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Channel: 東京23区のごみ問題を考える
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広域脱退の美作市クリーンセンター建設事業 & ごみ処理広域化計画がもたらしたものは〜

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いまもって、全国各地で、広域計画からの脱退騒動はおきている。また逆に、新たな広域処理を模索する自治体もある。概ね、広域処理計画がうまく進まなくなるのは、財政負担のあり方でのもめ事なのか、地域によっては、損害賠償請求訴訟もおきている。つい先日も、広域を脱退した小諸市の単独焼却炉建設が、24t/16h(1 炉)という小規模なことに驚いたばかりだが、同じく広域を脱退した美作市、その後どうなっているのか気になって調べてみた〜

美作市HPから
岡山県 美作(みやさか)市、
人口 30,498人(平成22年国勢調査) 
美作クリーンセンター
(1)施設の概要
?エネルギー回収推進施設・マテリアルリサイクル推進施設
・施設概要 エネルギー回収推進施設
処理対象物を受け入れ焼却処理を行い、その過程で発生する熱エネルギーの有効活用を図る施設
マテリアルリサイクル推進施設
 処理対象物を受け入れ、資源化を図るとともに、リサイクルに関する啓発を図る施設
・年間計画処理量 エネルギー回収推進施設    約7,270t/年(平成26年度 見込量)
            マテリアルリサイクル推進施設 約1,960t/年(平成26年度 見込量)
・施設規模   エネルギー回収推進施設       34t/日(17t/16h×2炉)
         マテリアルリサイクル推進施設     7.9t/日
・処理方式   エネルギー回収推進施設       ストーカ式
         マテリアルリサイクル推進施設    破砕・選別・圧縮等
・供用開始   平成26年9月予定
?灰溶融設備
・施設概要  エネルギー回収推進施設から発生する焼却灰の減容化・資源化を図る施設
・供用開始  平成28年9月予定

○工事請負契約の締結について
 エスエヌ環境テクノロジー株式会社が、優先交渉権者に選定されたのを受け契約交渉を行い、平成24年10月15日に開かれた第6回臨時議会において美作クリーンセンター(エネルギー回収推進施設、マテリアルリサイクル推進施設)建設工事請負契約の締結について原案どおり可決されました。
1.工事名   美作クリーンセンター(エネルギー回収推進施設、マテリアルリサイクル推進施設)建設工事
2.工 期    議会の議決日から平成26年9月30日まで
3.契約金額  ¥2,998,800,000 円 (消費税込)
4.受注者   大阪府大阪市住之江区南港北1丁目7番89号
          エスエヌ環境テクノロジー株式会社
参考資料
■美作クリーンセンター建設工事 審査講評(平成24年10月)
■美作クリーンセンターだより(第8号)(平成24年10月)

エスエヌ環境テクノロジー(企業情報 沿革
平成23年4月 ユニチカ株式会社からごみ処理施設事業を譲り受け
更に、Hitz 日立造船グループの一員として、豊かで確かな経験と技術をもとに環境関連施設のメンテナンスサービス事業を含め、営業いたしております。

ということで、
なによりも驚いたのは“灰溶融設備併設”ということである。
環境省の「環境省所管の補助金等に係る財産処分承認基準の運用(焼却施設に附帯されている灰溶融固化設備の財産処分)について(環廃対発第100319001号 平成22年3月19日)」の「通知」以来、今時、わざわざ灰溶融を新設するとは希有な存在。それもこんな小規模で、
広域処理を脱退して、独自処理の選択をした美作市、、
あえて環境省の方針に逆らっての灰溶融施設というより、計画時は環廃対発第100319001号通知の前段階だったのだろう。そのように、環境省の方針も、真反対の方針にすらなる。紙切れ一枚の通達で、方向転換も余儀なくされる市町村、
ほとんどが交付金がらみでの誘導、それでも、従うかどうかは、その地域地域の実情に照らしあわせての選択だろうが。なにごとも、メリット、デメリット必ずあるのだろうから。それにしてもな〜 

関連(本ブログ)
■美作クリーンセンター:建設白紙に 住民が市に申し入れ /岡山(2011年11月05日)
■ごみ処理協議会 美作市が事実上脱退(2009年01月15日)


旧 厚生省の「ごみ処理の広域化計画(公布日:平成9年05月28日 衛環173号)」で、確かに、日本全国のごみ焼却施設は平成12年度 1,715施設→平成23年度末 1,211 施設と、施設数は大幅に減少はしたのだが、それは焼却炉の大型化と溶融炉などの導入で、焼却中心の廃棄物処理に拍車をかける結果となった。と書きながら、ほんとうにそうなのかどうか、、環境省の「一般廃棄物の排出及び処理状況等」から具体的な数字を追ってみた〜

一般廃棄物処理事業実態調査の結果(平成23年度)について
環境省では、全国の市町村及び特別地方公共団体(1,742市区町村及び578 一部事務組合)に対し「一般廃棄物処理事業実態調査(平成23年度)」を行った。

2.ごみ焼却施設の整備状況(着工ベース)
平成23年度末現在のごみ焼却施設数は1,211 施設(うち平成23年度中の新設は22施設)であり、処理能力の合計は186,155トン/日である(表−1)。図−9、10に施設数及び処理能力の推移を、図−11に施設規模別の内訳を示す。

●ごみ焼却施設の規模別施設数


たしかに30トン未満の施設は大幅に減少しているが〜

●ごみ焼却施設の規模別施設数推移


平成11年度からは、バッチ炉などの分別がなくなって、ガス化溶融炉など以外はすべて焼却(ガス化溶融・改質、炭化、その他以外)のひとくくりになってしまった。どれくらいの規模から全連続炉となるのかはわからないが、、

●焼却施設の種類別の内訳


ガス化溶融炉は着実に増えてきている〜

●ごみ焼却施設の種類別施設数の推移


●ごみ焼却施設の種類別能力の推移
こうしてみると、ごみ量、ごみ直接焼却量は減少しているにもかかわらず、焼却炉の施設数は減れども、焼却能力は減少せずにそのまま維持、能力温存傾向にあるのがわかる。ということは多くの焼却炉は余力を持て余していることだろう〜


●全国の市町村及び特別地方公共団体
環境省の「一般廃棄物処理事業実態調査」の調査対象自治体数をグラフにしてみた。ごみ広域処理もあるのだろうが、市町村合併による成りゆきの共同処理も多いのだろう〜

総務省の「広域連携の仕組みと運用について 運用状況(H24.7.1現在)」によると、一部事務組合の設置1,546件件のうち、主な事務がごみ処理は398件となっているので、概ね、この“一部事務組合”の推移が広域処理自治体の推移とみていいのだろうか?!

●ごみ総排出量の推移


ごみ処理広域化計画により、ダイオキシン類対策などいわゆるよかったことなどは、ニュースに流れることはないのが実情。逆に、施設の建設に絡めた反対運動など、広域化による弊害などはニュースになるので、そういう部分ばかりが目についてしまう。地域、地域の実情に併せた、政策をしっかりと選ぶしかないのだろう。
しかし、現状の、環境省の交付金、
施設整備計画の策定で、ごみ量予測のとらえ方、施設規模、整備計画を厳しく精査しなければ、焼却余力のある工場ばかりが増えてくる。ごみ発電の名目で、ごみがたりなくなると、さらに何でもかんでも燃やすことになりかねない、ちょっと支離滅裂気味、とりあえずまた〜

ごみ処理広域化計画 EICネット
解説 |
複数の市町村が共同で一般廃棄物の処理を行う、ごみ処理の広域化を進めるための計画。1997年に、当時廃棄物行政を所管していた厚生省(2001年から、廃棄物行政の所管は環境省に移管された)が都道府県に向けた通知の中で、各都道府県に策定を求めた。具体的には、計画期間や共同で処理を行う市町村の区分、区域ごとの処理計画、広域化の効果や課題などをまとめたもの。焼却炉整備によるダイオキシン対策やリサイクルを推進することが目的。

関連(本ブログ)
■環境省 一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成23年度)について(2013年03月30日)




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