図1. 瑞浪超深地層研究所用地内に建設された大型地下研究施設のレイアウト図。 深度200メートル、300メートル、400メートルの掘削孔から採取した地下水を用いて研究が行われた。☆東京大学「地底深くに生息する微生物の代謝活動を検出」より転載
■高レベル放射性廃棄物:拡散抑制に微生物の呼吸が貢献
◇東大などのチーム、最終処分地に想定地層
毎日新聞 2014/12/23
国が原発から出た高レベル放射性廃棄物の最終処分地に想定している地下数百メートルの地層では、微生物の働きによって地下水が放射性物質の溶けにくい水質に変わり、放射性物質を拡散しにくくしていることが分かり、東京大や日本原子力研究開発機構などのチームが米科学誌プロスワンに発表した。
最近の研究で、地下深部の岩石の隙間(すきま)に大量の微生物が生息していることが明らかになっている。チームは、放射性廃棄物の地層処分について研究する同機構の超深地層研究所(岐阜県)で、地下200~400メートルを流れる水を6年間採取し、分析した。
その結果、地下深部の微生物が酸素ではなく硫酸を使った「呼吸」をしていることが確認され、その呼吸によって硫化水素が作られていた。硫化水素の 濃度が高まった地下水では放射性物質が移動しにくく、ウランなどが地下水に触れても水に溶けて汚染が広がる可能性が地表よりも低いという。
分析した鈴木庸平・東京大准教授(地球微生物学)は「地上から微生物の調査が可能になれば、最終処分の適地を探す参考になる」と話す。【清水健二】
東京大学 2014年 プレスリリース2014/12/18(配信日12/17)
●地底深くに生息する微生物の代謝活動を検出
発表者
鈴木庸平(東京大学 大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻 准教授)
発表のポイント
・地底深部において、極貧栄養状態にも関わらず硫酸呼吸(注1)により微生物が生息することを、地下水の長期観測により初めて明らかにした。
・新たに考案した地下坑道からの調査法によって従来は地上の微生物が混入するために検出が困難であった微生物(注2)の代謝活動(注3)を検出した。
・高レベル放射性廃棄物の地層処分において、放射性核種の移動を抑制する地下水の水質を微生物が形成していることを明らかにした。
発表概要
足下深くに広がる地底は、地球上最大の微生物生態系が存在すると推定されている。しかし、多様な生命にあふれた地上からの調査では掘削に伴って地上の微生物が混入する汚染によって、極貧栄養状態で地下深部に生息する微生物がわずかに消費または生産する化合物を識別することは困難で、その実態は謎に包まれていた。
東京大学大学院理学系研究科の鈴木庸平准教授らの研究グループは、(独)日本原子力研究開発機構、(独)産業技術総合研究所、名古屋大学、金沢大学との共同研究によって、国内の大型地下研究施設を有する岐阜県瑞浪超深地層研究所(注4)で、深度200メートルから400メートルの地下水を地下坑道から採取し(図1)、20種類を越える化学成分の分析を6年間に亘り継続した。その結果、これまで識別が不可能であった微生物の硫酸呼吸により生じる硫酸の変化を検出し、極貧栄養状態の地底深部において微生物が生息することを明らかにした。
また、地底深部において微生物が硫酸呼吸の過程で硫化水素を生成することにより、放射性核種の移動を抑制する地下水水質が形成されていることを示した。これらの成果は、地底深部に微生物生態系が存在するという仮説を支持し、今後地上とは異なる新規な微生物が発見される可能性が期待される。
原子力委員会は、2012年11月に、高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定をめぐる、政府の取り組み姿勢や「原子力発電環境整備機構」(NUMO)の在り方を見直すよう求め、日本学術会議は、「地層処分」そのもののあり方も見直すべきだと提言したり、高レベル放射性廃棄物の最終処分、地層処分のあり方、最終処分場候補地選定を巡るあり方、、、いろいろあるのだろうが、今回の、東大チームの発表も、そういう議論の方向性に影響を与えるのか、、、難しいことはわからないが、何十年、何百年、何十万年にも影響を与える廃棄物を造り続けている現実、、、そして、未来永劫に渡って、放射性物質の封じ込めなど無理であることの妥協というか、代替えというか、それが微生物というのも~
しかし、たかが微生物、されど微生物、人類や恐竜誕生の数億年前から存在し続けている微生物。微生物の世界は、知るほどに不思議というか、、とても侮れないのも事実。数年前に、「微生物の世界からやってきた宣教師」と自負される宮道慎二氏を講師に、微生物の歴史を教わる学習会をおこなったことがあるが、、、今の科学・技術一辺倒の世の中で、ほんとうに微生物の世界は不思議な世界なのである。
経済産業省 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会<最新の審議状況>
●総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会(第10回)‐議事要旨(平成26年11月27日)
●放射性廃棄物ワーキンググループ(第14回)‐配布資料(平成26年12月16日)
●原子力小委員会 地層処分技術ワーキンググループ(第9回)‐議事要旨(平成26年12月8日)
過去ニュース 放射性廃棄物と微生物関連
■奇跡の微生物が福島原発放射能汚染を救う - 海外の論調
世界平和教授アカデミー(韓国・元科学技術部長官・李祥羲,韓国「世界日報」2011年3月28日付)
…一方,2008年には,韓国原子力研究所が,地下の深いところで高レベルの核廃棄物の放射能を抑制する微生物を大量に発見した。この微生物は,金属還元反応によってイオン状態のクロム,ウラニウムなど,高レベル核物質を固体に沈殿させることによって,放射能汚染の拡散を防ぐことができるという。
■微生物が地下水からウランを濾過 ― ヘルムホルツセンターの研究
ドイツ 科学・イノベーション フォーラム 東京 2014/05/22
HZDR 2014年5月8日付けプレスリリース(ドイツ語)
ヘルムホルツセンター ドレスデン-ローゼンドルフ研究所(HZDR)の研究チームが、現在フィンランドで建設中の高レベル放射性廃棄物最終処分場において、溶存ウランを細胞の中で結晶に変化させるバクテリアを発見しました。こうして放射性 ...
■高レベル放射性廃棄物:拡散抑制に微生物の呼吸が貢献
◇東大などのチーム、最終処分地に想定地層
毎日新聞 2014/12/23
国が原発から出た高レベル放射性廃棄物の最終処分地に想定している地下数百メートルの地層では、微生物の働きによって地下水が放射性物質の溶けにくい水質に変わり、放射性物質を拡散しにくくしていることが分かり、東京大や日本原子力研究開発機構などのチームが米科学誌プロスワンに発表した。
最近の研究で、地下深部の岩石の隙間(すきま)に大量の微生物が生息していることが明らかになっている。チームは、放射性廃棄物の地層処分について研究する同機構の超深地層研究所(岐阜県)で、地下200~400メートルを流れる水を6年間採取し、分析した。
その結果、地下深部の微生物が酸素ではなく硫酸を使った「呼吸」をしていることが確認され、その呼吸によって硫化水素が作られていた。硫化水素の 濃度が高まった地下水では放射性物質が移動しにくく、ウランなどが地下水に触れても水に溶けて汚染が広がる可能性が地表よりも低いという。
分析した鈴木庸平・東京大准教授(地球微生物学)は「地上から微生物の調査が可能になれば、最終処分の適地を探す参考になる」と話す。【清水健二】
東京大学 2014年 プレスリリース2014/12/18(配信日12/17)
●地底深くに生息する微生物の代謝活動を検出
発表者
鈴木庸平(東京大学 大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻 准教授)
発表のポイント
・地底深部において、極貧栄養状態にも関わらず硫酸呼吸(注1)により微生物が生息することを、地下水の長期観測により初めて明らかにした。
・新たに考案した地下坑道からの調査法によって従来は地上の微生物が混入するために検出が困難であった微生物(注2)の代謝活動(注3)を検出した。
・高レベル放射性廃棄物の地層処分において、放射性核種の移動を抑制する地下水の水質を微生物が形成していることを明らかにした。
発表概要
足下深くに広がる地底は、地球上最大の微生物生態系が存在すると推定されている。しかし、多様な生命にあふれた地上からの調査では掘削に伴って地上の微生物が混入する汚染によって、極貧栄養状態で地下深部に生息する微生物がわずかに消費または生産する化合物を識別することは困難で、その実態は謎に包まれていた。
東京大学大学院理学系研究科の鈴木庸平准教授らの研究グループは、(独)日本原子力研究開発機構、(独)産業技術総合研究所、名古屋大学、金沢大学との共同研究によって、国内の大型地下研究施設を有する岐阜県瑞浪超深地層研究所(注4)で、深度200メートルから400メートルの地下水を地下坑道から採取し(図1)、20種類を越える化学成分の分析を6年間に亘り継続した。その結果、これまで識別が不可能であった微生物の硫酸呼吸により生じる硫酸の変化を検出し、極貧栄養状態の地底深部において微生物が生息することを明らかにした。
また、地底深部において微生物が硫酸呼吸の過程で硫化水素を生成することにより、放射性核種の移動を抑制する地下水水質が形成されていることを示した。これらの成果は、地底深部に微生物生態系が存在するという仮説を支持し、今後地上とは異なる新規な微生物が発見される可能性が期待される。
原子力委員会は、2012年11月に、高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定をめぐる、政府の取り組み姿勢や「原子力発電環境整備機構」(NUMO)の在り方を見直すよう求め、日本学術会議は、「地層処分」そのもののあり方も見直すべきだと提言したり、高レベル放射性廃棄物の最終処分、地層処分のあり方、最終処分場候補地選定を巡るあり方、、、いろいろあるのだろうが、今回の、東大チームの発表も、そういう議論の方向性に影響を与えるのか、、、難しいことはわからないが、何十年、何百年、何十万年にも影響を与える廃棄物を造り続けている現実、、、そして、未来永劫に渡って、放射性物質の封じ込めなど無理であることの妥協というか、代替えというか、それが微生物というのも~
しかし、たかが微生物、されど微生物、人類や恐竜誕生の数億年前から存在し続けている微生物。微生物の世界は、知るほどに不思議というか、、とても侮れないのも事実。数年前に、「微生物の世界からやってきた宣教師」と自負される宮道慎二氏を講師に、微生物の歴史を教わる学習会をおこなったことがあるが、、、今の科学・技術一辺倒の世の中で、ほんとうに微生物の世界は不思議な世界なのである。
経済産業省 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会<最新の審議状況>
●総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会(第10回)‐議事要旨(平成26年11月27日)
●放射性廃棄物ワーキンググループ(第14回)‐配布資料(平成26年12月16日)
●原子力小委員会 地層処分技術ワーキンググループ(第9回)‐議事要旨(平成26年12月8日)
過去ニュース 放射性廃棄物と微生物関連
■奇跡の微生物が福島原発放射能汚染を救う - 海外の論調
世界平和教授アカデミー(韓国・元科学技術部長官・李祥羲,韓国「世界日報」2011年3月28日付)
…一方,2008年には,韓国原子力研究所が,地下の深いところで高レベルの核廃棄物の放射能を抑制する微生物を大量に発見した。この微生物は,金属還元反応によってイオン状態のクロム,ウラニウムなど,高レベル核物質を固体に沈殿させることによって,放射能汚染の拡散を防ぐことができるという。
■微生物が地下水からウランを濾過 ― ヘルムホルツセンターの研究
ドイツ 科学・イノベーション フォーラム 東京 2014/05/22
HZDR 2014年5月8日付けプレスリリース(ドイツ語)
ヘルムホルツセンター ドレスデン-ローゼンドルフ研究所(HZDR)の研究チームが、現在フィンランドで建設中の高レベル放射性廃棄物最終処分場において、溶存ウランを細胞の中で結晶に変化させるバクテリアを発見しました。こうして放射性 ...