東京新聞「年金約5兆円損失の背景は 株運用を倍増、基準変更」より転載
■年金約5兆円損失の背景は 株運用を倍増、基準変更
東京新聞-2016年4月12日
国民年金や厚生年金の積立金を運用する独立行政法人「GPIF」。本紙が報じた同法人の二〇一五年度の運用損失が約五兆円に膨らむ見通しとなった問題が国会などで論議されている。問題点と加入者である国民への影響は-。 (渥美龍太)
Q GPIFのお金って何だっけ。
A 同法人は正式には「年金積立金管理運用独立行政法人」という長い名前だ。とても重要な役割を果たしていて、運用するお金のもとはわたしたちが 納めた保険料なんだ。昔は若い人が多く、高齢者が受け取る年金より現役世帯が支払う保険料が上回った。余った分を積立金にして国債や株で運用しているん だ。
Q 積立金が損失で減ったということは年金の支給も減ってしまうの。
A すぐ影響が出るわけではない。専門家の試算では一五年度は約五兆一千億円の損失になったとみられるんだ。ただ、積立金はまだあるので年金支給がすぐ減るわけではない。
Q 心配ないと。
A そうはいかない。いまは少子高齢化が進み、年金支払いは保険料や税金だけではまかなえず、積立金を取り崩す局面に入っている。株価が戻らず、積立金が減ったままなら、若い世代が将来受け取る年金を減らしたり、保険料を上げる必要が出てくる。
Q 政府は単年度の損失は問題でないと言っているらしいけど。
A 長期的に収益が確保できればよいのはその通りだ。だが、政府は一四年十月に運用基準を変更させ、GPIFは国債など国内債券の保有目安を 60%から35%に下げ、国内外の株は24%から50%に倍増させたんだ。その直後の大きな損失なので、基準変更自体が正しかったのか問題になっているん だ。昨年末で百四十兆円の運用資産全体のうち、六十五兆円が株に投資されており、株式市場急落で損が膨らんだとみられるんだ。
Q そんなに株に回っているなんて知らなかった。
A 株はもうかる時はもうかるが、いったん市場が荒れれば大損し、元本保証の国債に比べリスクが高い。公的年金は国民の老後を保障する大切なお金 だ。「株に投資しすぎるのは適当でない」とみる専門家は多かった。米国でも生活の最低保障を担う「基礎年金」の積立金は全額債券で手堅く運用している。
Q なぜ株をそれほど増やしたの。
A 政府と同法人は「運用成績を確保するため」と言っているが、政府が公的年金に株を買わせることで、株価を押し上げようとしたとの疑念もある。
Q 選挙でも争点になりそうだ。
A もちろんだ。だが、議論の土台にすべき運用実績はGPIFは例年七月前半に公表してきたのに、昨年度実績については七月二十九日に発表すると 決めてしまったんだ。参院選は七月二十四日までの投票が有力視されているからその後だ。このため野党は「政府は選挙での批判票を恐れ、わざと遅らせた」と 追及している。年金は国民全体のお金であり、速やかに発表して判断を仰ぐのは当然だ。そうしないと、ますます年金制度への不信を招くことになるよ。
■安倍内閣 「支持する」42% 「支持しない」39%
NHK-2016年4月11日
NHKの世論調査によりますと、安倍内閣を「支持する」と答えた人は先月より4ポイント下がって42%、「支持しない」と答えた人は2ポイント上がって39%でした。 NHKは今月8日から3日間、全国の20歳以上の男女を対象に、コンピューターで無作為に発生させ ...
安倍内閣を「支持する」42%、「支持しない」39%
支持する理由「他の内閣より良さそうだから」41%、「実行力があるから」が19%、「支持する政党の内閣だから」が15%、 支持しない理由は、「政策に期待が持てないから」が48%、「人柄が信頼できないから」が16%、「支持する政党の内閣でないから」と、実行力がないから」が、ともに9%
安倍内閣の経済政策、 「大いに評価する」が6%、「ある程度評価する」が41%、「あまり評価しない」が35%、「まったく評価しない」が12%
消費税の税率を、予定どおり来年4月に10%に引き上げることへの賛否
「賛成」が22%、「反対」が45%、「どちらともいえない」が28%
安倍内閣の子育て支援に関する取り組み
「大いに評価する」が5%、「ある程度評価する」が35%、「あまり評価しない」が37%、「まったく評価しない」が15%
TPP=環太平洋パートナーシップ協定を今の国会で承認
「賛成」が24%、「反対」が18%、「どちらともいえない」が47%でした。
今度の参議院選挙で与党と野党の議席がどのようになればよいと思うか
「与党の議席が増えたほうがよい」が23%、「野党の議席が増えたほうがよい」が32%、「どちらともいえない」が40%
国政選挙で、自民・公明の与党に対抗するために、民進党と共産党が協力する動き
「大いに評価する」が8%、「ある程度評価する」が30%、「あまり評価しない」が30%、「まったく評価しない」が24%でした。