■ 控訴取り下げ、御船町議会同意 竹バイオマス
熊本日日新聞 2015年8月14日
御船町が計画した竹バイオマス事業に支出し回収不能となった補助金をめぐる住民訴訟で、町議会は13日、町の控訴取り下げ案に同意した。町は近く福岡高裁に書面を提出。認められれば、山本孝二町長(当時)に9279万円を請求するよう町に命じた熊本地裁判決が確定する。
同事業は国の補助事業として町が計画。町は2009年2月に2億円、5月に9279万円を事業会社(熊本市、破産)に支出した。しかし、同社は資金調達に失敗し、事業は頓挫。町は補助金を全額肩代わりして国に返還した。
昨年10月の熊本地裁判決は2回目の支出について「町長が会社の資金調達状況を十分調査していなかった」と認定。町が控訴し、ことし3月に控訴審が始まったが、4月の町長選では控訴取り下げを公約の一つに掲げた藤木正幸氏が当選した。
藤木町長は「多くの住民は、町が速やかに損害の回復に努めることを望んでいる」と提案理由を説明。議員11人が賛成、反対の立場から討論し、裁決では6対5の賛成多数で同意した。
議決後、藤木町長は「判決が確定し次第、山本氏に支払いを求める」と明言。記者会見した原告団の吉井博団長(79)=同町滝尾=は「控訴取り下げは極めて常識的な判断だが、町の財政に大きな損害が生じている現状は変わらない。今後も注視していく」と話した。
一方、山本氏は「三審制が憲法で認められているにもかかわらず、控訴取り下げはおかしい。対応は弁護士と相談して決める」とのコメントを出した。
このほか15年度一般会計補正予算など2議案を可決した。補正は一審の弁護士報酬432万円など918万円の追加。(池田祐介)