☆東京新聞「黒い壁果てしなく」より転載
■黒い壁果てしなく
東京新聞-2015年3月11日
国道6号から海側に約五百メートル入った福島県富岡町のJR富岡駅周辺では、トラックが次々と到着し、霧雨の中で大きな黒い袋の積み降ろし作業が続いていた。
袋の中は、同町の田畑や住宅地の除染で出た放射能に汚染された土や草木。一袋で乗用車一台分ほどの重さがある。作業員数人が、クレーンで仮置き場 に袋を積み上げていた。少し前までは、駅の東側は津波で流されたままの荒れ地が広がり、海岸近くの松並木も見えたが、真っ黒な壁に変わっていた。
既に袋は県内に六百万以上ある。汚染度の高い地域の除染はこれからで、国は現在の五倍近い袋が発生すると見込む。県内各地の千カ所近い仮置き場で保管した後、原発周辺の双葉、大熊両町に造られる中間貯蔵施設に運ばれる予定だが、地権者との交渉は難航を極めている。
国は「貯蔵開始後三十年以内に福島県外で最終処分を完了する」と約束しているものの、処分場は候補地さえ決まっていない。
文・大野孝志 写真・梅津忠之
■福島 除染廃棄物 住民間近で保管の事態
NHK-2015年3月11日
福島県内では、除染が進むのに伴って放射性物質に汚染された土などの廃棄物が増えていますが、中間貯蔵施設への搬出の見通しが立たないなか、行き場を失った除染廃棄物が住民の生活の間近で保管される事態が続いています。 福島県と環境省 ...