「清掃工場等作業年報(平成27年度 )」が公表された~
以下、東京二十三区清掃一部事務組合「清掃工場等作業年報」より転載
グラフは、「清掃工場等作業年報」から作成
清掃工場等作業年報 平成27年度
本文(PDF:619KB) 資料編(PDF:1,000KB)
平成27年度 清掃工場等作業年報
1 清掃工場稼働実績
(1)処理量
平成27 年度は、20 の清掃工場(*)に、可燃ごみ等が269 万2,488t 搬入され、焼却処理された。処理量は前年度比 1 万7,427 t (0.7%)の増加であった(図-1.1)。
* 20 工場・・・ 光が丘、目黒、有明、千歳、江戸川、墨田、北、新江東、港、豊島、渋谷、中央、板橋、多摩川、足立、品川、葛飾、世田谷、大田(新)、練馬
●清掃工場ごみ処理量
各工場からの残灰処理量をみてみると、、、残灰率11%~13%?
(2)稼働時間及び故障件数
焼却炉の延べ稼働時間(*)は、23 万4,883 時間で、前年度比で785 時間(0.3%)の増加であった(図-1.2.1)。
焼却炉の延べ休止時間は8 万4,268 時間で、前年度比で1 万1,684 時間(16.1%)の増加となった。休止時間の内訳は、定期点検補修工事55.3%、中間点検16.9%、調整17.8%、故障10.0%であった。
また、故障件数は、65 件で前年度より9 件減少している(図-1.2.2)。
* 清掃工場の全焼却炉が稼働した時間の合計値である。
●清掃工場 延べ稼働時間の推移
計画年間稼働日数
=暦日数-計画停止日数-年末年始停止日数-故障停止日数
(計画停止日数=定期点検補修+中間点検日数)
=365日-69日-4日-9日=283日
●清掃工場別 延べ稼働・休炉時間内訳
平成27年度も、年末年始の停止はすべての工場でゼロとなっている。
計画稼働日は年末年始停止は4日分マイナスしているので、
計画稼働日数の稼働率がいいのはそのおかげなのか?
平成27年度、水銀含有廃棄物による焼却炉停止の影響は江戸川と中央、、、
江戸川2号炉 平成27年12月19日から平成27年12月30日まで停止
中央 2号炉 平成28年3月11日から平成28年5月5日まで停止
●清掃工場別 稼働状況(率)
暦日数での稼働率、括弧内は計画稼働日数に対する稼働率
ダイオキシン類対策で長期停止の世田谷は、、、
計画稼働日数=暦日数-工事日数-年末年始停止(4日)-故障見込み
工事日数=定期点検補修工事日数+整備工事日数+中間点検日数
故障見込み=(暦日数-工事日数-年末年始停止)×3%
炉稼働率 a =(炉稼働時間/(暦日数×24×炉数))×100
b =(炉稼働時間/(計画稼働日数×24×炉数))×100
練馬、杉並の建替、大田第一の休止、練馬工場の稼働と、、、
港清掃工場は3炉施設で1炉は予備炉としていたのが、平成24年2月24日~平成27年11月30日まで3炉稼
(清掃工場の建て替えに伴う措置)
●清掃工場稼働状況(率)年度推移
●清掃工場の故障件数(平成27年度)
世田谷清掃工場、ダイオキシン問題なくとも故障はダントツ多い、
●清掃工場別 故障による休炉件数の推移
当然のことではあるが、単純に故障による炉停止の件数だけではその影響ははかれないが、、、
どんなトラブルかによって,炉停止の時間も変わってくる、、平成27年度の休炉回数と炉停止の時間、、
目黒清掃工場は、故障による休炉は4回だったが、、炉停止時間は3.497時間
目黒の長期の故障内容は無停電電源装置内の電算機分電盤用遮断器の故障により、分散型制御装置へ電源が供給できなくなったた め、1号炉・2号炉とも焼却炉を立ち下げた(発生H27.12.26 13:20、復旧H28.2.18 14:04)
●清掃工場別 故障による休炉回数と炉停止の時間
具体的な故障の内容など↓↓
☆参考
■ 東京23区「清掃工場故障週報」平成27年度 (日付順)
■ 東京23区「清掃工場故障週報」平成27年度 (工場別)
(「清掃工場故障週報」から私的に作成分)
●清掃工場 故障件数の年度推移
(3)電力使用量
①使用電力量
平成27 年度の清掃工場の総使用電力量は5 億5,752 万kWh で、前年度比で1,995 万 kWh (3.5%)の減少となった(図-1.3.1)。
内訳をみると、発電電力量の所内使用分(*)は、5 億1,075 万 kWh で、前年度比で1,551 万 kWh (3.0%)の減少、受電電力量が4,677 万 kWh で前年度比444 万 kWh (8.7%)の減少となっている。
* ごみ発電とその他発電による発電量のうち、所内使用した電力量の合計である。その他発
電とは太陽光発電、風力発電及び保安動力発電をいう。
●総使用電力量の推移
②単位使用電力量
ごみ1tを焼却処理するための単位使用電力量は、210 kWh/t で前年度比10 kWh/t (4.7%)の減少となった(図-1.3.2)。
また、単位発電電力量は440 kWh/t で19 kWh/t (4.4%)の増加となった。
●ごみ1t焼却あたりの使用電力量及び発電電力量の推移
(4) 余熱利用
平成27 年度の清掃工場における熱回収による総蒸気発生量は968 万 tであり、前年度比33 万 t (3.5%)の増加となった。
①発電
ごみ発電による発電電力量は11 億7,002 万 kWh で、前年度比で6,378万 kWh (5.8%)の増加となった。内訳は、所内使用分が44%、売電分が56%の割合であった。売電電力量は、6 億5,999 万 kWh であり、前年度比で7,905 万 kWh (13.6%)の増加となった(図-1.4)。また、平成27 年3 月から平成28 年2 月まで(*1)の売電収入は、117 億6,576 万円となり、前年同期と比較して13 億5,969 万円(13.1%)(*2)の増加となった。
総蒸気発生量のうち、発電に利用されたのは698 万tで、割合は72%であった。前年度比では31 万7,314 t (4.8%)の増加となった。
●ごみ発電電力量の推移
●総発電量と売電量、売電金額の推移
固定価格買取制度により売電単価が17円/KWhとなったため売電金額は一気に増大した。
売電収入は、平成27年度は117億6,576 万円となる
②熱供給
平成27 年3 月から平成28 年2 月まで(*1)の売却熱量は、50 万1,479 GJであり、前年同期と比較し2 万4,531GJ (4.7%)の減少となった。また、売却熱料金は、1 億9,202 万円であり、前年同期と比較し435 万円(2.3%)の増加となった。
発電による売電量と熱供給による売却熱量の収入は、119 億5,777 万円で、前年同期と比較して13 億6,404 万円(12.9%)の増加となった。
*1 電力の調定事務の関係から、3 月から翌年2 月まで。
*2 新エネルギー等電気相当量(環境価値分)含む。
(5)水使用量
平成27 年度の清掃工場の水道使用量は、213 万2,139m3 であり、前年度比で、13 万1,254 m3 (5.8%)減少した(図-1.5)。
内訳は、上水使用量が124 万5,235 m3 で、前年度比7 万1,269 m3 (5.4%)減少した。工業用水及び処理水が、88 万6,904m3 で、前年度比5 万9,985m3 (6.3%)の減少となっている。
●清掃工場の水道使用量の推移
(6)補助燃料使用量
平成27 年度の清掃工場の焼却炉の補助燃料(*)である都市ガスの使用量は、380 万 7,515 m3 となり、前年度と比較して34 万6,478 m3 (10.0%)の増加となった(図-1.6)。
* 通常、ごみは都市ガス等の燃料を使用することなく燃焼しているが、焼却炉の立上げ、立下げ時や炉内温度低下時にはバーナーを使用する。バーナーの燃料には、都市ガスを使用している。
●清掃工場別 補助燃料使用量(平成 27年度)
立上げ、立下げ回数:光が丘12回、目黒16回、有明14回、千歳12回、江戸川16回、墨田6回、北8回、新江東15回、港17回、豊島10回、渋谷10回、中央19回、板橋13回、多摩川16回、足立18回、品川10回、葛飾10回、世田谷22回、大田(新)14回、練馬6回となっている。
世田谷清掃工場
流動床ガス化溶融炉 300t/日(150t×2炉)平成20年3月竣工
ほとんど稼働しなくとも故障は多いし、燃料費も嵩む
●世田谷清掃工場 補助燃料使用量推移
●焼却炉の都市ガス使用量の年度推移
☆平成14年度は、補助燃料として重油(11.6KL)使用の工場あり。(たぶん大田第二)
中防の破砕ごみ処理施設は都市ガスではなく、重油を使用
●補助燃料使用量の推移
☆世田谷清掃工場平成20年3月に竣工してから助燃用が急増
そして、世田谷、故障も多く、立ち上げ立ち下げでも燃料使用増加に、、
2 灰溶融施設処理実績
平成27 年度は、3 溶融施設で1 万1,494 t (*1)を灰溶融処理し、生成されたスラグ量(*2)は1 万826 t であった(図-2)。「焼却灰溶融処理施設の運営に係る検討会」の検討結果を踏まえ策定した灰溶融施設の休止計画に基づき、平成27 年度においては7 施設中3 施設を稼働した。
*1 乾燥・鉄選別等の前処理の後、灰溶融炉に投入された灰の量。
*2 スラグ量には、世田谷清掃工場のガス化溶融炉分を含まない。
●灰溶融施設 処理量の推移
●灰溶融施設別処理量
品川は平成26年度末で溶融炉は休止だが、、、平成26年度のスラグか、平成27年度も毎月搬出が計上
全量が有効利用とはいえ、一気に出せずに、待ち状態での搬出なのだろうか?
●灰溶融施設別処理量(月別)
●灰溶融施設稼働率
板橋は平成27年度末で休止となるからか、、、1号炉のみの稼働
●灰溶融施設の故障件数
あまり稼働していなかったからか、平成27年度、故障による休炉は3施設ともにゼロ
●灰溶融施設故障件数の推移
板橋の故障による休止なしはほんとうにほれぼれする。
23区の灰溶融施設、「平成28年度以降は、2施設残して順次休止する計画」を決めるとき、「板橋と多摩川」が残るだろうと予想していたが、予想は外れて残る施設は「多摩川と葛飾」となった。板橋ほど順調な稼働はなかったのに、稼働年数のこともあったのか、
●灰溶融施設電力・ガス使用量
☆稼働率どんなに悪くとも、これだけ電気とガスの燃料費がかかる。
金食い虫の中防灰溶融が休止して、電気使用量も大幅減少すると思ったが、、、
平成26年度以降の中防は、他工場からの焼却灰の混練りなどで操業中
3 不燃ごみ処理センター処理実績
平成27 年度は、中防不燃ごみ処理センターへ5 万7,418 t (77%)、京浜島不燃ごみ処理センターへ1 万7,136 t (23%)、合わせて7 万4,554 t 搬入され、選別等処理した後、7 万4,229 t の搬出を行った。
処理後の搬出の内訳は、6 万2,257 t を埋立、1 万1,834 t を資源として売却、その他として138 t を焼却及び粗大ごみ破砕処理施設で破砕処理している(図-3.1~図-3.3)。
●不燃ごみ処理センター処理量の推移
4 粗大ごみ破砕処理施設処理実績
平成27 年度は、粗大ごみ破砕処理施設に7 万2,923 t 搬入され、破砕等処理した後、9 万1,641 t の搬出を行った。
処理後の搬出の内訳は、4,558 t (5%)を埋立、7 万5,301 t (82%)を破砕ごみ処理施設及び清掃工場において焼却、1 万1,604 t (13%)を資源(鉄)として売却した等である(図-4)。
●粗大ごみ破砕処理施設処理量の推移
5 し尿の下水道投入施設処理実績
平成27 年度は、品川清掃作業所に1 万291 t のし尿等が搬入され、一定の処理を加えて公共下水道へ投入した。
堀ノ内中継所の廃止に伴い、平成25 年度より直接搬入のみとなった。(図-5.2)
平成22 年度の年報までは量の単位が kℓ であったが、平成23 年度からは質量での計量に統一したため、単位はt の表記とした。(1t=1kℓ換算)
品川清掃作業所 直接搬入量の内訳(平成26年度)
し尿:1704t 16.6%
浄化槽汚泥:4050t 39.4%
ディスポーザ汚泥:4524t 44%
ビルピット汚泥:14t 0.1%
6 有価物売却実績
不燃ごみ処理センター、粗大ごみ破砕処理施設、灰溶融施設及び清掃工場で鉄、アルミニウム等を年間2 万4,813 t 売却し、売却による収入は8 億1,558 万円であった。売却量は鉄が2 万2,759 t で最も多く、売却金額では鉄が2 億3,511 万円、アルミニウムが1 億3,496 万円となっている。また、灰溶融施設の炉底メタル(ベースメタル)、水砕メタル(平成22 年度の年報まで溶融メ
タルと呼称していた。)、平成26 年度からその他の品目(廃バッテリー、羽毛布団、ゴルフボール)を売却している(図-6.1、6.2)。
●有価物売却量の推移
●有価物売却額の推移
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●清掃工場別CO2排出量
☆中防処理施設(不燃、粗大、破砕、中防灰溶融):エネルギー起源CO2:15,549t、
☆破砕ごみ処理施設(流動床炉):非エネルギー起源CO2:13,606t
●清掃工場CO2排出量推移
●清掃工場、温室効果ガス排出量の法的義務
23区の清掃工場、補助燃料は全て都市ガス
使用電力量と補助燃料使用量が、エネルギー起源CO2排出で削減義務の対象
非エネルギー起源CO2:廃プラスチックや合成繊維などの焼却により発生するCO2 廃プラスチック1トンを処理すると2.7トンのCO2が出る計算
(生ごみなどの有機物の焼却により発生するCO2はカーボンニュートラルとして算定しない。)
●労働災害発生状況
これまでの作業年報では、労災発生件数は「再雇用職員及び業者による災害は含まない」となっていたのだが、平成24年度作業年報から、職員、再雇用者、運転管理委託、定期点検請負、その他請負工事業者などの労働災害発生件数内訳もだしている。
平成27年度
死亡災害 0件
重傷災害 4件(休業日数が1日以上要した災害)
運転管理委託等業務受託者(中防)1件、その他の請負工事業者・受託者(豊島1件、多摩川2件)
その他の労働災害16件(休業日数なし(0日)の災害)
●清掃工場バンカ内出火状況推移
●薬品使用実績推移
毎年、ながめていても、正直よくわからないことが多すぎる、特に、溶融処理の灰処理量と溶融量、スラグ精製量とスラグ搬出量など、、、今さらながらに、なにもわかっていないことを再認識した。専門的なことがわからずに、 ただ、数字だけ追っかけて、グラフを作って、ああだ、こうだといっても、所詮はよくわからない。電力のことも、単位の見方も、初歩的なこともわからなく て、聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥で、やっとぼちぼち問い合わせて学習しているが、わからないこと多すぎて追っつかない。オンブズマンのように、不正や 不当な行為の監視などにはほど遠いが、まあ~、せっかくこれまで首をつっこんでしまったので、素人のわからないなりにみていきたいとおもう。清掃工場の建 て替え、電力のこと、不燃ごみ残さの焼却のこと、気になることはたくさんあるので~ 残灰量、電気年報、ボイラ関係年報、薬品使用実績なども内容がうまく 理解できればおもしろいのだろうが、よくわからないのが残念。
次は、3月末の「清掃工場別の処理単価」の公表、、
とりあえず~