神戸新聞「カネミ油症認定患者2千人 被害いまだ全容見えず」から
カネミ油症認定患者2千人 被害いまだ全容見えず
神戸新聞- 2018年7月26日
西日本一帯で発生した食品公害カネミ油症事件から今年で50年になる。発覚の約1年後、1969年までに1万4320人が保健所などに健康被害を届け出ていたが、都道府県知事が認定した患者は2017年度までに累計2322人(死亡者を含む)にとどまることが、厚生労働省などへの取材で分かった。患者団体は認定基準の改善を国に求め続けており、被害の全容は今なお見えていない。...
カネミ油症発覚50年(2)汚染土砂、今も高砂に
神戸新聞 2018年7月27日
その利便性から「夢の化学物質」と呼ばれたポリ塩化ビフェニール(PCB)が、「カネミ油症事件」を引き起こした。国内の製造量のうち、96%が鐘淵化学工業(現カネカ)高砂工業所で製造されていた。
油症事件が全国を揺るがしたが、1970~80年代に兵庫県高砂市でもう一つのPCBを巡る問題が起きていた。
カネカと三菱製紙の工場からPCBを含む廃液が瀬戸内海に流れ込み、高砂西港の底質土砂から高濃度のPCBが検出。漁業者らは姫路市から神戸市の海域で自主漁獲規制を余儀なくされ、カネカに猛抗議した。
また、液状廃PCBの焼却処分を検討していたカネカに対し、不測の事故を懸念した市民が反発。反対運動もまた熱を帯びていた。運動に参加した高砂市の主婦(68)は「水俣病などの公害が社会問題になっていた時期。油症被害者のいない高砂では怖さの実態が見えにくかったけど、環境や健康への影響が心配だった」と振り返る。
カネカは75年までに、自社で製造した液状廃PCB約5600トンを回収。焼却反対派の市民は、中止を求める署名を集め、自主的な土壌調査で市内のPCB濃度を測定。企業、行政、市民の亀裂は深まり、「PCB問題で住民が分断され、まちは深い傷を負った」と主婦は感じた。
液状廃PCBは市民監視の下、88から89年にかけて高温熱分解処理された。その工程で生じた汚泥や装置の解体物など、PCB廃棄物は今もカネカ高砂工業所内に残る。 ...
関連(本ブログ)
■(株)カネカ 高砂工業所(PCB廃棄物洗浄・分離処理施設)産業廃棄物処理施設設置許可申請書…」の縦覧開始2018年02月15日
■カネカ高砂工業所:清掃済みタンクにPCB 施設解体調査で判明 /兵庫2014年01月23日