敷地境界、大気中のダイオキシン類 0.57pg - TEQ/m3、久々の高濃度
悪夢の再来にならないことを祈る!!
「第38回 東京ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理事業環境安全委員会」は昨年12月12日に開催された。
傍聴しなかったので、今日、当日の配付資料などを流し読みしていたら、環境モニタリングで、「敷地境界の大気中ダイオキシン類濃度が、環境基準値 (年間平均値) を下回 ってはいるが、 7 月の北西端で年平均環境基準 (0.6pg - TEQ/m3 )に近い 0.57pg - TEQ/m3 の測定結果となった。」となっていた。
東京事業所操業再開後の、2007年(平成19年)以降、何度か0.6pg-TEQ/㎥前後、2011年には1.2pg-TEQ/㎥と、、、南南西の風が吹くとダイオキシン類濃度がたかくなると注視していたのだが、、
JESCOは、「高濃度のダイオキシン類の成分は、PCDD 、 PCDF 成分が主体で Co - PCB 成分は少なく、 PCB 由来の DXNs とは考えにくい。」としている。2017年7月の成分はどうだったのかは???、、、
大気の環境基準、たとえ異常値が出ようとも、その原因特定はなかなか難しかろうが、、、ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン(PCDD)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)は焼却由来のダイオキシンと言われている。PCB処理施設では、焼却による排ガスは発生しない。ということで、過去の、大気中ダイオキシンの高濃度も、周辺の廃棄物焼却施設を疑わしく思うしかなかったのだが、、、
大気中ダイオキシン類高濃度の、おそらく、その原因らしき排出源のダイオキシン類対策もしっかり実施されて、その後は、大きな数字がでることもなく収まったので、安堵していたが、、、ひさしぶりに 0.57pg - TEQ/m3 、とはいえ、、、たまたま年に数度の測定結果で、たまたま出た数字であれ、、、環境基準は年平均値であれ、やはり気になるので、その後の大気中ダイオキシン類の測定結果をグラフに記録した~
しばらくは要注意、
とはいえ、年に4回、年に3回の測定では何かあってもキャッチできるかどうか、、、
●東京PCB処理事業所の環境モニタリング調査地点クリックで拡大
東京PCB処理事業所周辺は廃棄物処理施設が集中立地
PCB処理施設のすぐ隣には、東京二十三区清掃一部事務組合の破砕ごみ処理施設、中防灰溶融施設、粗大ごみ処理施設、不燃ごみ処理施設等など、、、そして、東京臨海リサイクルパワーの施設など、、、それぞれの大気中のダイオキシン類の測定結果もグラフを更新した~
東京オリンピックの競技会場にもなっている「海の森公園」はすぐ近く~
「Googleストリートビュー 」
左手はJESCO東京PCB処理事業所、むき出しのプラントは清掃一組 破砕ごみ処理施設、白い煙突部分は中防灰溶融施設、右手は東京臨海リサイクルパワーのエコプラント
●中央防波堤内側埋立地にある東京二十三区清掃一部事務組合施設
破砕ごみ処理施設 2014年3月休止、中防灰溶融施設 2016年3月休止、
23区清掃一組「中防処理施設管理事務所「環境報告書2016」」から
●東京二十三区清掃一部事務組合「清掃工場等周辺における大気中のダイオキシン類測定結果」
有明清掃工場、新江東清掃工場、中防処理施設周辺の測定結果抜粋
清掃工場周辺といえども、廃棄物集中立地の中防といえども、
確実に大気中のダイオキシン類濃度は低くなってきている~
清掃一組「ダイオキシン類の測定結果」 平成28年度「周辺大気(PDF:200KB)」
残念なことに、平成28年度からは、中防処理施設周辺の大気中のダイオキシン類測定はなくなった、、、
破砕ごみ処理施設や灰溶融炉は休止になったとはいえ、いろんな施設があることだし、是非、測定を継続して欲しいものだが、、、
23区清掃工場周辺の大気
記録のある平成12年度からのすべての測定結果を入れてみた。
平成12年度、13年度は24時間サンプリング。平成14年度以降は一週間サンプリングとなっている。夏場測定、冬場測定、清掃工場によっては年に2回~4回測定もあり単純な比較はできないが、大気中ダイオキシン類は、年々数値が下がってきているのがよくわかる。
●東京臨海リサイクルパワー株式会社(TRP)
スーパーエコプラント(2006年8月営業運転開始)
●産業廃棄物処理施設(廃プラスチック等の産業廃棄物受入)
流動床ガス化溶融炉 処理量 550t/日(275t/日×2系列)
●医療廃棄物処理施設(医療廃棄物受入)
バーチカル炉 処理量 50t/日(50t/日×2系列)
営業運転開始後は、敷地境界大気中のダイオキシン類測定などは実施していなかったようだが、、(少なくとも公表はしていない)
2010年4月、微量 PCB 無害化処理認定のための実証試験のなかで、敷地境界大気中のダイオキシン類濃度の測定などを実施。そして、「微量PCB廃棄物処理事業に係る地域環境委員会」にてモニタリング結果などの公表もされた。敷地境界大気のダイオキシン類の特異値が続発し、いろんな対策が進められる。詳細は、「第1回 微量PCB廃棄物処理事業に係る地域環境委員会 」へ
大気の環境基準、ダイオキシン類も年平均値なので、、
高めの時は、特異値として追加測定を繰り返せば、平均濃度は低くなる~
TRPのエコプラント、ダイオキシン対策の関連で、排水のダイオキシン類基準値超過というアクシデントも発生。
排水ダイオキシン類 11pgTEQ/l(基準値は10 pgTEQ/l)
超過判明日 平成 23 年 9 月 9 日(試料採取は同年 8 月 9 日)
報告は平成24年11月「第4回 微量PCB廃棄物処理事業に係る地域環境委員会説明資料」
「第1回 微量PCB廃棄物処理事業に係る地域環境委員会 」クリックで拡大
関連(本ブログ)
■中防はダイオキシン類のホットスポットか、JESCO敷地境界大気中こんどは《南東端》1.2pg-TEQ/m3 2011年10月26日
■TRP微量PCB焼却実証試験報告 敷地境界ダイオキシン類基準値超過の原因は?2010年08月18日
■南南西の風がダイオキシンを運んでくる!PCB環境安全委員会 2009年10月30日
■JESCO東京事業所敷地境界ダイオキシン類の環境基準超過と周辺の廃棄物処理施設との関連は?2009年03月12日
■大気中ダイオキシン類とPCB廃棄物との関連は?2008年06月21日
■廃棄物処理施設集中立地の中防で、ついに大気中のダイオキシン類濃度が基準値超える!2008年03月05日
参考
JESCO東京PCB処理事業所も、この先、大きな問題なく処理が進めばいいが、、、
細かな事故やトラブル、漏えいなどは、環境安全委員会のたびに報告されるが、、
何よりも気がかりなのは、水熱分解の反応器や配管の腐食の進み具合、、
減肉、応力腐食割れ、配管のピンホール等もあったので、、、
点検や六価クロムクロムの溶出具合をみながら、早め早めの対応をしているようだが、、
「長期保全計画に基づく平成29年度上期設備保全の実施状況 」気のなることも多い、
何かおきなトラブルや外部への漏洩事故など起きれば、処理もストップしてしまうので、
●第38回東京ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理事業 環境安全委員会
議事次第・配付資料・議事録
◎第38回東京ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理事業環境安全委員会議事次第日時 平成29年12月12日(火) 13:00~15:00
場所 JESCO 東京PCB処理事業所 2階プレゼンテーションルーム
議事
(1) 東京PCB処理事業所 平成29年度上期の操業状況
(2) 長期保全計画に基づく平成29年度上期設備保全の実施状況
(3) 平成29年度 東京PCB処理事業所 長期処理計画
(4) リン含有PCB油前処理設備の設置に伴う外部洗浄室等の設備解体・
払出しについて
(5) その他 ◎配付資料
議事次第









資料 設備更新のための解体・払出しマニュアル

資料 1. 第37回東京PCB廃棄物処理事業環境安全委員会議事要旨(案)



参考までに
東京都環境局の資料から、
東京都埋立処分場 大気中のダイオキシン類測定結果
処分場の大気中のダイオキシン類濃度を年2回調査しています。
埋め立てられたごみからダイオキシン類が外気に放散されていないか確認するためです。
過去3年間の測定結果は下記のとおりです。
測定結果は、環境基準値と比べても低濃度でした。
大気中のダイオキシン類は夏場より冬場が高い傾向にあるといわれるが、
このデータは顕著に現れている
注):環境基準は、一般公衆が通常生活していない地域については適用されないため、当処分場は法令上は適用されません。また、環境基準値は1年平均値です。
☆東京都「大気中のダイオキシン類測定結果」より作成
関連(本ブログ)
■都内の2014年ダイオキシン類の排出量と移動量(PRTR制度届出から)、ごみ焼却施設など施設別に~2017年03月01日
●都内のダイオキシン類 総排出量(大気や水へ)
2014年は、該当施設は92事業者で総排出量は1,466.7mg-TEQ(2013年は2,102.6mg-TEQ)
(排出量が大きく減少しているのは、江東区新砂の大三製鋼が2014年2月末に工場操業休止の影響もあり)
島しょ清掃工場と多摩地域の清掃工場が圧倒的に多い、 そして民間焼却施設、製鉄関連企業
ダイオキシンというと、清掃工場からの発生と思い込みがちだが、
23区の場合は、清掃工場からの排出量は極わずか(ただし、移動量はかなりの量)で、鉄鋼関連企業の排出量が大きかった、
島しょの焼却施設でだけで55%を占めている。多摩地域で11%、民間焼却施設で18%
23区の清掃工場は、建替えやダイオキシン対策工事などで、すべての施設で極わずかな排出量となっている、、
昔に比べてもどうしようもないのだが、、、
過去の排出量があまりにも大きすぎたのだから、、、
過去の23区の清掃工場ダイオキシン類排出は~
23区の清掃工場 排ガス中のダイオキシン類測定結果
特別措置法制定前 (昭和63年度~平成9年度)
これは年間の総排出量ではなく煙突排ガスのダイオキシン類である!!
ほんとうに驚くほどの清掃工場からの排出量、、、、だった~
※グラフは東京都清掃局「区部の清掃工場におけるダイオキシン類測定結果」より作成
清掃工場周辺における大気中のダイオキシン類測定結果
(平成10年度)
※グラフは東京都清掃局「区部の清掃工場におけるダイオキシン類測定結果」より作成
ダイオキシン類モニタリング 発生源 区別ダイオキシン類排出量
1995年度現況からの算出(g-TEQ/年) 年間の総排出量(グラム)
※グラフは『一般環境大気中のダイオキシン類モニタリング 地点検討のための基礎資料作成報告書(平成10年1月)株式会社ライテック』より作成
(大田区はやや曖昧な数値である。もっと高い数値の可能性もあり。民間施設があるということで情報開示資料が墨塗してあったため、逆算で清掃工場分を案分して算出したもの)
平成27年 ダイオキシン類の排出量の目録(排出インベントリー)について 2017年03月28日