新江東清掃工場の死亡事故に関連して、「進む委託 安全に影」「清掃工場の委託中止要望」など、東京新聞や都政新報で大きく取り上げられた。これまで、「委託」の問題も、メリット・デメリットあるだろう程度にしか考えなかったが、先日、「清掃工場別の処理単価(平成23年度)」が公表されたので、財政面から、どの程度の効果があるのかなどグラフ化してみた。
今では、自治体業務の民間委託化は、さまざまな事業で、いろんな方式で実施されている。身近でも、学校給食の民間委託(このときはずいぶん反対した)、図書館など公共施設の指定管理者制度等々、、、廃棄物処理施設の整備事業においても、設計・建設、運営を民間に委託するDBO方式も増えてきた。PFI方式もめずらしくない。大阪市も、ごみの焼却処理事業は、今後、公営(2工場)、運転業務等の民間委託(2工場)、業務全般の民間委託(2工場)と方針を公表している。
清掃一組も、「経営改革プラン 2009」の中で、重点施策として「清掃工場のアウトソーシングを推進しながらも、安全で安定的な工場運営を実現させるため、実践的で実効性があり、運営の質を上げる取組など、質の向上を重視したものに集中的に取組む」としている。
清掃工場の委託と言えども、施設の運営すべてを任せる運営委託もあり、業務の一部の委託もあり、中には、祝祭日や深夜・夜間に限った業務委託の入札公告も目にすることがある。清掃一組の清掃工場の委託は「運転管理業務」の委託ということのようである。清掃工場の業務体系もあまりわかっていないので、それがなにを意味するのかも理解できないが、豊島清掃工場「環境報告書2012」に、清掃工場の業務の内容などがわかりやすくでていた〜
全くの素人からみれば、清掃一組の「運転管理業務」の委託というのは、
みようによっては、清掃工場のいちばんかっこよく(中央制御室)、肝心要の(熟練を要する)、また、たいへんな部分(24時間体制)を委託する、ということなのか。もちろん、なにごとも、仕事というのは、新幹線の運転手も、線路の保守点検から、車輌の整備や点検があればこそ安全運転につながるのはいうまでもないのだろうが。とりあえず、あまりわからないままに、業務の内容、委託による職員数の変化、委託による財政効果を、公表されている数字からみてみた〜
豊島清掃工場の例でみると
管理係
・工場の事務事業の運営及び所属職員に関する事務を行います
技術係及び業務班
・清掃工場の入口と出口にあたる、可燃ごみの搬入と灰の搬出を担当します。
・工場で必要となる資材の手配や建物全体の維持管理を行います。
・排ガス分析計等の測定機器を管理し、環境対策に関する業務を総括します。
整備係
・整備係は、清掃工場を安全かつ安定的に稼動するよう、設備の整備を行っています。
・設備の整備は、年間整備計画により行っています。維持管理や法定検査のために行う焼却炉補修工事、維持管理状態の調査のための中間点検、機能維持のための月例点検を行っています。
運転班
・運転班はA班からD班で構成され、24時間体制で運転監視を行っています。
・各種設備機器の巡回点検を行い、正常な稼動を維持するのも、運転班員の重要な役割です。
☆「豊島清掃工場環境報告書2012」より
◆23区清掃工場の人件費 年度推移
こうしてみると、今のところは、なんとか若干の財政効果ありという程度。直営職員人件費には、退職手当等は含まれていないようなので、その分は効果ありかもしれない。
◆清掃工場 人件費の推移一覧(灰溶融施設除く)
定年退職後の任用が再任用だと思うが、再雇用の意味がわからない。それにしても、退職不補充なのか、新たな職員の採用が少ないということなのか、だから、業務委託なのか、業務委託故にそうなのか、
◆23区清掃工場 在職員数(灰溶融施設含む)
全体の職員数の9割近くが清掃工場勤務?!
◆職員の任免及び職員数に関する状況(清掃一組全体)
職員全体に占める区派遣職員は29%、事務職に関しては区派遣職員は67%、
◆清掃一組職員数の状況 職種別(1)
◆清掃一組職員数の状況 職種別(2)
こうしてみると、杉並のH17年度・H18年度と、練馬のH17年度の直営人件費が、なぜ新江東よりも高騰しているのか疑問だが、工場の規模と人材配置の人数は関係ないのか、(職員数は3工場同程度)
◆23区清掃工場 工場別直営人件費
◆23区清掃工場 運転管理業務委託費
◆清掃工場別人件費の推移
杉並清掃工場 ←財政効果ありにもみえるが、平成17年度、18年度の直営人件費が高すぎるので適正な評価はできない
大田(第一)清掃工場 ←当てずっぽうで、平成20年は大田第二の職員の大移動?!
大田(第二)清掃工場
練馬清掃工場 ←練馬も杉並同様、平成17年度の直営人件費が高すぎるので適正な評価はできない
有明清掃工場
千歳清掃工場
江戸川清掃工場
墨田清掃工場
北清掃工場
港清掃工場
豊島清掃工場
人件費だけを比較してみると、逆に、委託することで直営時より高くついている工場も多いが、見た目だけではよくわからない。どちらにしても、委託による財政効果の前に、安全な運転が確保できるかどうかの検証が重要なのだろう。素人的には、故障件数や、維持管理記録の逸脱などは、焼却炉の形式によるものもあるので、公表されているものだけでは判断できない。また、清掃工場という職場が労働安全面のみならず、どのような職場環境となっているのかなど、気になるところはいろいろある。直営工場であれいろんな問題はあろうが、その中で、一部の業務が委託となって、工場全体の運営をまとめていくのもよほどの手腕がいるだろう。
運転管理の業務委託に限らず、直営の工場にしても、定期点検補修工事を初めとするさまざまな補修工事等が委託されている。清掃工場の運営には、外部への業務委託なくしては成り立たないのも現実であろう。清掃一組は、直営であれ、委託であれ、なんであれ、「安全で安定的な工場運営を実現させるため、実践的で実効性があり、運営の質を上げる取組など、質の向上を重視したものに集中的に取組む」ということを実現してもらうしかない。
■東京23区の清掃工場 運転管理業務の委託状況
現在稼働中19清掃工場のうち、8工場で運転管理業務の委託を実施
委託先は、東京エコサービス以外は、各清掃工場焼却炉のプラントメーカ関連に委託
平成32年度までにおおむね15清掃工場の委託化を予定
(灰溶融施設の7施設は全て委託)
※表は東京二十三区清掃一部事務組合「事業概要」「財政計画」、東京エコサービスHP等から作成
参考(清掃一組HP)
■「経営改革プラン2009」の策定について
■清掃工場別の処理単価
■人事行政の運営状況及び給与等の公表について
今では、自治体業務の民間委託化は、さまざまな事業で、いろんな方式で実施されている。身近でも、学校給食の民間委託(このときはずいぶん反対した)、図書館など公共施設の指定管理者制度等々、、、廃棄物処理施設の整備事業においても、設計・建設、運営を民間に委託するDBO方式も増えてきた。PFI方式もめずらしくない。大阪市も、ごみの焼却処理事業は、今後、公営(2工場)、運転業務等の民間委託(2工場)、業務全般の民間委託(2工場)と方針を公表している。
清掃一組も、「経営改革プラン 2009」の中で、重点施策として「清掃工場のアウトソーシングを推進しながらも、安全で安定的な工場運営を実現させるため、実践的で実効性があり、運営の質を上げる取組など、質の向上を重視したものに集中的に取組む」としている。
清掃工場の委託と言えども、施設の運営すべてを任せる運営委託もあり、業務の一部の委託もあり、中には、祝祭日や深夜・夜間に限った業務委託の入札公告も目にすることがある。清掃一組の清掃工場の委託は「運転管理業務」の委託ということのようである。清掃工場の業務体系もあまりわかっていないので、それがなにを意味するのかも理解できないが、豊島清掃工場「環境報告書2012」に、清掃工場の業務の内容などがわかりやすくでていた〜
全くの素人からみれば、清掃一組の「運転管理業務」の委託というのは、
みようによっては、清掃工場のいちばんかっこよく(中央制御室)、肝心要の(熟練を要する)、また、たいへんな部分(24時間体制)を委託する、ということなのか。もちろん、なにごとも、仕事というのは、新幹線の運転手も、線路の保守点検から、車輌の整備や点検があればこそ安全運転につながるのはいうまでもないのだろうが。とりあえず、あまりわからないままに、業務の内容、委託による職員数の変化、委託による財政効果を、公表されている数字からみてみた〜
豊島清掃工場の例でみると
管理係
・工場の事務事業の運営及び所属職員に関する事務を行います
技術係及び業務班
・清掃工場の入口と出口にあたる、可燃ごみの搬入と灰の搬出を担当します。
・工場で必要となる資材の手配や建物全体の維持管理を行います。
・排ガス分析計等の測定機器を管理し、環境対策に関する業務を総括します。
整備係
・整備係は、清掃工場を安全かつ安定的に稼動するよう、設備の整備を行っています。
・設備の整備は、年間整備計画により行っています。維持管理や法定検査のために行う焼却炉補修工事、維持管理状態の調査のための中間点検、機能維持のための月例点検を行っています。
運転班
・運転班はA班からD班で構成され、24時間体制で運転監視を行っています。
・各種設備機器の巡回点検を行い、正常な稼動を維持するのも、運転班員の重要な役割です。
☆「豊島清掃工場環境報告書2012」より
◆23区清掃工場の人件費 年度推移
こうしてみると、今のところは、なんとか若干の財政効果ありという程度。直営職員人件費には、退職手当等は含まれていないようなので、その分は効果ありかもしれない。
◆清掃工場 人件費の推移一覧(灰溶融施設除く)
定年退職後の任用が再任用だと思うが、再雇用の意味がわからない。それにしても、退職不補充なのか、新たな職員の採用が少ないということなのか、だから、業務委託なのか、業務委託故にそうなのか、
◆23区清掃工場 在職員数(灰溶融施設含む)
全体の職員数の9割近くが清掃工場勤務?!
◆職員の任免及び職員数に関する状況(清掃一組全体)
職員全体に占める区派遣職員は29%、事務職に関しては区派遣職員は67%、
◆清掃一組職員数の状況 職種別(1)
◆清掃一組職員数の状況 職種別(2)
こうしてみると、杉並のH17年度・H18年度と、練馬のH17年度の直営人件費が、なぜ新江東よりも高騰しているのか疑問だが、工場の規模と人材配置の人数は関係ないのか、(職員数は3工場同程度)
◆23区清掃工場 工場別直営人件費
◆23区清掃工場 運転管理業務委託費
◆清掃工場別人件費の推移
杉並清掃工場 ←財政効果ありにもみえるが、平成17年度、18年度の直営人件費が高すぎるので適正な評価はできない
大田(第一)清掃工場 ←当てずっぽうで、平成20年は大田第二の職員の大移動?!
大田(第二)清掃工場
練馬清掃工場 ←練馬も杉並同様、平成17年度の直営人件費が高すぎるので適正な評価はできない
有明清掃工場
千歳清掃工場
江戸川清掃工場
墨田清掃工場
北清掃工場
港清掃工場
豊島清掃工場
人件費だけを比較してみると、逆に、委託することで直営時より高くついている工場も多いが、見た目だけではよくわからない。どちらにしても、委託による財政効果の前に、安全な運転が確保できるかどうかの検証が重要なのだろう。素人的には、故障件数や、維持管理記録の逸脱などは、焼却炉の形式によるものもあるので、公表されているものだけでは判断できない。また、清掃工場という職場が労働安全面のみならず、どのような職場環境となっているのかなど、気になるところはいろいろある。直営工場であれいろんな問題はあろうが、その中で、一部の業務が委託となって、工場全体の運営をまとめていくのもよほどの手腕がいるだろう。
運転管理の業務委託に限らず、直営の工場にしても、定期点検補修工事を初めとするさまざまな補修工事等が委託されている。清掃工場の運営には、外部への業務委託なくしては成り立たないのも現実であろう。清掃一組は、直営であれ、委託であれ、なんであれ、「安全で安定的な工場運営を実現させるため、実践的で実効性があり、運営の質を上げる取組など、質の向上を重視したものに集中的に取組む」ということを実現してもらうしかない。
■東京23区の清掃工場 運転管理業務の委託状況
現在稼働中19清掃工場のうち、8工場で運転管理業務の委託を実施
委託先は、東京エコサービス以外は、各清掃工場焼却炉のプラントメーカ関連に委託
平成32年度までにおおむね15清掃工場の委託化を予定
(灰溶融施設の7施設は全て委託)
※表は東京二十三区清掃一部事務組合「事業概要」「財政計画」、東京エコサービスHP等から作成
参考(清掃一組HP)
■「経営改革プラン2009」の策定について
■清掃工場別の処理単価
■人事行政の運営状況及び給与等の公表について