■ 汚染牧草1400t減 待てぬ農家焼却か
河北新報 2015年6月2日
東京電力福島第1原発事故で放射性セシウムに汚染され、農家などが保管している汚染牧草について、栗原市は1日、ことし3月時点で2592トンで、1年前 と比べ1400トン以上減少したと発表した。汚染牧草の処理が進まない中、農家が農地へのすき込みや焼却処理をしたとみられる。市は、月内に保管農家を対 象にした意向調査を実施する方針。
汚染牧草は、指定廃棄物の最終処分場での管理が必要ない、いずれも汚染濃度が1キログラム当たり 8000ベクレル以下。市は「各農家の処理は違法ではない」としながらも、農作物への汚染や焼却で出る灰での汚染濃縮が懸念されるとして、「処理方針が決 まるまで保管を続けてほしい」と呼び掛けている。
市が3、4月に実施した調査では、ことし3月時点で、225戸が2592トンを保管。14年3 月は434戸4066トンで、汚染牧草は1474トン減り、保管戸数は半減した。保管農家向けのアンケートでは、処理方法として農地へのすき込み、堆肥と しての使用、焼却などを挙げたという。
国は8000ベクレル以下の牧草について、市町村が一般廃棄物と交ぜて焼却処理する原則を示しているが、市は「既存施設は容量がいっぱいで、焼却炉が汚染される」と反発し、市内での汚染牧草の処理方針が定まっていない。
背景には一般廃棄物と混焼した場合でも高濃度の焼却灰が生じ、それを運び込む指定廃棄物の最終処分場が決まっていないことがある。市は本年度から汚染牧草の減容化などの研究を独自に始める。
また、汚染牧草の保管長期化に伴い、ラッピングされた一部ロールに穴が空くなどしているため、市は本年度、汚染牧草に遮水シートをかぶせる措置を取る。