発電所(手前)=2012年6月撮影、大牟田市提供
福岡県内や熊本県荒尾市から持ち込まれたRDFを燃やし、その熱で発電する大牟田リサイクル発電所(手前)=2012年6月撮影、大牟田市提供

 家庭や事業所から出る可燃ごみを加工した「ごみ固形化燃料」(RDF)による「大牟田リサイクル発電事業」について、大牟田市など事業主体は近く、継続するかどうかの議論を始める。2022年度までの継続は決まっているが、23年度以降は白紙だからだ。基幹産業の一つと位置付ける同市は継続の意向だが、それには参画する福岡県内の5清掃施設組合の合意が必要となる。老朽化が進む発電とごみ焼却の両施設の改修も必要となっており、他都市ではRDF発電をやめることを決めた例もある。市は、関係者間の調整に頭を痛めることになりそうだ。

 事業主体は、県や大牟田市などが出資する第三セクター「大牟田リサイクル発電」。02年12月から17年度末までの15年計画でスタートし、13年に5年間の事業延長を決定した。現在は、同市と熊本県荒尾市でつくる大牟田・荒尾清掃施設組合など6組合と1市から持ち込まれたRDFを焼却、その熱を利用して発電している。

 23年度以降の事業見通しについて、焦点となるのは発電とごみ焼却施設の改修だ。福岡県は8月、県内の5組合に三つの試案を提示した。(1)三セクを維持したまま継続(2)5組合が集まって新組合を設立し継続(3)新組合を設立し、ごみ焼却施設のみ改修-で、それぞれ改修費やRDF処理費用などを試算した。

 (1)と(2)では両方の施設改修費に約50億円が必要。(1)の場合は国の補助対象事業にならず、RDFの処理費に上積みするため、現在より割高になる。(2)は国からの改修補助が約34億円見込め、処理費は現在とほぼ変わらない。(3)は発電施設を改修しないため、大牟田市としては考えられない。

 同市は(2)で継続できるか検討しているが、他の組合は「県の説明に不明な点が多く方針は決まっていない」(須恵町ほか2カ町清掃施設組合)など、様子見の状況だ。

 各組合の代表(市長ら)や県幹部が出席する同事業運営協議会は11月下旬に予定されており、23年度以降の方針を決めると見られる。県は、5組合すべてが10年間、事業を継続することを参画の前提条件としている。大牟田市は「事務レベルで10月末までに各組合の意向をとりまとめたい」(環境部)と早期決着を目指すが、県は「(協議会で)できれば方向性を示したい」(循環型社会推進課)と決定を急ぐつもりはない。

 大牟田市にとって、発電事業は石炭産業に代わる地域振興策の大きな柱の一つ。仮に事業中止となれば、代替ごみ処理施設の建設で新たに総事業費が100億円以上かかるだけでなく、新たな振興策が必要となるだけに、市は危機感を強めている。

    ◇    ◇

■全国2カ所で中止予定 RDF発電

 広域的なダイオキシン対策として注目を浴びたRDF発電所。大牟田リサイクル発電所が2002年に全国で初めて稼働して以来、全国で4カ所にできたが、そのうち2カ所で中止の予定になっている。

 現在、大牟田のほか三重、石川、広島の3県にRDF発電所はある。いずれも施設の改修時期が近づき、事業中止を決めた発電所も出ている。

 三重県企業庁が運営する三重ごみ固形燃料発電所(桑名市)は02年稼働。当初は本年度末までの計画だったが、20年度までの4年間延長を決めた。だが、県によると、これ以上事業を続けても老朽化した施設の維持管理費が膨らむため、21年度から事業を中止する方針という。

 03年に稼働した石川県の石川北部RDFセンター(志賀町)も、22年度末で事業終了の予定。「事業を継続すると、RDFの運搬費や製造・焼却コストが高くなる」(石川北部RDF広域処理組合)のが理由で、参画する5団体はそれぞれ焼却施設を建設する。

 広島県の福山リサイクル(RDF)発電施設(福山市)は、04年度から15年間の予定で稼働。19年度以降の事業継続については、県や同市など関係団体が今年から協議を始めている。


【ワードBOX】大牟田リサイクル発電所

 福岡県や電源開発、大牟田市などが出資する第三セクター「大牟田リサイクル発電」が運営。同市の環境・リサイクル産業の創出を目的とした「大牟田エコタウン事業」の中核事業。プラント建設費など総事業費は約105億円で、2002年12月に稼働した。敷地面積は約2万4700平方メートル。15年度の年間電力量は約1億3000万キロワット時で、このうち8割近くを売電している。09年度から昨年度まで7期連続で単年度黒字。14年度に累積損失を解消した。現在、福岡、熊本県の6組合と熊本県菊池市からRDFを受け入れているが、同市と阿蘇広域行政事務組合は18年度以降の不参加を表明している。

=2016/10/13付 西日本新聞朝刊=

 

 

 


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