中日新聞「早期帰還、戸惑う住民 福島事故、今春一部除き避難解除」より
■ 早期帰還、戸惑う住民 福島事故、今春一部除き避難解除
中日新聞-2017年2月17日
東京電力福島第一原発事故から六年となる今春、放射線量の高い一部地域を除き、福島県内の避難指示がすべて解除されることになりそうだ。地元同意が遅れていた富岡町の議会は十七日にも解除を了承する見通し。政府は復興をアピールしたい考えだが、住民からは早期の帰還に否定的な声が強く、地域再生の難しさがあらためて浮き彫りになっている。
政府は放射線量が低下し、一定の生活基盤が整ったなどとして新たに富岡町(四月一日)と、浪江町、川俣町、飯舘村(三月三十一日)の計四町村で避難指示を解除する方針。富岡町が受け入れれば同意していないのは浪江町だけとなる。同町は現在も協議中だが、期限までに受け入れる可能性が高いとみられる。
事故で避難指示が出されたのは計十一市町村で、既に五市町村で解除されている。今春、四町村で解除されると原発の立地地域(大熊町、双葉町)と、各地に点在する帰還困難区域以外では事故前のように制限なく暮らせるようになる。
ただ、新たに解除予定の四町村の住民調査では「戻りたい」と回答した世帯の割合は富岡町16%、浪江町18%、川俣町44%、飯舘村33%にとどまっている。
先行して昨年七月までに解除された五市町村の帰還率は、対象地域がごく一部だった田村市が72%と高いほかは楢葉町11%、葛尾村9%、川内村21%、南相馬市14%となっている。川内村の遠藤雄幸村長は「避難解除はハッピーエンドではなく、厳しい復興のスタートにすぎない」と話した。
復興庁福島復興局は「避難先で新しい生活を始めた人もおり、町が元通りになることはない。『避難解除で支援が切られる』という不安も聞くが、解除後も復興支援は継続していく」と説明している。
■ 4月1日避難解除案に同意=町民の7割対象-福島・富岡
時事通信 2017年2月17日
東京電力福島第1原発事故で全域に避難指示が出ている福島県富岡町は17日、政府が示していた帰還困難区域を除く4月1日の避難解除案に同意した。政府の原子力災害対策本部で今後、正式決定する。
解除の対象は、町民の約7割に当たる3830世帯9578人が住民登録(2月1日時点)している区域。
政府は17日、町議会全員協議会で改めて4月解除案を提示。一部の議員から反対意見があったものの、賛成多数で了承した。宮本皓一町長も協議会後、「このまま解除できない状況では、町の再生・文化の継承が途切れてしまうという強い思いがあった」と話し、受け入れを決めた。(2017/02/17-15:09)
●<原発避難>浪江解除「3月末」再び提示 河北新報-
● 福島第1原発事故 3月31日解除案「今月中に判断」 浪江町長 /福島 毎日新聞