■インドと原子力協定締結で大筋合意へ 原発輸出に道
テレビ朝日-2015年12月9日
政府は、安倍総理大臣が11日にインドを訪問するのに合わせて、原子力協定締結で大筋合意する方向で最終調整に入りました。
安倍総理は11日からインドを訪問し、モディ首相と首脳会談を行います。インドは電力不足を補うため、かねてから日本に原子力発電技術で協力を求めてい ました。ただ、過去に2度、核実験を行っているうえ、NPT(核拡散防止条約)にも加盟していないため、日本は核兵器への転用を懸念して慎重な姿勢を示し てきました。12日の首脳会談に向けて、原発技術を核開発に転用させないための措置に関する最終調整が続けられていて、原子力協定締結が大筋合意に至れば 国会での審議を経て、インドへの原発輸出に道が開かれることになります。
■日印原子力協定が大詰め=核実験、再処理の扱い焦点
時事通信-2015年12月9日
安倍晋三首 相の11日からのインド訪問を前に、原発輸出を可能にする日印原子力協定交渉が大詰めを迎えている。合意すれば、核拡散防止条約(NPT)非加盟国とは初 めてとなる。日本の原子力技術の平和利用を担保するため、インドが核実験を再開した場合の協力停止や、インド側が求める再処理の条件をどう盛り込むかが焦 点だ。
外務省幹部は9日、「折り合っていない部分があり、そこが埋まらなければ今回は見送りだ」と述べ、交渉は予断を許さないと指摘。4日に東京都内で開いた外務次官級協議に続き、8日には大菅岳史アジア大洋州局審議官をインドに派遣した。
日印両政府は2010年に交渉を開始。インド側は電力需要の急増を踏まえ、日本の原発技術に大きな期待を寄せる。一方、安倍政権も原発輸出を成長戦略の柱 と位置付けるが、インドはNPT体制を否定して2度の核実験を行っており、「核廃絶」を国是とする日本の立場とどう整合させるかが課題だ。
交 渉 の焦点は、インドが核実験を再度行った場合のペナルティーを協定にどう反映させるかだ。インド側は1998年から続く核実験の一時停止(モラトリアム)を 「自主的なもの」と主張、08年の米印原子力協定でも協力停止の明記を拒んだ経緯がある。しかし、日本側は核を忌避する国民感情などから「米印とは事情が 大きく違う」(政府関係者)として、協力停止を何らかの形で担保したい考えだ。
また、インドが核燃料サイクルを進めるため、日本の資機材を 使っ た再処理を認めるよう求めていることも難題だ。日本は核不拡散の立場から、各国との原子力協定で相手国に再処理を禁じている。ただ、米国はインドに対し、 国際原子力機関(IAEA)の査察下に置くなどの条件で再処理を容認した。日本も、再処理した核物質の厳格管理などを条件に、インド側との接点を探ってい るとされる。(2015/12/09-19:21)