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Channel: 東京23区のごみ問題を考える
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化学工業日報 『廃棄物発電を普及させる政策を望む』を読んで~

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化学工業日報ヘッドライン ニュースの「廃棄物発電を普及させる政策の望む」を読んで、、、、
いろいろ思うところ多く、今一度、日本の一般廃棄物処理の状況、廃棄物発電の現状をお復習いしてみた。

化学工業日報の「発電設備を併設した焼却施設の普及策の見直し」は、民間施設や、産廃施設に関してはよく分からないが、一般廃棄物処理施設に関しては、これ以上、再生エネ固定価格買い取り(FIT)制度がどうこうという問題ではないように思う。ましてや、「未利用木材資源などバイオマ スと混ぜて処理量を増やす」などということは、廃棄物処理の市町村には本末転倒、廃棄物処理と、ごみ発電事業は切り離して考えるべきなのではないだろうか。市町村は、「廃棄物処理」を安全に確実に行うのが先決で、廃棄物発電はあくまでもその付随物の位置づけがないと廃棄物行政は逆行する。

確かに、日本はごみ焼却大国、
一般廃棄物の焼却施設は減少傾向とはいえ、平成25年度で1,173 施設ある
そのうち、発電設備を有する施設数は全体の28%ということである。
廃棄物の焼却や、廃棄物発電が、いいとかわるいとかはいろいろあるにせよ、
単純焼却するよりは、せめてエネルギー回収は必要なのだろうが、
しかし、あまりにも規模の小さな焼却炉が,あまりにも数多く存在しているのが現実なので、

新エネルギー導入大綱、バイオマス・ニッポン総合戦略というものもあった
最近では、廃棄物処理施設整備計画(平成20年3月閣議決定)において、
平成24年度のごみ焼却施設の総発電能力の目標値は2,500 MWというものも、、、
環境省は、高効率発電に交付金二分の一とかでいろいろ先導していても、
平成25年度の総発電能力は1,770 千kW (前年度 1,754 千kW) 
全く目標に届いていないのが現実である。環境省も、目標を設置したからには、それなりの目算はあったのだろうが、
新しい廃棄物焼却施設の建設などで、発電可能にもかかわらず発電設備を取り付けないということは考えられないが、
目標に届かない原因などの公表はない。

現状の一般廃棄物の処理は自治体の役割、それぞれの市町村が廃棄物処理を行う中で、
結局は、一般廃棄物処理施設の廃棄物発電をこれ以上進めて行くには、大型ごみ焼却施設導入で、さらなる広域処理の推進になってしまう。
ダイオキシン類の問題も、廃棄物の広域処理や連続焼却で問題なしとしてしまったように、それはそれでさらに新たな問題が生じる、、

再生エネ固定価格買い取り(FIT)制度のバイオマス発電も、既存施設の該当施設は、ほんとうに棚ぼた式のビッグボーナス
23区の清掃工場など、、、、これまでと同様の処理を行っていて、売電電力量は平成24年度も5.7億KWh、平成25年度も同じ5.7億KWhであって、売電収入は平成24年度63億円で、平成25年度は98億円の収入である。固定価格買い取り(FIT)制度の上乗せ分が約35億円にもなった。それらは、結局は電気使用者が電力料金で支払う再エネ発電賦課金なのだから、複雑な心境である。

廃棄物発電を普及させる政策の望む 
化学工業日報-2015年5月25日
 ゴミの焼却エネルギーを利用する廃棄物発電投資が停滞している。1990年代には地産地消型エネルギーとして注目され、政府は「新エネルギー導入大綱」で拡大方針を打ち出したが、目標に達していない。発電設備を併設した焼却施設の普及策の見直しを望みたい。
 政府は6月中にも2030年の望ましい電源構成(ベストミックス)を確定するが、この間の議論は原子力か再生可能エネルギーかの二者選択に集中した感が 強い。「3つのEとS」(安定供給・経済効率性・環境性と安全性)に基づくエネルギー政策のあるべき姿に踏み込めないまま原案が策定された。
 廃棄物発電は再生エネの一つに位置付けられ、12年7月に施行された再生エネ固定価格買い取り(FIT)制度では、廃棄物発電における廃棄物バイオマス比率をFIT対象に限定して導入された。しかし対象が限られたことで普及を阻害した。
  環境省の12年度調査によると、全国に1189の一般廃棄物焼却施設があるが、発電設備があるのは318、全体の27%にとどまる。03年度の271よ りは増えたが、発電設備比率はほぼ横ばい。都市ゴミの発生量が減少して焼却量が減少していることも背景にある。産業廃棄物処理で発電設備を持っている施設 は65にとどまり、全体の18%に過ぎない。
 エネルギー供給構造を強化するには多様な電源を模索しなくてはならない。廃棄物発電はゴミ発生量の減少という制約はあるが、未利用木材資源などバイオマ スと混ぜて処理量を増やせばCO2削減にも貢献できる。バイオマス専用発電設備の投資は簡単に踏み切れないが、既存の廃棄物焼却炉を利用すれば投資金額の 抑制も可能だろう。
 バイオマスを使う廃棄物発電の設備利用率を向上させるとともに、新規投資を拡大させるには規制緩和など政策支援が不可欠だ。新エネルギー財団では、バイ オマスを燃料として使用する場合、熱量の30%を上限とする燃料投入量制限を50%に引き上げるなどの規制緩和を求めている。バイオマスの有効利用として の政策効果も大きい。
 廃棄物発電はプラスチック廃棄物処理も含めて地域の環境保全に貢献する。ただ廃棄物量に制約されることで小規模施設になりがちで、現在のFIT調達価格では投資回収が容易でない。この対策に規模に応じた価格体系を設定すれば投資の支援効果も見込める。
 廃棄物発電でエネルギー供給構造に抜本的改革を促すことはできないまでも、多様かつ柔軟な環境・エネルギー政策に貢献する。このような小さな積み重ねも大事にしたい。

 

 

以下、本ブログからの参考になりそうなものを切り貼り(お復習い)


環境省「日本の廃棄物処理 平成25年度版」より作成または転載

関連(本ブログ)
環境省 日本の一般廃棄物処理 平成25年度版(平成27年2月末現在) 直接焼却は80% 2015年03月23

  (平成25年度末現在)
 ・施設数          1,173 施設  (前年度 1,189 施設) [ 1.3 % 減 ]
 ・処理能力        182,683 トン/日(前年度 184,426 トン/日)
 ・1施設当たりの処理能力   156 トン/日(前年度 155 トン/日 )
 ・余熱利用を行う施設数    778 施設  (前年度 781 施設)
 ・発電設備を有する施設数   328 施設  (前年度 318 施設)  (全体の28.0%)
 ・総発電能力        1,770 千kW  (前年度 1,754 千kW) [ 0.9 % 増 ]


(1)ごみ焼却施設の炉型式別施設数の推移

 

まだまだバッチ炉がかなりある、

 


注)・(民間)以外は市町村・事務組合が設置した施設で、当該年度に着工した施設及び休止施設を含み、廃止施設を除く。
・機械化バッチ式の数値は(バッチ式-固定バッチ式)により算出。

(4)ごみ焼却施設の規模別施設数(平成25年度実績)

 

 

 



 ②ごみ焼却施設の発電の状況


注)・(民間)以外は市町村・事務組合が設置した施設で、当該年度に着工した施設及び休止施設を含み、廃止施設を除く。
・ごみ焼却施設における発電効率は、高効率ごみ発電施設整備マニュアルに発電効率=発電出力/投入エネルギー(ごみ+
外部燃料)と定義されているが、ここは以下に示す式で算出とした。


④ごみ焼却施設の発電効率別の施設数(平成25 年度実績)

 


⑤ごみ焼却施設の発電能力別の施設数(平成25 年度実績)

 


以下、
環境省 「一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成24年度)について」より作成または転載

関連(本ブログ)
環境省 一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成24年度)について (平成26年2月28日現在) 2014年06月21日


2.ごみ焼却施設の状況
・ごみ焼却施設数は減少。
・1施設当たりの処理能力は横ばい。
・発電設備を有する施設は全体の26.7%。総発電能力は増加。
(平成24年度末現在)
・施設数 1,188 施設 (前年度 1,211 施設) [ 1.9 % 減 ]
・処理能力 184,117 トン/日(前年度 186,255 トン/日)
・1施設当たりの処理能力 155 トン/日(前年度 154 トン/日 )
・余熱利用を行う施設数 780 施設 (前年度 791 施設)
・発電設備を有する施設数 317 施設 (前年度 314 施設) (全体の26.7%)
・総発電能力 1,748 千kW (前年度 1,740 千kW) [ 0.5 % 増 ]

 

発電設備を有する施設は317施設で全ごみ焼却施設の26.7%を占め、発電能力の合計は1,748 MWである(表-3)。また、総発電電力量7,718GWhであり、約227万世帯分 注13)の年間電力使用量に相当する。
注13) 電気事業連合会の推計値(一世帯当たりの電力消費量283.6kWh/月(平成21年度))をもとに算出。

表-3 ごみ焼却施設の発電の状況
発電施設数 317 (314)
総発電能力 (MW)  1,748 (1,740)
発電効率 (平均) (%)  11.92 (11.73)
総発電電力量(GWh) 7,718 (7,487)
※ ( )内は平成23年度の数値を示す。
また、ごみ焼却施設(発電設備の有無を問わない)の年間処理量と年間総発電電力量から求めら
れるごみ処理量当たりの発電電力量は、増加傾向にある(図-13)。

発電設備を有する施設のうち、発電効率が10%以上の施設は208施設(23年度194施設)であり、全体の66%(23年度62%)を占める。うち、発電効率が20%以上の施設は15施設(23年度15施設)にとどまる(図-14)。


(参考)
廃棄物処理施設整備計画(平成20年3月閣議決定)において、平成24年度のごみ焼却施設の総発電能力の目標値は2,500 MWであった。
今後は、新たな廃棄物処理施設整備計画(平成25年5月閣議決定)に基づき、焼却せざるを得ないごみについては、焼却時に高効率な発電を実施し、回収エネルギーを確保していく必要がある。


 

 

関連(本ブログ)
ごみ焼却発電(バイオマス発電)と固定価格買取制度、23区の場合~ 2014年12月26日

平成24年度、25年度、売電電力量は同じ5.7億KWhであって、
売電収入は63億円と98億円、その差は約35億円
(単純に63億円と98億円を5.7億KWhで割ると11.1円と17.2円になる。なんとなく平均単価らしい数字?)
☆グラフは東京二十三区清掃一部事務組合「清掃工場等作業年報」等より作成

 

■ごみ焼却発電の拡大と発電効率の向上
SCE・Net エネルギー研究会・エネルギーレポート 松村 眞
http://www.sce-net.jp/pdf/R-01.pdf

よくいわれていることではあるが~
「主要国のごみ焼却発電施設数と出力規模」のグラフ、アメリカやドイツの施設当たりの発電能力は衝撃的


出典:財団法人エネルギー総合工学研究所作成データを元に、新エネルギー・産業技術総合開発機構が作成
※グラフは「ごみ焼却発電の拡大と発電効率の向上」より作成
アメリカとドイツは蒸気の発電タービン入口温度を 400℃から 500℃とし、圧力は 5MPa以上を採用しています。また復水器は多くが水冷式なので、発電効率は25%以上が珍しくありません。一方、日本では蒸気の発電タービン入口温度が 300℃以下で、圧力は2MPa以下です。復水器は臨海立地でもほとんどが空冷式です。なお、日本も新設工場では発電タービン入口の蒸気温度に400℃を 採用し始めており、既設の清掃工場もボイラーや復水器など発電関連設備を新/増設すれば、発電効率を改善し出力を増大できるでしょう。(「ごみ焼却発電の 拡大と発電効率の向上」より)


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