■東電トラブルで新電力が悲鳴、電気料金「請求できない」
日本経済新聞-2016年6月21日
電力小売りの全面自由化から3カ月弱。電力会社を切り替えた世帯は、全国の約2%にとどまり、「自由化は失敗だ」と揶揄(やゆ)されることすらある。だが、その裏で新電力には新規顧客の獲得に注力できない事態が発生していた。
2016年4月上旬から、「電気料金の請求ができない」という深刻なトラブルに見舞われているのだ。ある大手新電力幹部は、「“地獄の5月”を過ごしたが、6月に入っても状況は変わっていない」とうなだれる。
原因は、東京電力パワーグリッド(PG)のシステムトラブル。電力自由化を迎え、消費者は電力会社を選べるようになった。ただ、それは小売り分野に限った 話。電力網の維持管理や、各世帯にセットされた電力メーターによる検針業務は、大手電力会社の送配電部門が引き続き担当している。東電PGは東電の送配電部門として4月に分社化された。
小売電気事業者(新電力)は毎月、東電PGが検針した顧客ごとの月間使用電力量データを東電PGから受け取り、これを元に電気料金を計算し、請求 書を発行する。ところが、待てど暮らせど東電PGから使用量データが届かない。データが来なければ、新電力は消費者に請求のしようがない。
既にインターネット上では、「電気料金の請求が来ない。いいかげんな新電力と契約してしまった」といったネガティブ情報が流れ始めている。
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