西日本新聞「 ごみ2万2000トン どこへ 福岡県のRDF発電撤退方針で波紋」より
■ ごみ2万2000トン どこへ 福岡県のRDF発電撤退方針で波紋 飯塚、嘉麻、宮若、鞍手、小竹の3市2町が処理委託 [福岡県]
西日本新聞 2016年11月10日
県などが大牟田市で行っている「ごみ固形化燃料(RDF)発電事業」から2022年度末で撤退する方針を示したことについて、筑豊の自治体にも影響が広がっている。筑豊地区では飯塚、嘉麻、宮若、鞍手、小竹の3市2町が可燃ごみ計2万2千トンをRDF用として処理施設組合へ処理を委託。事業中止となれば“ごみの行き場”がなくなる可能性が出てくるため、関係者は事態の行方を注視している。
RDFは、自治体が家庭などから回収した可燃ごみの一部を処理施設組合の工場に搬入し、破砕や選別などの工程を経て作られる。できたRDFが大牟田に運ばれている。筑豊には「ふくおか県央環境施設組合」(構成団体は飯塚市、嘉麻市)と「宮若市外二町じん芥処理施設組合」(宮若市、鞍手町、小竹町)が工場を持ち、自治体からの分担金で運営している。
15年度に自治体から施設組合に搬入された可燃ごみの量は、飯塚市の場合で可燃ごみ全体の10%に当たる4048トン、施設組合への分担金は3億3100万円に上る。嘉麻市は5188トン、2億6700万円▽宮若市7055トン、3億3200万円▽鞍手町3826トン、1億8200万円▽小竹町1957トン、1億2千万円。
大牟田のRDF発電所の事業を継続する場合、施設の老朽化で50億円以上の改修費が必要となり、国の補助制度を受けた場合でも自治体の分担金は現行の1・5倍程度になる見通しだ。
また大牟田でのRDF事業が中止となった場合、RDFを作る各工場も供給先がなくなり、それに伴って各自治体にも搬出できなくなるごみが生じる。各自治体は他の民間処理施設を探すか、自前で新たに焼却施設を建設するなど何らかの対応を迫られる。ふくおか県央環境施設組合の岡本和良参事補佐は「持って行く先がなければ、ここの施設も操業できない。対応は自治体と協議していくことになる」と話す。
宮若市外二町じん芥処理施設組合の松尾勝徳組合長(小竹町長)は「県が撤退しなくても、現状より処理単価が増すのであれば事業に加わるのは難しい。今以上に住民負担を強いることはしない。まずは県の対応次第だ」としている。
【ワードBOX】ごみ固形化燃料(RDF)
家庭などから出る可燃ごみを破砕や乾燥などの処理をしてクレヨン状に固めた燃料。発電に利用でき、ダイオキシンなどの有害物質も抑制できる。県と電源開発(Jパワー)は2002年、RDFを利用した全国初の「リサイクル発電所」を大牟田市で稼働。しかし施設改修費がかさみ、全国でも発電事業の中止が相次いだ。筑豊地区では飯塚、嘉麻、宮若、小竹、鞍手の3市2町が処理施設組合を通じてRDFを供給している。
=2016/11/10付 西日本新聞朝刊=