☆グラフと表は環境省「福島県鮫川村における実証事業」発表データから作成
環境省の福島県鮫川村における実証事業、仮設焼却炉での放射性廃棄物の焼却は2015年7月で終了した。
2014年3月の本格運転から16ヶ月の稼働であった。(運転早々に事故により停止していた期間は除く)
その間の焼却処理量は、稲わら、牧草、落葉、除染廃棄物などの415トン、うち8千Bq/Kg以上の指定廃棄物は19トン
指定廃棄物もセシウム濃度の低い牧草や除染廃棄物と混焼されて、焼却対象物の平均濃度を8千Bq/Kg以下におさえての焼却処理。稲わらなどの指定廃棄物は8万Bq/Kgを超すものもあったが、2014年10月~12月に焼却された。さすがに、11月の飛灰のセシウムは6万Bq/Kgとなる。しかし、グラフを見てもわかるように、焼却対象物の平均濃度とはいえ、,,現実的には計算上の数値なのだろうから、まんべんなくの濃度でもなく、、何があってもおかしくはない実証試験、、、、、
今入札にかけられている、東京電力開閉所敷地(田村市・川内村)内における 農林業系廃棄物減容化事業の焼却対象物が、、、なんと、稲わらの平均値が56,800Bq/Kgで、最大値が286,100Bq/Kg となっていたので、、いかに混焼とはいえ、それらを焼却処理すると飛灰のセシウム濃度がどうなるのか心配なる。環境省は、なんとしても飛灰のセシウムを10万Bq/Kg 以下に抑えて、富岡町の民間の管理型処分場(フクシマエコテッククリーンセンター)で埋立処理したいようだ。関連(本ブログ)東京電力開閉所敷地(田村市・川内村)内における 農林業系廃棄物減容化事業とは~
ということで、鮫川村の焼却状況を今一度見直してみた。鮫川村の実証試験データが、田村市の仮設焼却炉でどのように生かされるのか、、、、、、いきなり規模が大きくなって、しかし、焼却炉も事業者もどこになるのかもわからないが、、、まさに手探り状態の放射能との闘い、、
福島県鮫川村における実証事業
焼却炉:処理能力 199kg/時間、1.5t/日 (傾斜回転床炉 日立造船)
稼働時間は、原則として平日(月から金)の8:30~17:00
焼却物の投入は、9:15~16:00
開閉所農林業系廃棄物処理業務(減容化処理)
焼却炉:処理能力 60t/日 処理対象物は全体で約4万9千トン
炉形式は いずれかで、
1 ) 焼却方式の場合:ストーカ式、流動床式または回転炉式 2 ) ガス化溶融方式の場合:シャフト式または流動床式
運営期間:平成29年3月1日から平成31年8月末日まで(2年6箇月間)
12月10日(木) 入札
環境省
農林業系副産物等処理実証事業における焼却終了について(平成27年7月28日)
環境省が福島県鮫川村において実施している農林業系副産物等処理実証事業について、以下のとおり、7月28日をもって農林業系副産物等の焼却が終了しましたのでお知らせします。
1 焼却期間
平成26年3月18日から平成27年7月28日まで
(本格運転再開時から16ヶ月)
2 焼却処理量
415トン
3 今後の予定
焼却により発生した焼却灰のセメント固型化処理と埋却、並びに施設全体の清掃を行う予定です。その後、仮設焼却施設の事前調査、解体撤去、原状復旧を行う予定です。
●鮫川村仮設焼却炉 焼却対象物の処理量
●放射性セシウム測定、ゲルマニウムとシンチレーションの相関は?
セシウム測定、ゲルマニウムとシンチレーションの差異、相関関係をみたかったのでグラフにしてみた~ しかし、 素人がみても、よく読み取れない、もっとはっきりと、シンチレーションだと値が高めにでるとかの特色があるのかと思ったが、そうともいえない、どちらで測って も、たまたまの測定結果でしかないのか、、
まあ、素人がみただけで何か読み取れるのであれば、専門家はいらないのだろうが、、、
気になっていたのでこれまでの発表データをまとめてみた。
また、「仮設焼却施設の運転状況」の中では、焼却対象物の処理量や焼却灰の生成量、放射性セシウム濃度の測定結果のほかに、排ガスの放射性セシウム濃度の測定結果、ダイオキシン類及び大気汚染物質等の測定結果、空間線量率の測定結果(施設内)等もある。また、焼却灰のセメント固型化物の表面線量率の測定結果毎回でている。例えば、5/20のセメント固型化物の表面線量率は、2.07μSv/hである。セメントで固めても、大変な放射線量。また、セメント固型化物の一時保管場所の空間線量率の測定結果は、「一時保管場所の空間線量率」は、0.08から0.10μSv/hでした。当該一時保管期間中は、一時保管前に比べて上昇は見られませんでした。」となっているのだが、施設周辺の空間線量率が施設稼働前で0.20μSv/hという地域なので、、比較をするのも難しい、、、
グラフ作成の元データ
環境省 放射性物質汚染廃棄物情報サイトより
鮫川村「仮設焼却炉の運転データ」
・平成27年7月分
・平成27年6月分
・平成27年5月分
・平成27年4月分 ←落葉 指定廃棄物 ~2万2千Bq/Kg
・平成27年3月分 ←落葉 指定廃棄物9千~2万7千Bq/Kg
・平成27年2月分 ←落葉 指定廃棄物8千~2万8千Bq/Kg
・平成27年1月分 ←1月からは稲わらなし、落葉 指定廃棄物1万~4万3千Bq/Kg
・平成26年12月分 ←稲わら14,782~ 76,054Bq/Kgに
・平成26年11月分 ←稲わら39,653~81,515Bq/Kgに
・平成26年10月分 ←稲わら17,472~52,492Bq/Kgに
・平成26年9月分 ←↓ 10月前半までは焼却対象物のセ シウム濃度は10,000Bq/Kg以下
・平成26年8月分
・平成26年7月分
・平成26年6月分
・平成26年5月分
・平成26年4月分
・平成26年3月分(3/18~3/31)
・平成26年3月分(3/1~3/15)
・平成26年2月分(2/18~2/28)
平成26年1月から3段階で確認運転後運転再開
事故詳細、改善工事、再発防止策など詳細は~
本格運転開始早々に主灰コンベアー(爆発)破損事故
・平成25年8月分(8/19~8/31)
本格運転は平成25年8月19日から開始
鮫川村「仮設焼却施設の運転状況」
・仮設焼却施設の運転状況(7月14日~9月11日)
・仮設焼却施設の運転状況(5月14日~7月13日)
・仮設焼却施設の運転状況(3月2日~4月28日)」2015.05.22
・仮設焼却施設の運転状況(11月4日~12月26日)平成27年2月9日
・仮設焼却施設の運転状況(8月18日~10月24日)平成26年11月19日
・仮設焼却施設の運転状況(7月1日~8月8日)平成26年9月11日
・仮設焼却施設の運転状況(5月12日~6月30日)平成26年7月17日
・仮設焼却施設の運転状況(3月18日~5月9日)平成26年5月30日
・農林業系副産物等処理実証事業の確認運転結果(全体報告)平成25年8月6日
排ガスの放射性セシウム濃度の測定結果
○排ガス中の放射性セシウム濃度は、バグフィルタ出口において検出されず(検出下限値
1.06から1.15Bq/m3N)、管理目標値※である2Bq/m3N以下でした。
排ガスの放射性セシウム濃度測定結果も、バグフィルタ入口、バグフィルタ出口、HEPAフィルタ出口と、毎回細かく報告している。バグ出口、HEPA出口は、NDで検出下限値の記載はあるが、セシウム134及び137の別で書かれていない、
2Bq/m3N以下だと、(2÷20)+(2÷30)=0.17なので、1より小さいということなのか、
ガイドラインには、「検出下限値はセシウム134及び137のそれぞれを示す」となっているが、
鮫川の運転状況では、検出下限値もセシウムとなっているだけ、国直轄事業の鮫川は例外なの?
※単純な疑問、鮫川村関連の運転データ、運転状況の資料をみていて、
セシウム濃度の結果が出ているものの、そのすべてで、「セシウム」となっている。
『Cs=134Cs+137Cs』という合計セシウムなのか?どこにもそのコメントがなくて確認できず、
焼却灰のセメント固型化物の表面線量率の測定結果は、かなりの線量、
○焼却灰のセメント固型化物の表面線量率は2.50から3.60μSv/hでした。
施設で働く方々、灰の取り出し、セメント固化、一時保管場所への移動と、被爆対策は万全なのだろうか?
---------------------------------------
参考
同位体研究所
●NaIシンチレーション検出装置
検出感度に優れ、迅速・簡易検査に最適。 ホールボディカウンタにも採用
検出感度の良さを利用して、迅速・簡易検査に広く使用されます
NaIシンチレーション検出装置は、安価な上、設置場所の制約も少ない為、現場や集荷施設でのスクリーニング検査に広く用いられます。
検出感度が良い為、ゲルマニウム半導体検出装置よりも短い時間で放射能検出が可能です。 このため迅速さが要求される現場や、スクリーニング検査に適して います。 もし規制値に近い濃度の検出があった場合には、別途ゲルマニウム半導体検出装置による精密検査と組み合わせる事で、多量の試料を迅速に測定が可 能となります。
環境省
●放射能濃度等測定方法ガイドライン平成25年3月第2版
---------------------------------------
シンチレーション検出装置、
一方で、シンチレーション測定の検出下限値、どの程度まで測定可能なのか、検出下限値などもあたってみたが、
例えば、食品の100Bq/Kg以下目安のスクリーニング検査に適しているというようなものが多かった。
というのは、今、東京電力福島第一原発で「雑固体廃棄物焼却設備」を建設中、まもなく完成、
試運転は平成27年1月、運用開始は平成27年3月の予定となっている。
その設備が、焼却後の排ガス管理は、バグフィルターのあとHEPAフィルタ2段、モニタリング設備では、シンチレーションで放射線量の常時監視、焼却炉自動停止のインターロック値は100cpsとなっていたので、、、
入り口でも、出口でも放射線量の常時監視は誰もが願うこと、、、
しかし、今回の福島原発事故以降の放射性物質の焼却処理、排ガスでのセシウムの常時監視はないので、以前、あちこち問い合わせなどしてみたら、原発事業者 の個体廃棄物焼却施設は、桁外れに放射線量が高いのでそういうことも可能であろうが云々と言うことであった。そういえば、原発施設での焼却対象物は、千 Bq/kg~百万Bq/kg(平均10万Bq/kg)を焼却しているということであった。しかし、原発施設でも排ガスのセシウム基準は同じ、
ということで、福島なども、排ガス中の放射性セシウム濃度の管理目標を2Bq/㎥以下を満足するため、排ガス中のばいじん濃度の常時監視をおこなうことで管理しているようだ~
●一般廃棄物の焼却施設でも、放射性物質汚染対処特措法ができるまでは、実用発電原子炉の設置、運転等に関する規則で、排ガス測定などの基準として運用していたが、特措法でも、そのまま同じ基準を適用している。
実用発電原子炉の設置、運転等に関する規則(昭和53年通商産業省令第77号)
第15条第4号及び第7号により、放射性廃棄物の廃棄に当たり、排気又は排水中の放射性物質の濃度をできるだけ低下させるとともに、排気については排気口 等、排水については排水口等において、放射性物質の濃度を監視することにより、周辺監視区域(※1)の外の空気中又は水中の放射性物質が次の濃度限度(※ 2)を超えないようにする。
(災害廃棄物安全評価検討会資料より)
関連(本ブログ)
■特定原子力施設監視・評価検討会 (第19回) 「雑固体廃棄物焼却設備の概要について」東京電力資料(2014年04月01日)
■神戸製鋼グループ、福島第一原発内「雑固体廃棄物焼却設備」を受注(2013年02月28日)
■東京電力、福島第1原発敷地内に焼却炉2基設置はロータリーキルン式(2012年09月17日)
■原発ごみ焼却炉と都市ごみ焼却炉の違いは?(2012年04月09日)
原発施設での低レベル放射性廃棄物の焼却・溶融処理は「固形物の減容化」となっているのだが、
千Bq/kg~百万Bq/kg(平均10万Bq/kg)ものものを焼却している。
●福島第一原子力発電所 雑個体廃棄物焼却設備の設置について(平成25年3月18日)東京電力株式会社