水銀条約:条文案、輸出を原則禁止 日本、国内管理急務

■水銀条約:条文案、輸出を原則禁止 日本、国内管理急務
毎日新聞-2013/01/04
http://mainichi.jp/feature/news/20130104dde007040004000c.html
　水銀による環境汚染や健康被害を世界規模で防ぐため、水銀の利用や輸出入を原則として禁止する「水銀条約」（仮称）の条文案がまとまった。１３日からスイス・ジュネーブで開かれる国連の政府間交渉で合意し、今秋の採択を目指す。日本は、国内での削減が進む一方、途上国などに年間１００トンを輸出しており、条約ができれば国内で処理・保管する新たな対応を迫られる。【比嘉洋】
　条文案は、水銀の輸出を原則禁止し、例外として虫歯治療用の合金など一部の製品や化学工業に使用する場合と、輸出先で適切に保管される場合に限る。このほか、水銀を含む血圧計や体温計、水銀含有量が一定量を超える蛍光管や電池など９品目をリストに記載し、それぞれ定めた期限までに製造をやめるよう義務づける。期限は政府間交渉で詰める。
　日本では、水銀が原因となった水俣病の反省から、水銀を使わない血圧計や体温計が普及。照明器具も蛍光灯から発光ダイオードへの転換が進む。一方、金属製錬の過程で副産物として発生した水銀や、蛍光管、乾電池のリサイクルで出る水銀を、インドやシンガポールなどに輸出しており、輸出量は年間平均約１００トンに上る。
　条約が採択されれば、輸出できなくなった水銀を国内で安全に保管する技術の開発が急務となる。保管費用を誰が負担するかも検討課題だ。
　条文案はほかに、人力による小規模金採掘での水銀使用の削減▽新たな水銀鉱山の開発禁止▽大気・水・土壌への排出削減▽水銀廃絶に取り組む途上国への資金や技術支援の制度を設置−−などを盛り込んだ。
　１３日から始まる政府間交渉には約１２０カ国が参加する。今年１０月、熊本県で開かれる国際会議での採択を目指しており、日本は条約名を「水俣条約」とするよう提案している。

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　◆水銀条約の条文案（骨子）
・輸出入は、認められた一部の製品や化学工業での使用に限定
・輸出は輸入国の書面による事前同意が必要
・リストに記載した含有製品（血圧計、殺虫剤など）の製造、輸出入を期限までに禁止。虫歯治療用合金は使用を制限
・人力小規模金採掘での使用削減
・新規の水銀鉱山の開発禁止
・大気、水、土壌への排出削減
・廃絶に取り組む途上国への資金や技術支援の制度創設

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■水銀:規制条約案、「抜け穴」に懸念 金採掘に使用、健康被害招く
毎日新聞-2013/01/07
http://mainichi.jp/feature/news/20130107ddm016040005000c.html
地球規模の水銀汚染防止を目指し、水銀が含まれた製品の製造や輸出入を規制する新たな条約を策定する国連の政府間交渉が１３日、ジュネーブで始まる。排出を大幅に抑制する実効性の高い条約になることが期待されているが、現在議論されている条文案に ...