■鉄鋼スラグ:製品管理のガイドライン改正
毎日新聞-2015/01/14
八ッ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)の移転代替地などで有害物質を含む建設資材「鉄鋼スラグ」が使われていた問題で、大手鉄鋼メーカーなどでつくる 「鉄鋼スラグ協会」は14日、再発防止のため製品管理に関するガイドラインを改正し公表した。同協会は「会員会社が製造した鉄鋼スラグ製品の品質・販売管 理に重大な不備があり、環境基準を上回る化学物質が検出され、鉄鋼スラグへの信頼をゆるがしかねない事案が発生した」と改正理由を説明している。
今回の問題では大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」(名古屋市)の渋川工場(群馬県渋川市)が渋川市の建設会社に有害スラグとみられる資材を販売した 際、販売額より多い費用を販売管理費などの名目で支払う「逆有償取引」と呼ばれる手法を取っていたことが明らかになっている。このため改正ガイドラインで は「販売代金を上回る金品の支払いは逆有償状態であると判断されるおそれがある。販売先に対し、名目を問わず販売代金以上の金品を支払ってはならない」と 明記した。
また「特殊鋼電炉の会員会社については、フッ素と六価クロムの発生源(の化学物質)を多量、頻繁に使用することから、積み付け山(製品を山積みし た塊)ごとの検査を義務づけ、検査未了の山からは出荷しないこと」も記載。検査自体も年1回から月1回に改め、有害物質の拡散を防ぐとした。
さらに、大同製のスラグは取引先の建設会社により天然砕石に混合され出荷されていたことから、改正では「混合前のスラグ単体での検査を義務づけ、この段階で基準値を超えたスラグの混合は認めない」とした。
同協会は「大幅な改正で鉄鋼スラグへの信頼を積み上げたい」としている。【杉本修作】
鉄鋼スラグ協会 2015.01.14
●「鉄鋼スラグ製品の管理に関するガイドライン」の改正について
当協会では、鉄鋼スラグ製品の利用促進ならびに鉄鋼スラグ製品の安全性および信頼性を確保するため、「鉄鋼スラグ製品の管理に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)を策定するとともに、会員各社に「自社管理マニュアル」の整備を義務付け、鉄鋼スラグ製品の適切な製造、販売および利用に取り組んでまいりました。
しかしながら、当協会の一会員会社が過去に製造した鉄鋼スラグ製品の品質管理及び販売管理等に重大な不備があり、当該製品を用いて整備された道路等において、土壌環境基準値を上回る化学物質が検出されるという、鉄鋼スラグ製品への社会的信頼を揺るがしかねない事案が発生いたしました。
当協会といたしましては、かかる事案の再発を防止すべく、鉄鋼スラグ製品の一層の管理強化に向けてガイドラインを改正することとし、有識者による「鉄鋼スラグ製品の管理に関するガイドライン改正検討委員会」を設置し、5回の委員会での検討を進めてまいりましたが、今般、改正ガイドラインを取り纏めましたのでお知らせいたします。
今後は、会員各社に改正ガイドラインを周知するとともに、自社管理マニュアルを見直すよう指導し、改正ガイドラインに基づく運用を徹底いたします。また、第三者機関による会員各社におけるガイドラインの遵守状況の審査、ガイドラインの定期的な点検等も実施し、鉄鋼スラグ製品の製造、販売、利用が適切に行われるよう継続して取り組んでまいります。