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除染作業汚染土 濃度測定が不能か 仮置き場不備の恐れ:会計検査院が指摘

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会計検査院「除染事業等における仮置場の整備について」より


会計検査院は、除染仮置場の造成工事並びに除染仮置場及び廃棄物仮置場の囲い柵の設置工事について、地盤が軟弱である農地等に設置されているものが多いことなどから、設計は現地の状況に応じた適切なものとなっているかなどに着眼して検査し、、その結果、平成28年10月20日、環境大臣に対し、会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求めました。

除染事業等における仮置場の整備について」 全文(PDF形式:283KB)

■ 除染作業汚染土 濃度測定が不能か 仮置き場不備の恐れ
毎日新聞 2016年10月22日
会計検査院が指摘 
 東京電力福島第1原発事故の除染作業で出た汚染土などを一時保管している福島県内の仮置き場について会計検査院が調査したところ、31カ所で土からしみ出た汚染水を集める設備が地盤沈下のために機能せず、放射性物質の濃度の測定ができない恐れがあることが分かった。検査院は仮置き場を整備した環境省に必要な対策を講じるよう求めた。

 仮置き場には汚染土が入った袋が積み上げられ、遮水シートで覆われている。土台は中央部を頂点に緩い勾配ができるよう造成され、しみ出た水が外側のタンクに入って放射性物質の濃度を測定できる仕組みになっている。農地など軟弱な地盤に整備されていることが多いが、地盤沈下を考慮した設計にはなっていないという。

 検査院が福島県内106カ所の仮置き場のうち、2015年度までの4年間に袋が5〜6段(高さ約5メートル)にまで積み上げられた5市町村の34カ所を選んで影響を試算したところ、うち31カ所は中央部が沈下して勾配が逆になるため汚染水がタンクに流れず、遮水シートの中にたまる可能性があることが分かった。こうした仮置き場は川俣町に15カ所、浪江町に5カ所、田村市と飯舘村がそれぞれ4カ所、楢葉町に3カ所あった。

 地盤沈下は確認されていないが、検査院は今後シートに水がたまると、中間貯蔵施設への除染廃棄物の搬出作業に影響が出る可能性があるとしている。

 環境省は取材に対し「地盤沈下しても汚染水が外に出ない構造になっており、水の処理に支障をきたしたこともない。土を入れる袋も防水型に切り替えているが、中央に砂を盛るなど地盤強化の方法を検討したい」と回答した。【松浦吉剛、高木香奈】

 

 会計検査院 Board of Audit of Japan

新着情報 最終更新日2016年10月21日

2016年10月20日 会計検査院法第34条の規定による処置要求を2件、同法第36条の規定による処置要求を2件行いました。
・経営体育成支援事業における経営改善目標の設定及びその達成状況の確認等について
・都市防災総合推進事業における防災情報通信ネットワークの整備について
・除染事業等における仮置場の整備について
・大口・多頻度割引制度における道路法令違反者に対する割引停止措置等の見直しについて


除染事業等における仮置場の整備について
適宜の処置を要求し及び是正改善の処置を求めたものの全文

会計検査院の検査結果(一部抜粋)
(検査の観点、着眼点、対象及び方法)
本院は、合規性、有効性等の観点から、除染仮置場の造成工事並びに除染仮置場及び廃棄物仮置場の囲い柵の設置工事について、地盤が軟弱である農地等に設置されているものが多いことなどから、設計は現地の状況に応じた適切なものとなっているかなどに着眼して検査した。
(検査の結果)
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
(1) 除染仮置場の造成工事の設計において基礎地盤の沈下を考慮せずに集水勾配を決定していた事態
福島事務所は、除染仮置場計34か所(8契約)の造成工事において、台形状に積み上げたコンテナが遮水性を有していないことから、コンテナに詰めた除去土壌等から放射性物質を含んだ水が浸出し、遮水シート内にたまるおそれがあるとして、集水設備を設置することとし、コンテナの基礎底面において、中央から端部に向かって0.5%の集水勾配を設けることなどとして設計していた。
(2) 除染仮置場及び廃棄物仮置場の囲い柵の設計について、現地の状況を踏まえたものとなっていなかった事態
福島事務所は、囲い柵の設置に当たっては、設計基準を設けていないことから、除染仮置場及び廃棄物仮置場計44か所(22契約)において、それぞれ風雨等の影響により囲い柵が転倒等しないよう、次のように設計し施工していた。
(是正及び是正改善を必要とする事態)
除染仮置場の設計に当たり、基礎地盤の沈下を考慮せずに集水勾配を決定しており、基礎地盤の沈下量の最大想定値に基づく集水勾配が逆勾配となり、浸出水の放射性物質濃度を測定することができなくなるおそれがあるなどの事態並びに除染仮置場及び廃棄物仮置場の囲い柵の設計に当たり、設計基準がなく、現地の状況を踏まえた設計風速及び安全率を用いて設計を行っていない事態は適切ではなく、是正及び是正改善を図る要があると認められる。
(発生原因)
このような事態が生じているのは、貴省において、除染仮置場の集水勾配等について、コンテナ等の上載荷重等により生ずるおそれのある基礎地盤の沈下を考慮して設計する必要があることや、囲い柵について、現地の状況を踏まえた設計風速及び安全率を用いて設計する必要があることなどについての認識が欠けていて、設計方法について適切に検討を行っていないことなどによると認められる。
3 本院が要求する是正の処置及び求める是正改善の処置
除染事業等においては、引き続き仮置場の整備が見込まれていて、また、今後とも仮置場を適切に管理する必要がある。
ついては、貴省において、仮置場の除去土壌等が適切に保管されるよう、次のとおり是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求める。
ア 除染仮置場の造成工事について、上載荷重等により生ずるおそれのある基礎地盤の沈下を考慮した設計方法等を策定するとともに、沈下が見受けられた際の対応について検討を行い、その方策を定めること(会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めるもの)
イ 除染仮置場及び廃棄物仮置場の囲い柵に作用する設計風速、安全率等について検討し、現地の状況を踏まえた設計基準を策定するとともに、策定した設計基準に基づき安定計算を行い必要な措置を講ずること(同法第34条の規定により是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求めるもの)

 


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