中日新聞「 スプレー缶、穴開け不要に 名古屋市、10月から」より
■ スプレー缶、穴開け不要に 名古屋市、10月から
中日新聞 2016年9月25日
名古屋市は十月から、使い終えたスプレー缶の回収を「穴開け不要」方式に切り替える。従来は、可燃性ガスを抜くために穴を開けて回収に出すよう呼び掛けていたが、方針を転換した。ただ、ガスが残った状態で出すと、処理の際などに爆発する危険があるため「中身を完全に使い切って」と呼び掛けている。
家庭での缶の穴開けで、ガス漏れによる引火で火災が相次いでいることを受け、四十年以上続いていた方式を切り替える。昨年五月に札幌市で夫婦が死亡する火災があったほか、名古屋市内では二〇一三年度から三年間に、調理中に台所で穴を開けてコンロの火に引火するなどして、計二十一人がやけどしたとの報告がある。
こうした事態を踏まえ、環境省は各自治体に、穴開けをしないよう積極的な対応を要請。二十政令市のうちすでに十三市が「穴開け不要」方式を採用し、全国的にも主流となっている。
一方、一四年四月には瀬戸市の廃棄物処理会社で、回収したスプレー缶の処理作業中に従業員が死亡する爆発事故が発生。ガスが残ったままのスプレー缶を圧縮したのが原因とみられる。
スプレー缶は、可燃ごみの日に、可燃ごみとは別に資源ゴミ袋か透明の袋などに入れて出す。市環境局の担当者は「スプレー缶を誤って不燃物として出してしまったり、回収や処理の過程で混在したりする可能性があり、ガスが残っていると事故につながる危険がある」と説明。事故防止を呼び掛けるチラシを全戸配布し、注意喚起する。今後、業者に穴開けを任せることで、年間三千五百万円ほど処理経費が増えるという。
(岩崎健太朗)