第189回通常国会で水銀等の大気中への排出を規制するための大気汚染防止法の一部を改正する法律(平成27年法律第41号。以下「改正法」という。)が成立、平成27年6月19日に公布。 改正法の施行に伴い、大気汚染防止法施行令(昭和43年政令第329号)について所要の改正を行うもの~
環境省 2015年9月15日
■「大気汚染防止法施行令の一部を改正する政令案」に関する意見募集(パブリックコメント)について(お知らせ)
「大気汚染防止法施行令の一部を改正する政令案」について、広く国民の皆様から御意見をお聴きするため、平成27年9月15日(火)から平成27年10月15日(木)までの間、インターネット、郵送及びファックスにより御意見を募集(パブリックコメント)します。
.意見募集対象「大気汚染防止法施行令の一部を改正する政令案」(別紙)
4. 募集要綱
(1)募集期間
平成27年9月15日(火)から平成27年10月15日(木)まで
詳細は~
大気汚染防止法施行令の一部を改正する政令案の概要
1 . 趣 旨
平成25年(2013年)10月に水銀による地球規模での環境汚染を防止することを目的とする「水銀に関する水俣条約(以下「条約」という。)」が採択された。これを受けて、水銀等の大気中への排出を規制するための大気汚染防止法の一部を改正する法律(平成27年法律第41号。以下「改正法」という。)が第189回通常国会で成立し、平成27年6月19日に公布された。
今般、条約の早期締結のため、改正法の施行に伴い、大気汚染防止法施行令(昭和43年政令第329号。以下「政令」という。)について所要の改正を行うものである。
2 . 概 要
( 1 )水銀排出施設について、条約附属書Dに掲げる施設又は条約附属書Dに掲げる工程を行う施設のうち、条約第8条2(b)の基準として環境省令で定める基準に該当するものとする(具体的な種類及び規模は環境省令で定める)。
( 2 ) 環境大臣又は都道府県知事が、水銀排出施設の設置者に対し、報告徴収及び立入検査ができる事項を定める。
報告徴収: 水銀排出施設の構造及び使用の方法、水銀等の処理の方法、水銀濃度等
立入検査: 水銀排出施設及びその関連施設、水銀排出施設に使用する燃料及び原料並びに関係帳簿書類
( 3 ) 都道府県知事の権限のうち、政令で定める市の長に委任する事務は、設置等の届出受理、改善勧告等・改善命令等、実施制限期間の短縮、報告徴収・立入検査、適用除外対象施設に係る権限を有する行政機関の長との通知の受理・要請・協議等に関する事務とする。また、工場に係る事務は、指定都市及び中核市の長が行い、工場以外に関する事務は、政令第13条第1項に規定する政令市の長並びに指定都市及び中核市の長が行うこととする。
( 4 ) その他所要の措置を講ずる。
※ 法第18条の32の規定に基づく要排出抑制施設に係る事項は、所要の調査検討を行った上で定めることとし、今般の政令改正では措置しないものとする。
3 . 施行期日
改正法の施行の日(条約が日本国について発効する日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日)
※ 施行期日を定める政令は、別途定めるものとする。
附属書Dに掲げる発生源
具体的には、
① 石炭火力発電所、
② 産業用石炭燃焼ボイラー、
③ 非鉄金属(鉛、亜鉛、銅及び工業金)製造に用いられる製錬及びばい焼の工程(非鉄金属製錬施設) 、
④ 廃棄物の焼却施設並に
⑤ セメントクリンカーの製造設備の5種が掲られている。
☆グラフは、環境省「水俣条約を踏まえた今後の水銀大気排出対策について(答申案)表2 水銀大気排出インベントリ(2010 年度ベース、2013 年度更新)から作成
Ⅲ 水銀の大気排出対策の在り方につい
2.水銀排出規制制度の枠組み
(b)具体的な規制水準を設定するに当たっての基本的考え方(6P)
水銀大気排出規制においては、Ⅲ1.に述べた規制の必要性を踏まえ、その排出
基準は、ばい煙排出規制における排出基準のように環境基準等の環境上の目標の維
持達成を目指す観点から設定されるものではなく、水俣条約第8条第4項を踏まえ
「利用可能な最良の技術に適合」した値とする必要がある。
このため、排出基準は、経済的及び技術的考慮を払いつつ、排出源分類ごとの排
出状況及び排出抑制技術の状況について十分に調査・検討を行い、これらを勘案し
た上で、現実的に排出抑制が可能なレベルで定めることとする。また、排出基準の
値については、平常時に対象施設において達成されるべき値として設定することが
適当である。
(4)排出規制の対象施設の選定の基本的考え方(8P)
水銀大気排出規制の対象については、水俣条約第8条第2項(b)の規定に基づき、
附属書Dに掲げられている5分類(石炭火力発電所、産業用石炭燃焼ボイラー、非鉄
金属製造に用いられる製錬及びばい焼の工程、廃棄物の焼却設備又はセメントクリン
カーの製造設備)に該当する施設は、排出規制の対象とする必要がある。具体的な対
象施設の範囲については、大気汚染防止法施行令(昭和43 年政令第329 号)に基づ
くばい煙発生施設の施設概念にとらわれず、条約第8条及び附属書Dの趣旨に照らし
て適切に設定すべきである。
(5)事業者による自主的な排出抑制取組の責務(9P)
条約対象施設からの排出であるか否かに関わらず、人為的な発生源からの水銀の排
出を抑制することは、条約の目的に合致することから、水銀の大気排出に関係する事
業者一般に対しては、その責務として、自主的な排出抑制取組を求める規定を設ける
ことが適当であり、そのような取組の実施を求めることは、水俣条約第8条第4項に
規定する「環境のための最良の慣行」の利用の促進にもつながるものである。
特に、廃棄物の焼却設備等の排出源については焼却する対象物に混入する水銀含有
物を可能な限り削減することが重要であるところ、入口対策として、一般廃棄物につ
いては市町村等による分別回収を促進し、産業廃棄物については排出事業者に対しマ
ニフェスト等により水銀を含むことを明らかにすることを徹底する等具体的な廃棄
物対策が実施されるよう措置することが適当である。
また、(6)と同様、事業者が製品等を購入する際には水銀を含有しない又は水銀
含有量の少ない製品等をできる限り選択すること等の努力を求めることが適当であ
る。