■恵まれぬ食環境に支援を 「こども食堂」広がる輪 開設希望者ら都内でシンポ
東京新聞-2016年1月12日
ひとり親や貧困などの事情で一人で質素な夕食をとりがちな子どもに、だんらんの場と食事を提供するため各地で試みられている「こども食堂」。その 運営者と、新たに食堂を始めたい人たちが交流するシンポジウムが十一日、東京都豊島区であった。全国で六人に一人の子どもが貧困状態にあるとされる中、二 百人以上が経験者の話に熱心に聞き入った。 (皆川剛)
主催した「こども食堂ネットワーク」に参加する食堂は、昨年四月時点で七つ。現在は三十三団体にまで増え、支援の輪は広がっている。
「食堂を始めると多くの人が協力してくれた。子どもの力になりたいという潜在的な思いを持っている人はたくさんいる」
昨年十月から三鷹市で「みたかやま子ども食堂」を開くスクールカウンセラー高橋久美さん(33)は、そう手応えを話した。勤務先の都内の小学校で、家庭で満足に食事を取れていない子どもに多く出会い、昨年夏にシンポに参加。その場で意気投合した近所の人と開設を決めた。
定食屋を借りて月に一度開く食堂には、児童館の人が子どもを連れて訪れ、農協が野菜を提供し、近くの主婦らが空き時間に調理を手伝う。「今後は一人一人の子どもが直面する課題を把握し、どう学校などとつなぐかが課題です」と強調した。
大阪市西成区で一九七七年から児童支援施設「こどもの里」を営む荘保共子(しょうほともこ)さんも講演で、「食堂の運営を通して子どもの家庭の問題に目を向けて」と訴えた。
ひとり親の深夜勤務、精神疾患、虐待。子どもの貧しい食環境の背景にある親の問題に手がさしのべられず、子どもの孤立が増す例も多いという。
中野区で「かみたかだ食堂」の四月のオープンを目指す伊藤由宏さん(42)は、「継続して親子と関係をつくる一方、福祉の専門家とどうネットワークを作るかを考えたい」と話していた。
■北九州市が「子ども食堂」 自治体初、新年度開設へ
西日本新聞-2016/01/04
北九州市は、経済的な理由で食事を満足に取れなかったり、親が忙しくて一人で食べたりしているひとり親家庭の児童・生徒に食事提供や学習支援を行 う「子ども食堂」を設ける方針を固めた。対象は小学高学年から中学生で、2016年度の開設を目指す。厚生労働省によると、自治体の食堂設置は全国で初め て。市民レベルの取り組みが広がる中、自治体も子どもの居場所づくりに乗りだす。
計画によると、市内2カ所に設置。学童保育後、親が 仕 事を終えるまでを主に想定し、平日と土曜の午後6時半~同10時の利用とする。夕食は少額で提供するか、食材などを持参してもらうかを検討。スタッフが勉 強を教えたり、調理や掃除など生活習慣を指導したりすることも視野に入れる。市は数十人の利用を見込み、運営は子育て支援団体などに委託する考え。
市によると、20歳未満の子どもがいる市内のひとり親家庭は約1万8千世帯(11年現在)で、過去20年で約5400世帯増えた。このうち母子家庭の年収 は全国平均291万円に対し、市内は234万円。母子家庭の小学高学年-中学生は1万人近いといい、市は「食事を満足に取れない子どもはさらに増えるだろ う。学習や食の環境を整えることで『貧困の連鎖』を断ちたい」としている。
長崎大教育学部の小西祐馬准教授(児童福祉)は「市民が手弁当で子ども食堂に取り組んできたが、本来は行政の役割。将来は小学校区に一つ設けるべきだ」と指摘している。
●子ども食堂、沖縄市住吉にオープン 琉球新報 2016年1月12日
●「子ども食堂」の現状や課題を報告する催しNHK- 14 時間前
●「こども食堂」カレーに笑顔 長野で県内初開催 信濃毎日新聞-2016/01/09
●自治体初!北九州市が「子ども食堂」設置へ…「孤食」防止の効果とは?オーヴォ- 2016/01/08
●こども食堂オープン 盛岡、触れ合いや相談の場に岩手日報-2016/01/07
●「こども食堂」全国に広がる 貧困や孤食に救いの手 日本経済新聞-2016/01/07
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