■マイクロプラスチックの環境汚染 安易な使用、見直し迫る
日本総合研究所理事 足達英一郎
日本経済新聞-2015年6月29日
6月8日に閉幕したG7エルマウ・サミットの首脳宣言で「マイクロプラスチック」の問題が取り上げられた。海洋ごみの約70%を占めるプラスチックゴミのうち大きさが5ミリメートルを下回ったものだ。海鳥の誤飲など物理的な障害のほか化学物質の毒性への懸念も広がっている。 ...
(略)
実は、マイクロプラスチックによる海洋汚染の問題は、昨年、国連環境計画から発表された「世界で新たに生じている環境問題」と題する報告書のなかに も、盛り込まれていた。このなかの記述で興味深いのは、マイクロプラスチック自体が、歯磨き粉、洗浄ジェル、顔用クレンザーなどに使われており、漂流プラ スチックが劣化していくのとは別に、生活排水からもこの問題に拍車がかかっているという指摘であろう。
この報告書でも、「単なる便利さだけを追求して、安易にプラスチック容器や包装を使う生活を改めるべき」であることが述べられている。国連では、マイクロプラスチックが魚介類を食べる人間にどのような影響を与えるのかについての専門家調査を開始したところだという。
ただ、プラスチックの分解スピードを考えれば、悪影響が検証された段階でプラスチック規制に乗り出しても対策としては遅すぎるという批判も有力だ。食品、 生活用品、小売りなど消費者に接する企業はもちろん、化学業界にとっても、マイクロプラスチック問題にどのような姿勢で臨むのかが問われている。
[日経産業新聞2015年6月25日付]
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マイクロプラスチックの環境汚染 安易な使用、見直し迫る
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