☆環境省「水俣条約を踏まえた今後の水銀大気排出対策について(答申案)」より転載
環境省 平成26年11月25日
■「水俣条約を踏まえた今後の水銀大気排出対策について(答申案 )」に関する意見募集(パブリックコメント)について(お知らせ)
中央環境審議会 大気・騒音振動部会 水銀大気排出対策小委員会は、「水俣条約を踏まえた今後の水銀大気排出対策について(答申案)」を取りまとめました。
本案について、広く国民の皆様から御意見をお聴きするため、平成26年11月25日(火)から平成26年12月24日(水)までの間、インターネット、郵送及びファックスにより御意見を募集(パブリックコメント)します。
1.背景
平成25年10月10日に「水銀に関する水俣条約」が採択されたことを受け、水俣病の経験を有する我が国が早期に条約を締結し、条約の趣旨を踏まえた包括的な水銀対策の実施を推進すべく、平成26年3月17日に中央環境審議会に「水銀に関する水俣条約を踏まえた今後の水銀対策について」が諮問され、同諮問は大気・騒音振動部会及び関係の部会に対し付議されました。これを受け、平成26年4月18日に大気・騒音振動部会に「水銀大気排出対策小委員会」が設置され、水俣条約を踏まえた今後の水銀の大気排出対策のあり方について検討が進められてきました。
今般、同小委員会におけるこれまでの検討を踏まえ、「水俣条約を踏まえた今後の水銀大気排出対策について(答申案)」が取りまとめられましたので、本案について広く国民の皆様からの御意見をお聴きするため、パブリックコメントを実施いたします。
2.意見募集対象
「水俣条約を踏まえた今後の水銀大気排出対策について(答申案)」
3.関係する資料の入手方法
詳細は~
(1)募集期間 平成26年11月25日(火)から平成26年12月24日(水)まで
添付資料
●水俣条約を踏まえた今後の水銀大気排出対策について(答申案)[PDF 79.0 KB]
水銀対策、
水銀廃棄物対策、
大気排出対策と
3項目に分けてのパブリックコメント
「水俣条約を踏まえた今後の水銀大気排出対策について(答申案)」から抜粋
Ⅱ 背景
2.水銀の大気排出の状況(3P)
(1)世界における水銀の大気排出
世界における大気環境中に排出される水銀は、年間5,500~8,900 トンであり、そ
のうち人為的排出は約30%の1,960 トン、一度放出され土壌の表面や海洋に蓄積さ
れた水銀の再放出・再移動によるものが約60%、と推計されている(別紙図1参照)。
人為的排出源の約半分はアジア地域で、中でも中国が全世界排出量の約3割を占め、
最大の排出国となっている。日本が全世界排出量に占める割合は約1%である(別紙
図2参照)。
(2)国内における水銀の大気排出
我が国国内における水銀の大気排出量は、年間17~21 トンと推計されている。主
な排出源とその占める割合は、セメント製造施設が約29%、鉄鋼製造施設(一次製
鉄施設及び二次製鉄施設)が約25%、廃棄物焼却施設(一般廃棄物焼却施設、産業
廃棄物焼却施設及び下水汚泥焼却施設)が約24%、火山が約8%、非鉄金属製造施
設が約5%、石炭火力発電所が約5%となっている(別紙表2参照)。
Ⅲ 水銀の大気排出対策の在り方につい
2.水銀排出規制制度の枠組み
(b)具体的な規制水準を設定するに当たっての基本的考え方(6P)
水銀大気排出規制においては、Ⅲ1.に述べた規制の必要性を踏まえ、その排出
基準は、ばい煙排出規制における排出基準のように環境基準等の環境上の目標の維
持達成を目指す観点から設定されるものではなく、水俣条約第8条第4項を踏まえ
「利用可能な最良の技術に適合」した値とする必要がある。
このため、排出基準は、経済的及び技術的考慮を払いつつ、排出源分類ごとの排
出状況及び排出抑制技術の状況について十分に調査・検討を行い、これらを勘案し
た上で、現実的に排出抑制が可能なレベルで定めることとする。また、排出基準の
値については、平常時に対象施設において達成されるべき値として設定することが
適当である。
(4)排出規制の対象施設の選定の基本的考え方(8P)
水銀大気排出規制の対象については、水俣条約第8条第2項(b)の規定に基づき、
附属書Dに掲げられている5分類(石炭火力発電所、産業用石炭燃焼ボイラー、非鉄
金属製造に用いられる製錬及びばい焼の工程、廃棄物の焼却設備又はセメントクリン
カーの製造設備)に該当する施設は、排出規制の対象とする必要がある。具体的な対
象施設の範囲については、大気汚染防止法施行令(昭和43 年政令第329 号)に基づ
くばい煙発生施設の施設概念にとらわれず、条約第8条及び附属書Dの趣旨に照らし
て適切に設定すべきである。
(5)事業者による自主的な排出抑制取組の責務(9P)
条約対象施設からの排出であるか否かに関わらず、人為的な発生源からの水銀の排
出を抑制することは、条約の目的に合致することから、水銀の大気排出に関係する事
業者一般に対しては、その責務として、自主的な排出抑制取組を求める規定を設ける
ことが適当であり、そのような取組の実施を求めることは、水俣条約第8条第4項に
規定する「環境のための最良の慣行」の利用の促進にもつながるものである。
特に、廃棄物の焼却設備等の排出源については焼却する対象物に混入する水銀含有
物を可能な限り削減することが重要であるところ、入口対策として、一般廃棄物につ
いては市町村等による分別回収を促進し、産業廃棄物については排出事業者に対しマ
ニフェスト等により水銀を含むことを明らかにすることを徹底する等具体的な廃棄
物対策が実施されるよう措置することが適当である。
また、(6)と同様、事業者が製品等を購入する際には水銀を含有しない又は水銀
含有量の少ない製品等をできる限り選択すること等の努力を求めることが適当であ
る。
3.目標、インベントリー等について
(1)大気排出対策の目標の設定(9P)
水俣条約第8条第3項は、締約国は、水銀の大気排出に関して計画を作成し、目標
を定めることができるとしている。しかし、世界における我が国の水銀大気排出割合
は1%程度に止まっていることや、我が国では従来から水銀の大気排出抑制にも一定
程度資する大気汚染物質の排出抑制措置が講じられてきたことを踏まえ、現時点では、
先進国たる締約国の責任として、排出量をできる限り抑制していくとの観点から、イ
ンベントリーを活用した排出量の定量的な把握及び評価を定期的に行っていくべき
である。
なお、当該論点と関連する水俣条約第20 条に基づく実施計画については、水俣条
約対応検討小委員会において検討されている。
☆グラフは、環境省「水俣条約を踏まえた今後の水銀大気排出対策について(答申案)表2 水銀大気排出インベントリ(2010 年度ベース、2013 年度更新)から作成
関連(本ブログ)
■「水俣条約を踏まえた今後の水銀廃棄物対策について(案)」に関する意見募集(パブリックコメント)(2014年11月20日)
■「水銀に関する水俣条約を踏まえた今後の水銀対策につい」に関する意見募集(パブリックコメント)(2014年11月17日)
環境省 平成26年11月25日
■「水俣条約を踏まえた今後の水銀大気排出対策について(答申案 )」に関する意見募集(パブリックコメント)について(お知らせ)
中央環境審議会 大気・騒音振動部会 水銀大気排出対策小委員会は、「水俣条約を踏まえた今後の水銀大気排出対策について(答申案)」を取りまとめました。
本案について、広く国民の皆様から御意見をお聴きするため、平成26年11月25日(火)から平成26年12月24日(水)までの間、インターネット、郵送及びファックスにより御意見を募集(パブリックコメント)します。
1.背景
平成25年10月10日に「水銀に関する水俣条約」が採択されたことを受け、水俣病の経験を有する我が国が早期に条約を締結し、条約の趣旨を踏まえた包括的な水銀対策の実施を推進すべく、平成26年3月17日に中央環境審議会に「水銀に関する水俣条約を踏まえた今後の水銀対策について」が諮問され、同諮問は大気・騒音振動部会及び関係の部会に対し付議されました。これを受け、平成26年4月18日に大気・騒音振動部会に「水銀大気排出対策小委員会」が設置され、水俣条約を踏まえた今後の水銀の大気排出対策のあり方について検討が進められてきました。
今般、同小委員会におけるこれまでの検討を踏まえ、「水俣条約を踏まえた今後の水銀大気排出対策について(答申案)」が取りまとめられましたので、本案について広く国民の皆様からの御意見をお聴きするため、パブリックコメントを実施いたします。
2.意見募集対象
「水俣条約を踏まえた今後の水銀大気排出対策について(答申案)」
3.関係する資料の入手方法
詳細は~
(1)募集期間 平成26年11月25日(火)から平成26年12月24日(水)まで
添付資料
●水俣条約を踏まえた今後の水銀大気排出対策について(答申案)[PDF 79.0 KB]
水銀対策、
水銀廃棄物対策、
大気排出対策と
3項目に分けてのパブリックコメント
「水俣条約を踏まえた今後の水銀大気排出対策について(答申案)」から抜粋
Ⅱ 背景
2.水銀の大気排出の状況(3P)
(1)世界における水銀の大気排出
世界における大気環境中に排出される水銀は、年間5,500~8,900 トンであり、そ
のうち人為的排出は約30%の1,960 トン、一度放出され土壌の表面や海洋に蓄積さ
れた水銀の再放出・再移動によるものが約60%、と推計されている(別紙図1参照)。
人為的排出源の約半分はアジア地域で、中でも中国が全世界排出量の約3割を占め、
最大の排出国となっている。日本が全世界排出量に占める割合は約1%である(別紙
図2参照)。
(2)国内における水銀の大気排出
我が国国内における水銀の大気排出量は、年間17~21 トンと推計されている。主
な排出源とその占める割合は、セメント製造施設が約29%、鉄鋼製造施設(一次製
鉄施設及び二次製鉄施設)が約25%、廃棄物焼却施設(一般廃棄物焼却施設、産業
廃棄物焼却施設及び下水汚泥焼却施設)が約24%、火山が約8%、非鉄金属製造施
設が約5%、石炭火力発電所が約5%となっている(別紙表2参照)。
Ⅲ 水銀の大気排出対策の在り方につい
2.水銀排出規制制度の枠組み
(b)具体的な規制水準を設定するに当たっての基本的考え方(6P)
水銀大気排出規制においては、Ⅲ1.に述べた規制の必要性を踏まえ、その排出
基準は、ばい煙排出規制における排出基準のように環境基準等の環境上の目標の維
持達成を目指す観点から設定されるものではなく、水俣条約第8条第4項を踏まえ
「利用可能な最良の技術に適合」した値とする必要がある。
このため、排出基準は、経済的及び技術的考慮を払いつつ、排出源分類ごとの排
出状況及び排出抑制技術の状況について十分に調査・検討を行い、これらを勘案し
た上で、現実的に排出抑制が可能なレベルで定めることとする。また、排出基準の
値については、平常時に対象施設において達成されるべき値として設定することが
適当である。
(4)排出規制の対象施設の選定の基本的考え方(8P)
水銀大気排出規制の対象については、水俣条約第8条第2項(b)の規定に基づき、
附属書Dに掲げられている5分類(石炭火力発電所、産業用石炭燃焼ボイラー、非鉄
金属製造に用いられる製錬及びばい焼の工程、廃棄物の焼却設備又はセメントクリン
カーの製造設備)に該当する施設は、排出規制の対象とする必要がある。具体的な対
象施設の範囲については、大気汚染防止法施行令(昭和43 年政令第329 号)に基づ
くばい煙発生施設の施設概念にとらわれず、条約第8条及び附属書Dの趣旨に照らし
て適切に設定すべきである。
(5)事業者による自主的な排出抑制取組の責務(9P)
条約対象施設からの排出であるか否かに関わらず、人為的な発生源からの水銀の排
出を抑制することは、条約の目的に合致することから、水銀の大気排出に関係する事
業者一般に対しては、その責務として、自主的な排出抑制取組を求める規定を設ける
ことが適当であり、そのような取組の実施を求めることは、水俣条約第8条第4項に
規定する「環境のための最良の慣行」の利用の促進にもつながるものである。
特に、廃棄物の焼却設備等の排出源については焼却する対象物に混入する水銀含有
物を可能な限り削減することが重要であるところ、入口対策として、一般廃棄物につ
いては市町村等による分別回収を促進し、産業廃棄物については排出事業者に対しマ
ニフェスト等により水銀を含むことを明らかにすることを徹底する等具体的な廃棄
物対策が実施されるよう措置することが適当である。
また、(6)と同様、事業者が製品等を購入する際には水銀を含有しない又は水銀
含有量の少ない製品等をできる限り選択すること等の努力を求めることが適当であ
る。
3.目標、インベントリー等について
(1)大気排出対策の目標の設定(9P)
水俣条約第8条第3項は、締約国は、水銀の大気排出に関して計画を作成し、目標
を定めることができるとしている。しかし、世界における我が国の水銀大気排出割合
は1%程度に止まっていることや、我が国では従来から水銀の大気排出抑制にも一定
程度資する大気汚染物質の排出抑制措置が講じられてきたことを踏まえ、現時点では、
先進国たる締約国の責任として、排出量をできる限り抑制していくとの観点から、イ
ンベントリーを活用した排出量の定量的な把握及び評価を定期的に行っていくべき
である。
なお、当該論点と関連する水俣条約第20 条に基づく実施計画については、水俣条
約対応検討小委員会において検討されている。
☆グラフは、環境省「水俣条約を踏まえた今後の水銀大気排出対策について(答申案)表2 水銀大気排出インベントリ(2010 年度ベース、2013 年度更新)から作成
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