「清掃工場等作業年報(平成26年度 )」が公表された~
以下、東京二十三区清掃一部事務組合「清掃工場等作業年報」より転載
グラフは、「清掃工場等作業年報」から作成
清掃工場等作業年報 平成26年度
●本文(PDF:341KB)
●資料編(PDF:548KB)
平成26年度 清掃工場等作業年報
1 清掃工場稼働実績
(1)処理量
平成26年度は、19の清掃工場に、可燃ごみ等が 267万5,061t 搬入され、焼却処理された。処理量は前年度比3万1,700t(1.2%)の減少であった。なお、処理量は、災害廃棄物受入量を含めた数値である。
平成26年度の焼却処理量は前年度よりも減少、なんとか減少傾向を維持している。
災害廃棄物は大島町の受入2,820.12トン(平成25年10月発生台風26号)
事業系持込みごみは増加してる。
●清掃工場ごみ処理量
各工場からの残灰処理量をみてみると、、、残灰率11%~13%
残灰は主灰+飛灰など
(2)稼働時間及び故障件数
焼却炉の延べ稼働時間は、23万4,099時間で、前年度比で16,991時間(6.8%)の減少であった。焼却炉の延べ休止時間は7万2,584時間で、前年度比で446時間(0.6%)の減少となった。休止時間の内訳は、定期点検補修工事56.5%、中間点検22.7%、調整10.0%、故障10.8%であった。
また、故障件数は、74件で前年度より12件増加している。
●清掃工場 延べ稼働時間の推移
平成26年度 23区の19清掃工場の合計で(大田新工場含む)
延べ稼働時間 234,099時間(稼働日数5,160日)
休炉時間合計 72,584時間
定期点検補修 40,981時間
中間点検 16,461時間
調整 7,280時間
故障 7,862時間
年末年始 0時間
計画年間稼働日数
=暦日数-計画停止日数-年末年始停止日数-故障停止日数
(計画停止日数=定期点検補修+中間点検日数)
=365日-69日-4日-9日=283日
施設整備計画焼却余力の考え方の中で、、、
計画停止日数を、これまでの59日を69日に見直した根拠(実績から)は26年度でみるとどうなのか、、
単純に時間を24時間で割って日数にして工場数で割るとヘンな数字になるし、
いろいろ考えていたら頭が痛くなるので、早々に辞めてしまった、、
現実問題、水銀による炉停止、世田谷のダイオキシンと、,,ごみは減っても炉は突如止まることはあるけれど、、
こういうハイテクプラント相手だと、融通が利かなくて、困ったものだ、、、、
●清掃工場別 延べ稼働・休炉時間内訳
平成26年度も、年末年始の停止はすべての工場でゼロとなっている。
計画稼働日は年末年始停止は4日分マイナスしているので、
計画稼働日数の稼働率がいいのはそのおかげなのか?
その分、故障件数は増えて、世田谷のダイオキシン類も調整枠に入っているのか、、
平成26年度、水銀含有廃棄物による焼却炉停止の影響は中央、江戸川、品川、、、
中央2号炉:平成26年2月8日~6月11日まで停止。
江戸川2号炉:11月3日~12月13日まで停止。
品川1号炉:27年1月28日~2月20日まで停止。
●清掃工場別 稼働状況(率)
暦日数での稼働率、括弧内は計画稼働日数に対する稼働率
世田谷は、計画稼働日数に対する稼働率でも72%、、27年度はさらに停止期間が長期となるので、、
計画稼働日数=暦日数-工事日数-年末年始停止(4日)-故障見込み
工事日数=定期点検補修工事日数+整備工事日数+中間点検日数
故障見込み=(暦日数-工事日数-年末年始停止)×3%
炉稼働率 a =(炉稼働時間/(暦日数×24×炉数))×100
b =(炉稼働時間/(計画稼働日数×24×炉数))×100
練馬、杉並の建替、大田第一の休止、大田(新)工場の稼働と、、、
港清掃工場は3炉施設で1炉は予備炉としていたのが、平成24年2月24日以降は3炉稼働となっている。
(清掃工場の建て替えに伴う措置)
●清掃工場稼働状況(率)年度推移
●清掃工場の故障件数(平成26年度)
世田谷清掃工場、ダイオキシン問題なくとも故障はダントツ多い、
破砕ごみ(流動床)も故障多し、平成27年度末で休止の予定施設
新江東も、故障件数が増えてきた~
●清掃工場別 故障による休炉件数の推移
当然のことではあるが、単純に故障による炉停止の件数だけではその影響ははかれないが、、、
どんなトラブルかによって,炉停止の時間も変わってくる、、平成26年度の休炉回数と炉停止の時間、、
豊島清掃工場は、故障による休炉は1回のみだったが、、炉停止時間は約1,600時間
豊島1号炉 発生H26年12月5日 4時12分~復旧H27年2月10日 8時02分
故障内容:1号炉が炉内圧力異常高により緊急停止した。また、4時47分に復水タンクレベルが異常低となり、4時52分に2号炉がボイラドラムレベル異常低により緊急停止した。
●清掃工場別 故障による休炉回数と炉停止の時間
具体的な故障の内容など↓↓
☆参考
●東京23区「清掃工場故障週報」平成26年度 (日付順)
●東京23区「清掃工場故障週報」平成26年度 (工場別)
(「清掃工場故障週報」から私的に作成分)
●清掃工場 故障件数の年度推移
(3)電力使用量
①使用電力量
平成26年度の清掃工場の総使用電力量は5億7,747万KWhで、前年度比で2,129万KWh(3.6%)の減少となった。
内訳をみると、発電電力量の所内使用分は、5億2,626万KWhで、前年度比で3,092万KWh(5.5%)の減少、受電電力量が5,121万KWhで 前年度比963万KWh(23.2%)の減少となっている。平成26年度においても、東日本大震災後の電力需給の逼迫に対する取り組みとして、灰溶融炉の停止を行っ た。
●総使用電力量の推移
②単位使用電力量
ごみ1tを焼却処理するための単位使用電力量は、220KWh/tで前年度比、1KWh/t(0.5%)の減少となった。
また、単位発電電力は422KWh/tで5KWh/t(1.3%)の増加となった。
●ごみ1t焼却あたりの使用電力量及び発電電力量の推移
(4)余熱利用
平成26年度の清掃工場における熱回収による総蒸気発生量は935万tであり、前年度比36万t(3.7%)の減少となった。
①発電
ごみ発電による発電電力量は11億624万KWhで、前年度比で2,078万KWh(1.8%)の減少となった。内訳は、所内使用分が47%、売電分が 53%の割合であった。売電電力量は、5億8,094万KWhであり、前年度比で1,032万KWh(1.8%)の増加となった。また、平成26年3月から平 成27年2月までの売電収入は、104億607万円となり、前年同期と比較して6億177万円(6.1%)*の増加となった。
総蒸気発生量のうち、発電に利用されたのは666万tで、割合は71%であった。前年度比では20万2,965t(3.0%)の減少となった。
*新エネルー等電気相当量(環境価値分)含む。
●ごみ発電電力量の推移
●総発電量と売電量、売電金額の推移
固定価格買取制度により売電単価が17円/KWhとなったため売電金額は一気に増大した。
売電収入は、104億607万円となる
②熱供給
平成26年3月から平成27年2月までの売却熱量は、52万6,010GJであり、前年同期と比較し2万741GJ(3.8%)の減少となった。また、売却熱料金は、1億8,766万円であり、前年同期と比較し442万円(2.4%)の増加となった。
発電による売電量と熱供給による売却熱量の収入は、105億9,373万円で、前年同期と比較して6億620万円(6.1%)の増加となった。
(5)水使用量
平成26年度の清掃工場の水使用量は、226万3,393m3であり、前年比で、12万9,823m3(5.4%)減少した。
内訳は、上水使用量が131万6,504m3で、前年度比7万8,841m3(5.7%)減少した。工業用水及び処理水が、94万6,889m3で、前年比5万982m3(5.1%)の減少となっている。
●清掃工場の水道使用量の推移
(6)補助燃料使用量
平成26年度の清掃工場の焼却炉の補助燃料である都市ガスの使用量は、346万1,038m3となり、前年度と比較して52万8,013m3(18.0%)の増加となった。
※通常、ごみは都市ガスの燃料を使用することなく燃焼しているが、焼却炉の立ち上げ、立下げ時や炉内温度低下時にはバーナーを使用する。バーナーの燃料には、都市ガスを使用している。
●工場別 補助燃料使用量(平成 26年度)
立上げ、立下げ回数:光が丘14回、目黒14回、有明14回、千歳12回、江戸川20回、墨田8回、北4回、新江東27回、港16回、豊島12回、渋谷8回、中央7回、板橋13回、多摩川12回、足立8回、品川14回、葛飾12回、世田谷36回、大田(新)11回となっている。
世田谷清掃工場
流動床ガス化溶融炉 300t/日(150t×2炉)平成20年3月竣工
平成26年度のごみ処理量 62,938.50トン
炉 の規模、炉数の違いもあるので、立上げ、立下げ回数も,都市ガス使用量も一概に比較はできないが、平成26年度の世田谷の都市ガス使用量は立上げ、立下げ 106,074m3、助燃は262,035m3である。23区で唯一のガス化溶融炉、故障もダントツ多いが、都市ガス使用量も突出している。いったいどう なっているのか~ ガス化溶融、これほどまでも助燃なくして稼働できぬのでは、、、しかし、世田谷清掃工場、これでも以前に比べると少しはましになったのであ る、、、
●世田谷清掃工場 補助燃料使用量推移
☆世田谷は平成19年3月15日から稼働
●焼却炉の都市ガス使用量の年度推移
☆平成14年度は、補助燃料として重油(11.6KL)使用の工場あり。(たぶん大田第二)
中防の破砕ごみ処理施設は都市ガスではなく、重油を253KL使用
●補助燃料使用量の推移
☆世田谷清掃工場平成20年3月に竣工してから助燃用が急増
そして、世田谷、故障も多く、立ち上げ立ち下げでも燃料使用増加に、、
2 灰溶融施設処理実績
平成26年度は、6溶融施設で3万4,591tを灰溶融処理し、生成されたスラグ量は3万3,686tであった。平成26年度においても、東日本大震災後の電力需給逼迫に対する取り組みとして、灰溶融炉の停止を行った。
●灰溶融施設 処理量の推移
平成25年度、平成26年度と、灰溶融処理量とスラグの生成量がほぼ同じ!!!
特に中防灰溶融施設分はかなりの重量差なのだが、中防は、清掃工場併設ではないので、他の清掃工場から主灰を運んでくる。「主灰は、水分と鉄分を含んでの重量であり、灰乾燥機で乾燥させ、また混入している鉄分を除去するので、溶融炉へ投入する時点では重量は減っている。」ということのようだ~
●灰溶融施設別処理量
平成25年度末をもってやっと休止となった中防灰溶融施設。
26年度は溶融処理をおこなっていないが、スラグ搬出量はは搬出した時点での計上
●灰溶融施設別処理量(月別)
●灰溶融施設稼働率
休止計画を前にしてか、ほとんど稼働していないので、
☆夏場の溶融停止期間、年間とおして複数炉ある施設では1炉稼働となっている~
●灰溶融施設の故障件数
あまり動いていないので故障も少ない、、、
●灰溶融施設故障件数の推移
☆稼働しなければ故障も少なくなるとはいえ、それでも故障による休炉あり、~
過去、灰溶融施設の故障による炉停止は、復旧までに長期にわたる故障が多かったが、
今は、動かないのでそういう心配もあまりなくなった、、、
板橋の故障による休止なし、ほんとうにほれぼれする。
23区の灰溶融施設、「平成28年度以降は、2施設残して順次休止する計画」を決めるとき、「板橋と多摩川」が残るだろうと予想していたが、予想は外れて残る施設は「多摩川と葛飾」となった。板橋ほど順調な稼働はなかったのに、稼働年数のこともあったのか、
●灰溶融施設電力・ガス使用量
☆稼働率どんなに悪くとも、これだけ電気とガスの燃料費がかかる。
金食い虫の中防灰溶融が休止して、電気使用量も大幅減少すると思ったが、、、
平成26年度の中防は、他工場からの焼却灰の混練りなどのためかな?
3 不燃ごみ処理センター処理実績
平成26年度は、中防不燃ごみセンターで6万2,953t(77%)、京浜島不燃ごみセンターへ1万8,488t(23%)、あわせて8万1,442t搬入され、選別等処理した後、8万962tの搬出を行った。
処理後の搬出の内訳は、6万7,926tを埋立、1万2,821tを資源として売却、その他として214tを焼却及び粗大ごみ破砕処理施設で破砕処理している。
●不燃ごみ処理センター処理量の推移
4 粗大ごみ破砕処理施設処理実績
平成26年度は、粗大ごみ破砕処理施設に7万1,141t搬入され、破砕等処理した後、9万1,924tの搬出を行った。
処理後の搬出の内訳は、1万3,991t(15%)を埋立、6万6,583t(72%)を破砕ごみ処理施設及び清掃工場において焼却、1万4,206t(12%)を資源(鉄)として売却した等である。
●粗大ごみ破砕処理施設処理量の推移
5 し尿の下水道投入施設処理実績
平成26年度は、品川清掃作業所に1万715tのし尿が搬入され、一定の処理を加えて公共下水道に投入した。
堀之内中継所の廃止に伴い、平成26年度より直接搬入のみとなった。
平成22年度の年報までは量の単位がKlであったが、これは目測による容量軽量値(タンク容量)を含んでいたために、重量値も一律にKLとして表記して いたことによる(1t=1KLの換算)。平成23年度からは堀之内中継所でも台貫による重量での計量となり、重量値も一律にKLとして表記していたことによる(1t=1KLの換算)。平成23年度からは堀之内中継所でも台貫による計量となり、重量で藤一されたために、単位はtの表記とした。
品川清掃作業所 直接搬入量の内訳(平成26年度)
し尿:1,892t(17.7%)
浄化槽汚泥:427t(39.9%)
ディスポーザ汚泥:4,533t(42.3%) ←年々増加傾向
ビルピット汚泥:16t(0.2%)
6 有価物売却実績
不燃ごみ処理センター、粗大ごみ破砕処理施設、灰溶融施設及び清掃工場での鉄、アルミニウム等を年間2万6,289t売却し、売却による収入は13億7,913万円であった。売却量は鉄が2万3,262tで最も多く、売却金額では鉄が4億7,830万円、アルミニウムが1億4,056万円となっている。また、 灰溶融施設の炉底メタル(ベースメタル)、水砕メタル(平成22年度の年報まで溶融メタルと呼称していた。)、平成26年度からその他として灰バッテリー、羽毛布団、ゴルフボール等を売却している。
●有価物売却量の推移
●有価物売却額の推移
7 災害廃棄物の受け入れ
平成25年10月の台風26号に伴い発生した災害廃棄物(大島町の可燃性廃棄物(木くず等))の受入及び焼却処理を、平成26年1月から行い平成26年10月に完了した。平成26年度は,2,820tを受け入れ、焼却処理した。
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●清掃工場別CO2排出量
☆中防処理施設(不燃、粗大、破砕、中防灰溶融):エネルギー起源CO2:14,628t、
☆破砕ごみ処理施設(流動床炉):緋エネルギー起源CO2:14,852t
●清掃工場CO2排出量推移
●清掃工場、温室効果ガス排出量の法的義務
23区の清掃工場、補助燃料は全て都市ガス
使用電力量と補助燃料使用量が、エネルギー起源CO2排出で削減義務の対象
非エネルギー起源CO2:廃プラスチックや合成繊維などの焼却により発生するCO2 廃プラスチック1トンを処理すると2.7トンのCO2が出る計算
(生ごみなどの有機物の焼却により発生するCO2はカーボンニュートラルとして算定しない。)
●労働災害発生状況
これまでの作業年報では、労災発生件数は「再雇用職員及び業者による災害は含まない」となっていたのだが、平成24年度作業年報から、職員、再雇用者、運転管理委託、定期点検請負、その他請負工事業者などの労働災害発生件数内訳もだしている。
平成26年度
死亡災害 0件
重傷災害 5件(休業日数が1日以上要した災害)
大田(運転管理委託等業務受託者)、北(清掃工場等職員)、港(定期点検補修工事等請負業者)、中防2(運転管理委託等業務受託者)
その他の労働災害23件(休業日数なし(0日)の災害)
●清掃工場バンカ内出火状況推移
●薬品使用実績推移
薬品使用実績の「その他」欄、平成26年度は、消臭剤(16,930Kg)や殺虫剤(328Kg)が複数工場であり。害虫の大量発生でもあったのだろうか?消臭剤は、ごみの臭いが漏れ出しているのを消臭ではないのだろうが、、、
23 区の清掃工場等作業年報にはいろんなデータ満載である。しかし、これまで、焼却処理や溶融処理の部分にばかり気をとられて、資料編の数字ばかりを追っかけ ていて、年報の本文をきちんと読んでいなかったことにいまごろ気がついた。電力、不燃ごみ、破砕ごみ、有価物まで、いろんなことがまとめてあって、とても わかりやすい。毎年、ながめていても、そのまま素通りしていたのか、今さらながらに、なにもわかっていないことを再認識した。専門的なことがわからずに、 ただ、数字だけ追っかけて、グラフを作って、ああだ、こうだといっても、所詮はよくわからない。電力のことも、単位の見方も、初歩的なこともわからなく て、聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥で、やっとぼちぼち問い合わせて学習しているが、わからないこと多すぎて追っつかない。オンブズマンのように、不正や 不当な行為の監視などにはほど遠いが、まあ~、せっかくこれまで首をつっこんでしまったので、素人のわからないなりにみていきたいとおもう。清掃工場の建 て替え、電力のこと、不燃ごみ残さの焼却のこと、気になることはたくさんあるので~ 残灰量、電気年報、ボイラ関係年報、薬品使用実績なども内容がうまく 理解できればおもしろいのだろうが、よくわからないのが残念。
次は、3月末の「清掃工場別の処理単価」の公表、、