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総務省の『一般廃棄物処理施設の整備・維持管理に関する行政評価・監視 結果報告書』

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総務省のホームページで、3月1日にごみ処理施設の整備・維持管理などに関する監査結果が公表された。
やっと一通り流し読みした~
本来なら、環境省がしっかりと監督すべきこと。交付金も出しっ放し、後はお任せのようで、ここまで総務省に指摘されて、恥ずかしくないのかな~
広域処理の推進はもう白紙に戻せばいい気もするが、、、交付金云々は受けた以上は当然やるべきことはやるしかない。
驚いたのは、維持管理で、適切な点検が行われていない施設もあるということ。これらは、都道府県の立入検査の不備にもつながる。
また、焼却炉廃止後も、解体されずに放置されているものも多く、とても気になっていたが、、、なんと、今回の調査だけでも142施設もある。(調査対象14都道府県)
とりあえず具体的な指摘事項を抜粋した。(勧告の部分は掲載ページを入れた。)


 
平成28年3月1日 一般廃棄物処理施設の整備・維持管理に関する行政評価・監視
<結果に基づく勧告>
 総務省では、一般廃棄物処理施設の効果的・効率的な整備・維持管理の促進を図る観点から、ごみ処理の現状・動 向、ごみ処理の広域化・集約化の取組状況、処理施設の維持管理の実施状況等を調査し、その結果を取りまとめ、必要な改善措置について勧告することとしまし たので、公表します。 要旨PDF 勧告PDF 結果報告書


一般廃棄物処理施設の整備・維持管理 に関する行政評価・監視 結果報告書(平成28年3月総務省行政評価局)

(抜粋)

調査の結果
ア 交付金の予算額の推移
交付金(浄化槽分を除く。)の予算額のうち、最も多くを占める環境省計上分の推移をみると、平成25年度は、市町村が整備する一般廃棄物処理施設の老朽化に伴う更新需要の増大により、施設整備に係る市町村からの支援要望額と予算額との差が拡大し、市町村事業に支障を来している状況を踏まえ、多額の補正予算が措置されたこともあって、877億円と大幅な増加となっている。これを除いても、交付金の予算額は年々増加傾向にあり、26年度は、制度が創設された17年度における予算額(200億円)の3倍強の626億円となっている。
イ 地域計画の作成状況
地域計画(浄化槽等のし尿処理に係る施設のみを整備するものを除く。)の作成状況をみると、平成17年度から26年度までの10年間で、全国の市町村において計651件の地域計画が作成されている。
調査対象14都道府県では、北海道管内の35件が最も多く、次いで東京都管内の30件、埼玉県管内及び愛知県管内の24件となっている。
ウ 調査対象施設の概要
調査対象14都道府県の58市町村等(32市町村、26一部事務組合)が設置する77のごみ焼却施設(以下「調査対象77施設」という。)について、設置主体、施設の種類、処理能力は、次のとおりである。
(ア) 設置主体、事業方式及び管理体制
ごみ焼却施設の設置主体については、市町村が46施設(59.7%)、一部事務組合が31施設(40.3%)となっている。
事業方式については、公設公営が70施設(90.9%)、公設民営のうち、公共が資金調達し、民間事業者が施設の設計、建設、維持管理及び運営を一括して行うDBO(Design Build Operate)方式が3施設(3.9%)、公共が資金調達し、民間事業者が施設の設計、建設を行った上で、維持管理及び運営については、別途発注の長期包括委託により民間事業者が行うDB+O方式が4施設(5.2%)となっている。
また、維持管理及び運営の管理体制については、直営が12施設(15.6%)、委託が16施設(20.8%)、夜間の業務のみ委託するなどの一部委託が49施設(63.6%)となっており、DBO方式の3施設はいずれも委託、DB+O方式の4施設のうち3施設が委託、1施設が一部委託となっている。
(イ) 施設の種類及び炉型式
施設の種類については、焼却のみを行う施設が58施設(75.3%)、焼却+灰溶融施設が7 施設(9.1%)、ガス化溶融施設が12 施設(15.6%)となっている。また、施設の炉型式をみると、1 日24 時間連続運転の全連続運転が65 施設(84.4%)、1 日16 時間等間欠運転の准連続運転が10 施設(13.0%)、1 日8 時間の間欠運転のバッチ運転が2 施設(2.6%)であり、准連続式及びバッチ式の12 施設は、いずれも焼却のみを行う施設となっている。
(ウ) 処理能力及び炉数
施設の処理能力(1 日当たり)については、100t/日未満が17 施設(22.1%)、100t/日以上300t/日未満が39 施設(50.6%)、300t/日以上が21 施設(27.3%)となっている。
また、施設を構成する炉数をみると、1 炉構成が6 施設(7.8%)、2 炉構成が50 施設(64.9%)、3 炉構成が21 施設(27.3%)となっている。
施設の処理能力と炉数の関係をみると、100t/日以上300t/日未満で2 炉構成が最も多く30 施設となっており、次いで100t/日未満で2 炉構成が13施設となっている。

2 ごみ焼却施設の長寿命化
勧 告(P22~P26)

表2-(1)-ア-⑩ 長寿命化手引きに沿った施設保全計画を策定していない理由の例(P35)
○ 毎年度の定期点検及び定期補修、年度ごとの維持管理計画、毎月の技術会議などで対応しているため(11施設)
○ 機器が古く、交換の頻度の予測が立たず、突発的な補修工事で対応しているため(1施設)
○ 施設の施工業者が定期点検等を実施し、施設保全も総合的に実施しているため(3施設)
○ 施設更新や広域化による新施設の稼働開始により現行施設を廃止又は休止する方針であるため、新たな計画策定は行わず、日常点検等の結果、補修が必要な場合は、その都度対応するとしているもの(6施設)
○ 整備工事計画表により必要な補修や部品交換を行っているため(1施設)
○ 類似の資料作成や検討は実施しているものの、今後、改修の必要が生じた際に長寿命化計画において盛り込む項目であると認識しているため(2施設)
○ 平成23年度に新設されて間がなく、瑕疵担保期間終了(3年間)の次年度であり、実績を整理しているため(1施設)
勧 告(P36~P37)

表2-(1)-イ-② 施設保全計画に沿った維持管理が行われていない例
【東京都東村山市】
・ 平成22、23年度に、交付金を活用して、基幹的設備改良事業を実施しており、同事業の実施に先立ち、19年度に、精密機能検査を実施して、過去の補修履歴等の取りまとめ、各設備の状況確認等を行った上で、平成22年6月、長寿命化計画(施設保全計画及び延命化計画)を策定している。
・ 長寿命化計画では、施設の延命化の期間を10年間(平成24年度から33年度)とし、各年度に実施する補修工事等の実施計画を策定しているが、基幹的設備改良事業完了後の平成24、25年度の点検・補修実績をみると、ごみクレーン、焼却炉、ガス混合室、ガス冷却室及びバグフィルタについては、毎年度、定期点検及び最低限の補修を行っているものの、他の施設・設備については、市の予算上の制約から、日常点検で不具合や劣化が確認された部分についてのみ補修を行っており、例えば、以下のとおり、長寿命化計画に沿った点検・補修が行われていない状況がみられた。
▶ 燃焼設備(助燃バーナ)・・・計画上は、時間基準保全(TBM)であり、平成24、25年度に機器寿命による更新とされているが、実績をみると、25年度に同設備の点検・整備を行い、更新の必要性は無いと判断している。
▶ 排ガス処理設備(バグフィルタ)・・・計画上は、時間基準保全(TBM)であり、ろ布、スクリューコンベヤ等については、平成24年度に機器寿命による更新とされているが、実績をみると、内部の清掃・点検、一部部品の交換等を行っているものの、更新を行っていない。
▶ 排ガス処理設備(有害ガス除去装置)・・・計画上は、時間基準保全(TBM)であり、消石灰・活性炭輸送管、噴射ノズル及び制御盤については、平成24年度に機器寿命による更新とされているが、実績をみると、24、25年度に定期点検の対象としておらず、また、更新を行っていない。
▶ 電気計装設備・・・計画上は、時間基準保全(TBM)であり、毎年度定期メンテナンスを行うとされているが、平成24、25年度に定期点検の対象としておらず、また、メンテナンスを行っていない。
▶ 排水処理設備・・・計画上は、状態基準保全(CBM)であり、同設備のうち、ごみ汚水ポンプ及びごみ汚水ろ過器については、平成24年度に機器寿命による更新とされているが、実績をみると、24、25年度に定期点検の対象としておらず、また、更新を行っていない。なお、ごみ汚水ポンプについては、平成25年8月に同設備の清掃作業を行った運転管理委託業者から、設備の一部の作動状況が不安定であることを理由として、更新が推奨されている。
同市は、基幹的設備改良事業完了から約1年が経過した平成25年5月、市の予算上の制約を踏まえ、33年度までの間について、年度ごとに定期点検必須項目、更新必須項目等を定めた「東村山市秋水園ごみ処理施設整備計画」(以下「整備計画」という。)を策定している。
同市は、整備計画の策定を、長寿命化計画の見直しと位置付けているものの、整備計画では、定期点検の必須項目が下表の設備機器に限定されており、長寿命化計画において整備対象とされている209設備機器のうち、平成24年度に更新とされているごみ汚水処ポンプを含む132設備機器(整備計画の範囲外で別途整備を行っているごみ計量機及びごみクレーンを除く。)が定期点検の対象となっていない。
また、長寿命化計画において、平成24年度又は25年度に機器寿命による更新とされていた排ガス処理設備(バグフィルタのうち、ろ布、スレーパコンベヤ等)、排水処理設備(ごみ汚水ポンプ、ごみ汚水ろ過器等)等27設備機器のうち、整備計画上でも24、25年度に更新必須とされているのは、排ガス処理設備(バグフィルタのうち、スレーパコンベヤ、有害ガス除去装置のうち、制御盤)、排水処理設備(制御盤)の3設備機器となっているが、このうち制御盤について24、25年度の実績をみると、2設備機器とも更新が行われていない。
このほか、整備計画において平成25年度に更新必須とされている通風設備(煙道及び風道のうち、伸縮継手)の更新が行われていないなど、整備計画に沿った点検・補修が行われていない状況がみられる。
・ これについて、同市は、予防保全の観点から、長寿命化計画に沿った点検・補修を実施することが望ましいとしながらも、市の予算上の制約から、計画どおりに補修を行うことは難しく、今後も、予算の範囲内において日常点検や定期点検で不具合や劣化が確認された部分の補修を最優先に行っていくとしている。

【群馬県玉村町】
・ 平成23、24年度に、交付金を活用して、基幹的設備改良事業を実施しており、同事業の実施に先立ち、平成22年9月に長寿命化計画(施設保全計画及び延命化計画)を策定している。
・ 同計画では、延命化の期間を17年間(平成23年度から39年度)とし、長寿命化手引きに沿って、機能診断技術の検討や各年度に実施する補修工事等の実施計画の策定を行っているが、基幹的設備改良事業完了後の平成25年度の点検・補修等の実績をみると、以下のとおり、施設保全計画で定めた機能診断手法を、より簡易な方法に代えていたり、交換の必要がないなどの理由から一部の設備機器を整備計画どおりに交換していない。
(機能診断技術)
・ 施設保全計画では、投入ホッパ、火格子ホッパ・シュート、コンベヤ、風煙道及び煙突について、超音波法により減肉、摩耗及び腐食について診断するとされているところ、投入ホッパ、火格子ホッパ・シュートについては、目視や打音に代えており、コンベヤ、風煙道、煙突については、現在、点検を実施しておらず、定期清掃等で目視による異常等があった場合、必要に応じて実施するとしている。
・ 施設保全計画では、炉、ガス冷却室、ガス減音器、バグフィルタ、ポンプ、モータ、電気機器・盤について、サーモグラフィ又は接触温度計によりケーシング温度異常、耐火物、断熱材等の減耗・脱落等について診断するとされているが、炉内については、常に温度を計測しているため、炉外の焼却炉本体、燃焼装置及びガス冷設備のケーシング部については、日常点検又は定期点検時の炉内目視検査やケーシング接触温度監視により異常を発見できるため、必要性が薄いとしてサーモグラフィ検査を定期的に実施していない。
・ これについて、同町は、これらの診断を忠実に実行するには、施設の運行業者の知識では足らず、専門の業者に専門の機材を用いて実施してもらう必要があるが、優先的に実施すべき事項とは言えないため、予算が付くことが困難であるとしている。
(整備スケジュールに沿った施設整備)
・ 同町は、以下の設備・機器について、整備計画に沿った整備を行っていないとしている(( )内は未実施の理由等)。
▶ クリンカ防止装置(基幹改良時に未設置)
▶ 再燃バーナー(日常点検で異常なし)
▶ ストーカー油圧装置
▶ 灯油ポンプ(日常点検で異常なし)
▶ 薬剤供給ブロワ(平成28年度更新予定)
▶ 消石灰用空気圧縮機(統合設備に更新予定)
▶ 特殊反応助剤空気圧縮機(統合設備に更新予定)
▶ 温水発生器(日常点検で異常なし)
▶ 暖房用温水ポンプ(日常点検で異常なし)
▶ 給湯用温水ポンプ(日常点検で異常なし)
▶ 温水タンク循環ポンプ(日常点検で異常なし)
▶ その他ポンプ類(日常点検で異常なし)
▶ 灰出しコンベアNo1(点検時に異常なし)
▶ 灰出しコンベアNo2(平成28年度整備予定)
▶ 落下コンベア(点検時に異常なし)
・ 同町では、設備の検査について、現状では、)主要設備は毎年、基幹改良を実施した業者による簡易検査を実施しており、精密機能検査の実施が必要な事項が少ないこと、)ポンプ及びコンプレッサーは運転委託業者による日常点検や、機器の種類ごとに定期点検整備を実施しているなど、少額の費用で対応できる補修や更新については計画によらず、その都度実施していることから、全設備・機器を対象とした精密機能検査については、町において費用面での財政協議事項でもあるため、機能診断手法を含め具体的な実施方法等については未定であるとしている。
勧 告(P41~P43)

表2-(1)-ウ-④ 市町村等が独自にごみ焼却施設の耐用年数を設けている例
横浜市では、以下のとおり、独自のライフサイクルに基づき施設の更新・改良を行っている。
① 施設を構成する焼却設備については、耐用年数を25年、建築物については、「補助金等により取得した財産の処分制限期間を定める告示の改正について」(平成12年3月30日付け会発第247号厚生省大臣官房会計課長通知)により耐用年数50年とされているにもかかわらず、あえて耐用年数を70年と設定
② 稼働後25年で1回目の延命化工事を行い、10年の延命化を図る。
③ 稼働後35年で設備全体の更新を行う。
④ 稼働後60年で2回目の延命化工事を行い、10年の延命化を図る。
⑤ 稼働後70年経った時点で建築物を含め建て替えを行う。

表2-(1)-ウ-⑤ 実態調査の記載が不正確な例
【中讃広域行政事務組合】
仲善クリーンセンターでは、平成12年に、炉型式を准連続運転(1日16時間連続運転)から全連続運転(1日24時間連続運転)に変更しており、これに伴い、施設全体の処理能力も60t/日から90t/日に変更されているが、平成26年度に実施された平成25年度実態調査まで、炉型式を准連続運転、施設の処理能力を60t/日のまま記載している。
【飯塚市・桂川町衛生施設組合】
飯塚市・桂川町衛生施設組合では、ダイオキシン排出抑制のため、平成13年度に、炉型式を准連続運転(1日16時間連続運転)から全連続運転(1日24時間連続運転)に変更しているものの、平成26年度に実施された平成25年度実態調査まで、炉型式を准連続運転のまま記載している。
勧告(P46)

表2-(1)-エ LCCの算定が不十分な例
【愛知県稲沢市】
施設更新する場合の建設費について、現行施設の建設費が粗大ごみ処理施設を含めて約114億円であったことを基に、現在価値の割引前の費用で126億円としているものの、差額の12億円の根拠が不明となっている。
また、施設更新を行う場合の建設費を算定する際、ごみ処理量の減少(平成17年度が40,962t/年に対し、22年度が34,043t/年)に応じた施設の処理能力の見積りを行っていないこと、近年整備された他の施設の建設費の動向を踏まえず高額な単価を用いて算定していることにより、建設費が過大となっている。
【埼玉県川口市】
1炉のみで稼働を開始し、3年後に2炉での稼働を開始した施設について、延命化工事後の点検補修費の算定に当たり、長寿命化手引きに沿って、過去の点検補修費の実績を基に算定しているものの、2炉構成での延命化を前提としているにもかかわらず、1炉運転か2炉運転かを考慮せず、1炉のみで稼働していた3年間の点検補修費の実績をそのまま用いている。
複数炉を有する施設については、1炉稼働の場合と複数炉稼働の場合の点検補修費の算定方法が異なるが、長寿命化手引きにおいて、当該算定方法の違いが明示されていないことから、同市において適切な算定方法が用いられていない。
勧告(P48~P49)

表2-(2)-ア-④ 稼働日1日当たりの施設全体の処理能力に対する処理実績が100%を超えている施設の概要
【愛知県岡崎市八帖クリーンセンター1号炉】
施設全体の処理能力が100t/日、1炉構成の施設であり、平成25年度の処理量は31,702t/年、稼働日数は306日となっている。
上記の処理量及び稼働日を基に算定した稼働日1日当たりの処理量は104t/日となり、稼働日1日当たりの施設全体の処理能力に対する処理実績は104%となっている。
これについて、同施設は、100%を超えた理由として、施設に持ち込まれたごみの量が多かったためとしているが、平成25年度の稼働日数は306日であり、23年度317日、24年度319日に比して少ない日数となっていることから、稼働日数を増やすことにより、1日当たりの処理能力を超えないよう処理することが可能な状況となっている。

表2-(2)-ア-⑥ 炉ごとの処理能力と運転状況を踏まえた稼働日1日当たりの処理能力に対する処理実績が100%を超えている施設の状況(平成25年度)
炉ごとの処理能力と運転日数を踏まえた稼働日1日当たりの施設の処理能力に対する処理実績
(g=e/c*100)
旭川市近文清掃工場 101.8%
川越市資源化センター熱回収施設 101.1%
香川県東部清掃施設組合香川東部溶融クリーンセンター 101.4%
飯塚市クリーンセンター清掃工場 103.8%
勧 告(P54~P56)

表2-(2)-イ-④ 精密機能検査の実施状況(稼働年数別)
表2-(2)-イ-⑤ 精密機能検査を実施していない主な理由の例
○ 日常点検、定期点検の実施により維持管理上の支障はないため(10施設)
○ 施設の施工業者による点検により施設の保全を行っているため(4施設)
○ 検査を外部に委託する場合の検査費用(約200万円)の確保が困難なため(1施設)
○ 検査費用が高額のため(2施設)
○ 精密機能検査に相当する検査を毎年度の定期点検で実施しているため(3施設)

表2-(2)-イ-⑥ 精密機能検査を不定期実施としている(3年に1回実施していない)主な理由の例
○ 毎年度の点検により、施設の稼働に問題が生じていないことから、予算の状況を踏まえ、不定期の実施としている(1施設)
○ 整備計画表により、必要な補修等を実施しているため(2施設)
○ 検査費用が高額なため(2施設)
○ 検査費用が高額であり、検査結果が日常点検等で既に承知しているものとなっているため(1施設)
○ 大規模改修等の実施に係る基礎データの収集として精密機能検査を実施したものの、定期点検等により施設の維持管理に支障がないため、精密機能検査を定期的に実施していない(6施設)
○ 毎年度の定期点検において、精密機能検査と同等の点検、検査を実施しているため(1施設)
○ 平成24年度に基幹的設備改良事業を実施しており、今後、精密機能検査を行う必要性は乏しいと考えているため。また、同事業実施後2年間は、施行事業者の保証範囲であるため(1施設)
調査の結果(P63)
勧告(P66~P67)

表2-(2)-エ-③ 平成23~25年度における立入検査の実績の有無
実績あり:12都道府県(北海道、宮城県、山形県、群馬県、埼玉県、東京都、神奈川県、福井県、愛知県、大阪府、広島県、福岡県)
実績なし:2県(香川県、愛媛県)

表2-(2)-エ-④ 立入検査の実績がない都道府県における状況
平成23年度から25年度までの3か年間、立入検査の実績がない香川県は、次の状況を把握していなかった。
① 調査対象としたごみ焼却施設7施設のうち、2施設で技術管理者が配置されていない
② 中讃広域行政事務組合は、設置するごみ焼却施設(仲善クリーンセンター)について、平成12年に16時間連続運転から24時間連続運転に稼働時間を変更し、この変更に伴い稼動規模(処理能力)も変更(60t/日→90t/日)しているが、廃掃法に基づく変更届を同県に提出していない

表2-(2)-エ-⑥ 立入検査における指摘による改善例(埼玉県(東部環境管理事務所))
○ 平成26年度に立入検査を実施したごみ焼却施設(加須市大利根クリーンセンター)について、届出書に記載されていない機械が新設されていたため、変更届を提出するよう指導し、その後、変更届が提出された。
○ 平成24年度に立入検査を実施したごみ焼却施設(久喜宮代衛生組合菖蒲清掃センター)について、1日当たりのごみ処理量が処理能力を上回っている日があったため、遵守するよう指導し、翌年度の立入検査で遵守されていることを確認した。
○ 平成25年度に立入検査を実施したごみ焼却施設(羽生市清掃センター)について、経年劣化による施設の腐食等が確認されたため修繕するよう指導したものの、翌26年度に立入検査を実施した際、修繕されていなかったため、前年度に指摘した事項に対して早急に修繕すること等について改善報告書を提出するよう指導した。その結果、同市から改善報告書が提出された。

3 ごみ処理の広域化・ごみ処理施設の集約化
勧告(P72~P76)

表3-(1)-⑪ 全国における全連続運転のごみ焼却施設数の推移
表3-(1)-⑫ ダイオキシン類等が規制値を大きく下回るとされる小規模施設の例
・施設名:クリーンパーク長与
・施設の種類:ごみ焼却施設(エネルギー回収推進施設)
・設置主体:長与・時津環境施設組合(長崎県)(構成市町村:長与町、時津町(2町))
・処理能力:54t/日(27t/24h×2炉)
・竣工年月:平成27年3月
・特徴
一般のストーカ炉に比べて少ない空気で完全燃焼できる。環境性能にも優れ、ダイオキシン類や塩化水素、ばいじんなどの排ガス成分はいずれも規制値を大きく下回る。
(注) 「長与町・時津町地域循環型社会形成推進地域計画(第2次)」、環境新聞等の公表資料を基に当省が作成した。

表3-(1)-⑮ 一次計画においてごみ焼却施設の広域化・集約化に係る定量的な目標を設定している都道府県の目標達成率(P89)
表3-(1)-⑯ 広域化・集約化が進捗していない状況
「宮城県ごみ処理広域化計画」における7広域ブロックのうち5広域ブロックにおいて広域化が完了しているものの、その他の2広域ブロックでは、それぞれの広域化推進協議会が解散し、各協議会の構成員が単独で焼却能力50t/日又は70t/日の小規模施設の新設計画が進行中となっている。

表3-(1)-⑰ 市町村等において広域化・集約化を図ろうとするものの、進捗せず、計画が頓挫等している例
【例1】
市町村が共同でごみ処理施設を建設するため一部事務組合を設立したものの、施設の建設用地が決定できず、各々の市町村が100t/日未満の施設を別々に建設することになった例(福岡県田川地区)
過疎地の田川地区では、1市3町で焼却施設新設を計画し、平成12年4月に、関係市町の間で、共同で新ごみ処理施設を建設する旨の合意をした。平成13年4月に一部事務組合を設立し、17年度の完成を目指すこととなっていた。
しかし、計画策定から12年間、候補地を4か所変更しながらも、建設用地の決定ができず、平成24年7月、共同設置を断念した。この結果、人口9万8,754人の地域において、平成30年度から31年度の間に、処理能力100t/日未満の可燃ごみ処理施設を3施設、別々に新設の見込みとなった。
田川市は、平成24年10月当時、可燃ごみ処理施設の単独設置により概算で約12億円の施設建設費の負担増と試算している。
また、田川市及び川崎町は、環境省及び福岡県に望む支援として、「広域化の成功事例があれば、やり方について情報提供等してほしい」と要望している。
(注) 上記は、平成27年3月末現在の状況である。
【例2】
建設候補地が確保できず、1施設への集約を2施設への集約に方針変更して候補地を決定したため、予定どおり施設の建設が進まなかった例(山形県山形広域環境事務組合)
山形ブロック(山形市ほか1市2町)では、平成9年度末の広域化計画策定段階で、山形ブロックの現有3ごみ焼却施設(180t/日施設2基(山形市)、50t/日施設1基(上山市))を400~500t/日の1施設に集約し、その運営を一部事務組合である山形広域環境事務組合(以下「山形広域組合」という。)に委託する方針であった。
しかし、山形広域組合は、約6㏊の建設用地を確保するため、3地区について12年余りをかけ地域住民と交渉したものの、賛同が得られず断念している。
そこで山形広域組合は、平成22年に地域住民の同意を得やすいよう施設の規模を縮小して敷地面積を減らし、管内に2つの焼却施設を建設する方針に変更し、建設計画決定から約14年を経て、24年12月に地域住民の同意の上、施設の建設が現実化している。
【例3】
広域化・集約化が進んでいないこともあり、焼却施設の老朽化が進んだことによって、施設の維持管理に関する規制値を超過している例(東京都立川市)
立川市清掃工場の1号炉については、ダイオキシン削減の観点から規制されている「集じん器に流入する燃焼ガス温度」に関して、平成26年4月及び同年12月に基準値(おおむね200℃以下)を1割以上上回っている時間帯が計4回発生している状況がみられた。
この背景には、同市は、同清掃工場の周辺の複数の自治会との間で移転について協定を締結していることから、移転に向けて検討を重ねてきたが、建設候補地が決まらず、広域化・集約化も進捗しないこともあって、機器の適切な基幹的設備改良事業等が行えず、同清掃工場の老朽化が進んでしまった事情がある。
なお、同市は、平成25年2月に、同市内にある公的利用の土地(約1.3ha)を清掃工場移転の候補地として発表し、当該候補地への移転に向けた関係自治会との話合い等を継続して行っている。
【例4】
建設候補地の合意が得られないため、集約化が進まず、施設が老朽化していく中で、市町で構成する一部事務組合が単独で更新することとしている例(愛知県小牧岩倉衛生組合)
尾張北部ブロック(構成市町は4市2町)は、愛知県の第1次広域化計画を受けて、ブロック内の3つのごみ焼却施設(昭和57~59年度に稼働開始)の1施設への集約化に向けて協議し、平成15年2月に集約化後の施設の建設候補地を選定したものの、地元住民の反対等により、撤回することとなった。
その後、集約化が進まず施設が老朽化していく中で、平成17年頃に構成市町のうちの2市(小牧市及び岩倉市)が小牧岩倉衛生組合環境センターを単独で更新する意向に転じている。

表3-(1)-⑱ 広域化・集約化に伴う廃止焼却施設の未解体の例
広域化・集約化に伴い、廃止となったごみ焼却施設について、解体費用を確保できないため、平成27年1月1日時点において未解体のままとなっている。
北海道白糠町、北海道弟子屈町、北海道北後志衛生施設組合、宮城県仙南地域広域行政事務組合(2施設)

表3-(1)-⑲ 広域化・集約化の推進に慎重な意見を有する都道府県
広島県は、二次計画を策定していない理由の一つとして、試算したものはないが、ごみ処理に係る維持管理費の5割程度は、ごみの収集・運搬に係る費用といわれており、広域化することによりこれらの維持管理費が増大することや、施設集約に係るリスク(災害等が発生した場合等に対応できないこと)等が想定されることから、一律に広域化・集約化を進めるべきとは考えていないとしている。

表3-(1)-⑳ 広域化の進展理由
知多南部広域環境組合は、広域化の進展理由の一つとして、建設予定地の武豊町の議会の賛同を得ることが必要であったところ、小中学校の環境学習のための見学コース等を充実させることにより、新規に建設するごみ焼却施設を環境啓発の発信拠点とすることで同町議会の理解が得られたとしている。

表3-(1)-㉒ 施設を集約することでコスト削減できるものの、危機管理上の理由から集約しないこととした例
尾道市廃棄物処理施設建設検討委員会では、各種コストの試算結果及び施設を集約した場合のメリット・デメリットを総合的に勘案した結果、施設を集約しない場合は、集約した場合に比べて建設費及び維持管理費は要するものの、施設を集約した場合、危機管理上の問題(輸送ルート上に因島大橋があり2日間以上の交通不能になった場合、迂回ルートがないので輸送できない。3日分以上のごみ保管場がない。ごみ収集はできないので住民に負担をかける。)があるため、現状の2施設体制のまま処理を行うことを決定している。
勧 告(P95~P97)

表3-(2)-④ 施設を集約化する目標が設定されているにもかかわらず、集約化の時期・方針を定めず、各市が単独で基幹的設備改良事業を実施している例
第2次愛知県ごみ焼却処理広域化計画(計画期間:平成20年度~29年度)の尾張西部ブロック(構成市:稲沢市、一宮市の2市)については、各市が設置する2施設を1施設に集約化する目標が設定されている。しかし、当該ブロックにおいては、集約化の時期や方針を定めないまま、稲沢市が平成25年度から27年度にかけて、一宮市が26年度から29年度にかけて、それぞれ基幹的設備改良事業を実施し、施設の延命化を図っている。
また、これら2施設の稼働年度は、稲沢市が平成11年度、一宮市が10年度と近接している。
なお、2市の人口は、稲沢市が137,950人(平成22年4月1日現在)、一宮市が386,447人(25年4月1日現在)となっており、各市は交付金の交付対象地域の要件である人口5万人以上を満たしている。

表3-(2)-⑤ 単独で交付金を受けられない市町村におけるごみの処理状況(単位:市町村、%)
単独で交付金を受けられない市町村数70(100)
① 市町村の単独処理37(52.9)
② 一部事務組合による処理(他の市町村との共同処理を含む。)9(12.9)
③ 他の市町村、民間事業者等への事務委託24(34.3)

4 交付金制度における地域計画の作成及び事後評価の実施
勧告(P102~P103)

表4-(1)-③ 調査対象14都道府県内の43市町村等が作成した地域計画
№都道府県 地域名 計画期間 目標年度 事後評価の実施状況
19 東京都 八王子市① 平成19.4.1~25.3.31 平成25 未実施(※1)
20 東京都 八王子市② 平成25.4.1~30.3.31 平成30 未実施
21 東京都 東村山市 平成22.4.1~28.3.31 平成28 未実施
22 東京都 三鷹・調布地域① 平成18.10.1~25.3.31 平成25 未実施(※2)
23 東京都 三鷹・調布地域②平成26.4.1~31.3.31平成31未実施
24 東京都 東京二十三区地域(東京二十三区清掃一部事務組合)① 平成18.4.1~23.3.31 平成23 実施済み
25 東京都 東京二十三区地域(東京二十三区清掃一部事務組合)② 平成23.4.1~28.3.31 平成28 未実施
26 東京都 東京二十三区地域(東京都)①平成17.4.1~22.3.31 平成22 未実施(※3)
27 東京都 東京二十三区地域(東京都)②平成23.4.1~28.3.31 平成28 未実施
※3の東京都については、予定していた最終処分場の整備計画を一部先送りにしたため、第2期計画の事後評価の際に第1期計画分を含めて事後評価を実施することとしているため、未実施として整理した。

表4-(1)-④ 地域計画と一般廃棄物処理基本計画の目標値の整合性が取れていない事例
稲沢市は、廃掃法第6条第1項の規定に基づいた一般廃棄物処理基本計画として、平成17年度に18年度から27年度までを計画期間とした「ごみ処理基本計画」を策定し、同計画実施後5年を経過した平成23年度に、同市のごみ処理の現状を踏まえた同計画の見直しを行っている。
一方、稲沢市は、交付金を活用してごみ処理施設(稲沢市環境センター)の老朽化及び処理能力の低下のための基幹的整備並びに施設の長寿命化を図るべく、ごみ処理基本計画の見直しと同時期に、平成23年度から27年度までを計画期間とした地域計画を作成している。
勧告(P112~P115)

表4-(2)-ア-② 調査対象とした市町村等の事後評価書の作成・提出状況に係る事例
東根市外二市一町共立衛生処理組合、最上広域市町村圏事務組合、置賜広域行政事務組合、吾妻東部衛生施設組合、川越市、岡崎市、大竹市、香川県東部清掃施設組合
調査対象とした市町村等が作成している20 計画のうち、事後評価書において目標の達成・未達成にかかわらず減量化量の評価について言及されていないものが8計画あり、そのうち5計画は、言及していない理由について、減量化量は排出量の動向により左右される指標であるため、排出量の評価をすれば足りると考えているためとしている。

表4-(2)-ウ-① 事後評価書等の公表状況
表4-(2)-ウ-③ 調査対象20地域計画のうち、事後評価書等が公表されていないものの理由
都道府県 地域 未公表理由
北海道 北見地域 公表しなければならないことを認識していなかったため。
山形県 東根市外二市一町共立衛生処理組合地域 組合が公表しなければならないことや適切な公表方法について知らなかったため。
福井県 若狭町 公表すべきことを承知していなかったため。
福井県 美浜・三方地域 公表すべきことを承知していなかったため。
福岡県 筑紫野・小郡・基山地域 事後評価実施時において、ホームページや独自の広報誌がなく、公表する手段がなかったため。

5 廃止されたごみ焼却施設の未解体への対処
調査の結果
(環境省による廃止されたごみ焼却施設の解体に関する財政支援措置)
環境省は、平成14年のダイオキシン類排出規制の強化に適合できなかったこと等の理由により廃止されたごみ焼却施設の解体について、市町村等からの財政支援の要望も踏まえ、16年度に廃焼却炉の解体費に対する国庫補助制度を創設し、跡地の全部又は一部にストックヤードなどの廃棄物処理施設を整備する場合に、廃焼却炉の解体費を含め国庫補助を行ってきている。また、平成17年度からは、交付金においても同様の措置を講じている。
(総務省による財政支援措置)
総務省は、廃焼却炉の解体撤去工事を新施設の建設事業と一体として実施する場合に、該当の事業債の対象とし、また、跡地利用計画がなく更地にする場合等、市町村が単独事業により解体撤去工事を実施する場合には、解体に要する経費の30%を特別交付税として措置(注)することとしている。
(注) 特別交付税に関する省令(昭和51年自治省令第35号)の改正により、当該措置は平成26年度で廃止された。
(環境省による解体促進に向けた取組)
環境省は、廃止されたごみ焼却施設の解体促進に向けて、平成18年1月に、各都道府県に対し、上記の国の措置について、管下の市町村に周知するよう要請している。
また、総務省では、地方財政法(昭和23年法律第109号)の改正により、地方公共団体が、公共施設の解体撤去を含めた老朽化対策を総合的かつ計画的に行うために策定する「公共施設等総合管理計画」(注)に基づいて行われる解体撤去について、平成26年度からその費用を地方債の対象とする特例措置を創設しており、環境省は、同年度及び27年度に開催された、都道府県、政令指定都市及び中核市の廃棄物処理担当課長が参集する「全国廃棄物・リサイクル行政主管課長会議」において、当該特例措置を活用し廃焼却炉の円滑な解体が促進されるよう市町村への周知等を要請している。
(注) インフラ長寿命化基本計画に基づき、地方公共団体が策定する行動計画のこと。
今回、調査対象14都道府県における廃止されたごみ焼却施設の解体等の実態を調査した結果、以下の状況がみられた。
ア 未解体となっているごみ焼却施設の状況
調査対象14都道府県において、既に廃止されたごみ焼却施設のうち、平成27年1月1日時点で未解体となっている施設が計142施設みられ、その理由は、予算の確保が困難等地方公共団体における財政事情によるもののほか、跡地利用が未定であることによるものとされている。
また、コンクリート系の建築物の耐用年数が50年とされていることから、未解体の142施設のうち、使用開始年度が不明の1施設を除いた141施設について、使用開始からの経過年数をみると、50 年以上経過している
ものが3 施設みられた。
イ 解体処理が進まない背景
廃止されたごみ焼却施設の解体処理が進まない背景には、ダイオキシン類の飛散や作業員の暴露防止対策等に膨大な費用を要すること(注)が一つある。このため、市町村等は、解体撤去のみについても交付金の交付対象とするよう要望している。これに対して、環境省では、既に、解体跡地の全部又は一部を活用し、新たな廃棄物処理施設を整備する場合には、廃焼却炉の解体に要する費用を交付対象としているが、解体事業のみを行う場合は、後世に資産を残すという公共事業の性格に馴染まないことから、交付金の対象とすることはできないとしている。
(注) 総務省による「公共施設等の解体撤去事業に関する調査結果」(平成25 年12 月)では、廃棄物処理施設の平均解体撤去費用が2 億3,600 万円とされている。
ウ 東日本大震災の発生による未解体施設の被災
調査対象70 市町村等の中には、新たな清掃工場が市内に整備されたことに伴い廃炉となったものの、数億円に上る解体費用が確保できず未解体となっていたところ、東日本大震災が発生し、当該施設が被災した例がみられた。我が国では、将来、首都直下地震や南海トラフ巨大地震を始めとする大規模地震の発生が予見されているところであり、こうした大規模地震の発生に備えた未解体施設への適切な対処が重要と考えられる。
エ 地方債の特例措置に係る市町村の動向
総務省は、前述のとおり、地方財政法の改正により、公共施設等総合管理計画に基づいて行われる解体撤去の費用を平成26 年度から地方債の対象とする特例措置を講じているが、同省の調査結果によれば、全国の市町村の多くが、28 年度中に公共施設等総合管理計画を策定する予定としており、同計画の中で未解体施設の解体撤去に向けた取組方針が盛り込まれることが期待されているところである。
オ 廃止されたごみ焼却施設の解体撤去事例・活用事例
このような中、調査対象70 市町村等においては、以下の例がみられ、こうした未解体施設に対する措置は、住民の安全・安心や公共用地の有効利用に資する、未解体施設への対処方策の一つとなり得ると考えられる。
)廃止届が提出された一部事務組合が設置する旧清掃工場の撤去には多額の費用を要することから早急な撤去はできなかったものの、平成25、26 年度に約5 億円の費用をかけて、まずは建物地上部分の解体撤去を行っている例
)廃止されたごみ焼却施設について、市内の別の資源化施設に一元化・集約化するまでの間の措置として、当該焼却施設の一部(ごみピット等)を改造し、資源化施設として活用している例

表5-③ 調査対象14都道府県における廃止されたものの未解体となっているごみ焼却施設の概況
未解体施設総数 142施設
使用開始からの経過年数
30年未満の施設 61施設
40年未満の施設 45施設
50年未満の施設 32施設
50年以上の施設 3施設
経過年数が不明の施設 1施設
(注)1 当省の調査結果による。
2 上記は、平成27年1月1日時点の状況を取りまとめたものである。
3 上記142施設には、廃掃法の適用外のものが含まれる。
4 同一焼却施設で炉の廃止時期が異なるものは、それぞれ計上している。

表5-⑤ 解体費用が確保できず未解体となっていたところ、東日本大震災の発生により、ごみ焼却施設が被災した例
住宅地やJR仙石線に隣接していた宮城県仙台市の小鶴工場は、新たに松森工場が整備されたことに伴い、平成17年に廃炉となったものの、跡地利用が決まらず、数億円に上る解体費用が確保できずに未解体となっていたところ、23年3月、東日本大震災が発生し被災した。
なお、当該施設については、倒壊のおそれがあったことから、同市は、震災復興事業として補助金を受けて、平成25年3月に当該施設を解体した。

表5-⑦ 廃止された未解体施設の撤去・活用例
① 岸和田市貝塚市清掃施設組合は、平成19年3月末に操業を停止した旧清掃工場(新工場とは別敷地:150t/日×4施設)について、20年4月に廃止届を提出している。同組合では、旧清掃工場の撤去は、ストックヤード等の施設の設置を伴うものでないため、交付金の対象事業とはならず、組合の単独費用で実施することとなるため、多額の費用を要することから早急な撤去はできなかったものの、平成25、26年度に4億8,930万円の費用をかけて建物地上部分の解体撤去(26年度末完了)を実施している。ただし、地中・地下施設の撤去工事については、更に数億円の費用を要することから現時点で未実施であり、今後、新工場の土地取得費に係る最初の償還期限を終えて経費上の余裕が生じる平成29年度以降を目途に実施する予定としている。
② 愛媛県八幡浜市は、平成14年11月に廃止したごみ焼却施設(北環境センター)について、同市内の別の資源化等を行う施設に一元化・集約化するまでの間の措置として、当該焼却施設の一部(ごみピット等)を改造し、資源化等を行う施設(ペットボトル及びプラスチック製容器包装の圧縮処理を行う場所)として活用している。


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