平成24年度、25年度、売電電力量は同じ5.7億KWhであって、
売電収入は63億円と98億円、その差は約35億円
☆グラフは東京二十三区清掃一部事務組合「清掃工場等作業年報」等より作成
ここのところ、焼却炉プラントメーカ、発電効率アップ等の技術開発(?)の話題が度々流れている。
自治体も、ごみ焼却の高効率発電やバイオマス発電などにも注目なのか、
プラントメーカーも、ごみ発電の高効率化は売り込みの最大の切り口なのか、、
安全重視でのごみ処理、その副産物としてのごみ発電も、
今や、交付金や、売電収入を当てにしての本末転倒ぎみ、、、、
■10年以上の運転データ蓄積を力に、ごみ焼却発電のスマート化狙う日立造船
ITpro 2014/12/26
「ごみ焼却発電プラントは比較的安定した電源の一つとして評価されるようになり、これまで以上に発電効率の向上に期待がかかっている。その一方で、プラン トの省人化も進んでいる。プラントを支えてきたベテランの運転員が不在の場合でも高い効率で運転できるようにしたい」。日立造船の環境・エネルギー・プラ ント本部 エンジニアリング統括本部の川端馨グループ長はこう語る。
日立造船は日本IBMの協力の下、ごみ焼却発電プラントの最適運転管理システムの構築に向けた取り組みを始めた(関連記事:日立造船がごみ焼却発電プラントの最適運転管理システム構築へ)。トライアルを開始したのは2014年10月。その効果や商用化の可能性を2015年3月までに検討し、その後、次のステップに移る計画だ。
ごみ焼却プラントの運用コストを抑えたい自治体や運営会社にとって、発電した電力の売却によって生じる収入は大きい。例えば東京二十三区清掃一部事務組 合によれば、同組合は2013年3月~2014年2月の1年間に東京23区の清掃工場約20カ所で約11億3000万kWhを発電。その約5割を売却して 約98億円の収入を得たという。そうした売電収入をさらに増やせるようにITを活用することが自社のごみ焼却発電プラントの競争力につながると日立造船は 考えた。
続きは~
23区清掃工場のことが引き合いにでていたので~
確かに、23区の場合、2013年3月~2014年2月の1年間に、19清掃工場で約98億円の売電収入があった。(前年度より34億7,313万円の増加) 発電効率をアップして、売電収入が増えるのであれば、それはそれでいいのかもしれないのだが、、、あまり、効率や売電収入を考えると、本来の適正処理や安全性がないがしろ(?)となって、プラスチックでもなんでも効率よく燃やすことにも繋がりかねない、、、
そして、廃棄物焼却の売電収入は、何と言っても、固定価格買取制度の導入で、バイオマス相当分が17円+税/kWhの買取単価となったことで、売電収入増に大きく貢献しているのである。23区の場合は、光が丘、旧大田、目黒、有明はRPS制度の継続で、そのほかの施設や新工場はすべて、固定価格買取制度(FIT制度)に移行している。そして、夏場は集中焼却や焼却調整など?、電力使用の削減では、灰溶融施設の停止や複数炉施設の1炉稼働等々、そして、PPS事業者(東京エコ)への売電など、売電収入アップにはいろんな要因はあるのだろうが、、、まずは、廃棄物処理施設としてのやるべきことをしっかりと、そのうえでの、IT活用の最適運転管理システムなのだろう。でも、こういうのは、データを蓄積しておもしろそう。
(単純に63億円と98億円を5.7億KWhで割ると11.1円と17.2円になる。なんとなく平均単価のよう?)
23区の清掃工場、約98億円の売電収入で、売電収入だけが一人歩きすると、なにか、電力会社のように、もうけているような錯覚を起こしかねない、それにかかる諸々の経費、平成25年度の清掃一組一般会計の予算総額は807億7,000万円(平成26年度は827億9,700万円)ということを忘れないようにしなければ~
固定価格買取制度に要する費用は、私たち、電気を使う使用者が電気料金として支払っている。
ごみ発電に異を唱える人も、使用電力に比例して「再エネ発電付加金」として徴収されている。
複雑な心境である。
資源エネルギー庁TOP>省エネルギー・新エネルギー> 固定価格買取制度
「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」とは(新制度)
再生可能エネルギーの固定価格買取制度は、再生可能エネルギー源(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を用いて発電された電気を、国が定める固定価格で一定の期間電気事業者に調達を義務づけるもので、2012年7月1日にスタートしました。
電気事業者が調達した再生可能エネルギー電気は、送電網を通じて私たちが普段使う電気として供給されます。このため、電気事業者が再生可能エネルギー電気 の買取りに要した費用は、電気料金の一部として、使用電力に比例した賦課金という形で国民の皆様にご負担をお願いすることとなっております。
マス メタン発酵
ガス
(バイオマス由来) 間伐材等
由来の木質
バイオマス 一般木質
バイオマス・
農作物残さ 建設資材
廃棄物 一般廃棄物
その他の
バイオマス 調達価格 39円+税 32円+税 24円+税 13円+税 17円+税 調達期間 20年間 20年間 20年間 20年間 20年間 バイオマスの例
【メタン発酵ガス】下水汚泥・家畜糞尿・食品残さ由来のメタンガス 【間伐材等由来の木質バイオマス】間伐材、主伐材※ 【一般木質バイオマス・農作物残さ】製材端材、輸入材※、パーム椰子殻、もみ殻、稲わら 【建設資材廃棄物】建設資材廃棄物、その他木材 【一般廃棄その他のバイオマス】剪定枝・木くず、紙、食品残さ、廃食用油、汚泥、家畜糞尿、黒液 ※「発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドライン」に基づく証明のないものについては、建設資材廃棄物として取り扱う。
関連(本ブログ)
■23区 「清掃工場等作業年報(平成25年度) 」の公表。稼働実績、故障件数、電力使用量、CO2排出量など~(2014年10月10日)
■平成26年度鳥取環境大学特別企画シンポジウム 低炭素社会の実現に向けて ~電力ビジネスと清掃工場~(2014年05月14日)
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●23区 「清掃工場等作業年報(平成25年度) 」より電力使用量の部分を抜粋
(3)電力使用量
①使用電力量
平成25年度の清掃工場の総使用電力量は5億9,876万KWhで、前年度比で395万KWh(0.7%)の増加となった。
内訳をみると、発電電力量の所内使用分は、5億5,718万KWhで、前年度比で423万KWh(0.8%)の増加、受電電力量が4,158万KWhで 前年度比29万KWh(0.7%)の減少となっている。平成25年度は、東日本大震災後の電力需給の逼迫に対する取り組みとして、灰溶融炉の停止を行っ た。
●総使用電力量の推移
②単位使用電力量
ごみ1tを焼却処理するための単位使用電力量は、221KWh/tで前年度比、3KWh/t(1.5%)の増加となった。
また、単位発電電力は416KWh/tで4KWh/t(1.0%)の増加となった。
●ごみ1t焼却あたりの使用電力量及び発電電力量の推移
(4)余熱利用
平成25年度の清掃工場における熱回収による総蒸気発生量は971万tであり、前年度比4万t(0.4%)の増加となった。
①発電
ごみ発電による発電電力量は11億2,703万KWhで、前年度比で233万KWh(0.2%)の増加となった。内訳は、所内使用分が49%、売電分が 51%の割合であった。売電電力量は、5億7,063万KWhであり、前年度比で269万KWh(0.5%)の増加となった。また、平成25年3月から平 成26年2月までの売電収入は、98億円となり、前年同期と比較して34億7,313万円(54.9%)*の増加となった。
総蒸気発生量のうち、発電に利用されたのは686万tで、割合は71%であった。前年度比では7,798t(0.1%)の増加となった。
*新エネルー等電気相当量(環境価値分)含む。
●ごみ発電電力量の推移
②熱供給
平成25年3月から平成26年2月までの売却熱量は、54万6,751GJであり、前年同期と比較し1,224GJ(0.2%)の増加となった。また、売却熱料金は、1億8,324万円であり、前年同期と比較し62万円(0.3%)の減少となった。
発電による売電量と熱供給による売却熱量の収入は、99億8,753万円で、前年同期と比較して34億7,251万円(53.3%)の増加となった。