JICAホームページより転載
JICA 2015年11月10日
【草の根技術協力事業】マレーシアの廃棄物管理における住民の協力体制の構築支援
10月26日(月)~30日(金)まで東京二十三区清掃一部事務組合が実施している草の根技術協力事業でマレーシアから15名の研修員が来日し、都内各所を訪問しました。
マレーシア国の都市ごみは現在埋立処分されていますが、これらの処分場では温暖化ガスの発生や浸出水による地下水汚染などの深刻な環境問題が発生しています。
その対策として、廃棄物の大幅な減量化・安定化を図るため、都市ごみ焼却発電施設(清掃工場)を建設する計画もありますが、焼却施設を建設しても、ごみの分別など、住民の協力がなければ安定的な稼働はできません。
本事業では、ごみの分別やリサイクルなどにおける住民の協力を引き出すことを目的としています。
28日(水)の午前中は、荒川区にて資源ごみの回収方法とリサイクル業者を見学しました。荒川区では家庭から出る資源ごみは、町会や自治会が中心と なって回収を行い、区内のリサイクル業者へと引き渡しています。地域住民との意見交換会では、町屋一・二丁目仲町会の鷲見会長が住民主体となった集団回収 のメリットや、当初はゴミの分別の必要性を住民に理解してもらうことの苦労をお話されました。マレーシア廃棄物管理・環境協会のスーリア副会長は「資源回 収の方法はマレーシアにおいても課題であり、住民が主体となった『あらかわ方式』から学びたい」と語りました。
中防処理施設を見学同日午後からは、江東区の中防処理施設の見学を行いました。ここでは、東京23区から出される不燃ごみや粗大ごみの中間処理が行われています。不燃 ごみ処理センターでは一年間に約7万トンの不燃ごみ等を破砕した上で選別し、資源化・減容化を行うことで、可能な限り埋め立てる量が少なくなるよう取り組 まれています。研修員は初めて見る施設に驚きながらも、ごみの分別の必要性についても理解を深めていたようです。
10月30日(金)今回の東京研修の最終日には、研修員がグループごとにそれぞれ日本で学んだ事、これらの学びをヤンゴンでどのように活用していくのか、について発表しました。
東京二三区清掃一部事務組合の神野美和清掃国際協力課長からは今後も協働してクアラルンプールの廃棄物問題に取り組んでいくことを相互扶助活動「ゴトン・ヨロン」に擬え、話されました。
また研修員を代表として、マレーシア廃棄物管理・環境協会会長のスーリア・ガンディー・ラオ・アパナン氏から研修の成果を踏まえて「東京における3R・ゴミ分別の知見をクアラルンプール市内の各自治体で役立てていきたい」と総括がありました。
本草の根技術協力では、今年度の活動として次回は、クアラルンプールで同市市民と東京二三区の区民の視察・交流事業が予定されています。現地においても、 活発な議論がなされる事を期待しつつ、研修員が今回日本で学んだ事を現場で活用し、同市の環境が改善される事を望みます。
JICA東京地域連携課