■田原の農地で基準値５倍のヒ素 産廃搬入肥料で
中日新聞-2014/10/15
愛知県が排出した下水道汚泥などを原料とする肥料が搬入された愛知県田原市の農地から、国の土壌環境基準の５倍を超えるヒ素が検出された。調査した愛知県新城市の市民団体「新城の環境を考える市民の会」（山本拓哉会長）は１４日、検出結果を愛知県に通報した。＝関連＜２１＞面
肥料を製造した産業廃棄物処理業「タナカ興業」（愛知県豊橋市）は、新城市内に新たに処理施設の建設を計画し、市民の会は反対している。
市民の会によると、９月２３日、タナカが製造した肥料が運ばれた田原市和地町の農地から、土壌を採取。民間検査機関による溶出試験で、環境基準（１リットル中０・０１ミリグラム）の５・２倍のヒ素を検出した。鉛や六価クロム、総水銀は基準値以下だった。
山本会長は「田原の農地に搬入されているのは肥料ではなく、産廃であることは明確だ。撤去を求めたい。県は一刻も早く、成分分析など、自ら調査するべきだ」としている。
本紙が情報公開請求した行政資料によると、肥料の原料は、愛知県や静岡県の自治体などからの下水道汚泥、大手食品会社などからの食品残さ、業者からの木くず。２０１２年度は計１万１千トン余の原料から６５００トンの肥料を製造し、田原市の農家と取引している。肥料が運ばれた農地の周辺からは昨年秋から、悪臭の苦情が田原市に寄せられている。
愛知県産業廃棄物協会などによると、ヒ素は、下水道汚泥に含まれた工業排水か木くずに混入していた可能性がある。ヒ素は人体に過剰に入った場合、腹痛や血圧低下などの急性中毒症状が出る恐れがある。
タナカ興業は０４年に静岡県湖西市の農地に搬入した肥料が「産廃」とされ、静岡県から撤去を命じられた。その後、田原市に搬入を始めた経緯がある。本紙の取材に「社長が不在なので応じられない」としている。
愛知県廃棄物監視指導室は「環境基準を超えたからといって直ちに問題とは認識していない。必要があれば、成分分析も含め、調べたい」、排出者である愛知県下水道課は「下水道汚泥は年４回程度、成分分析して、有害物質が基準値以下であることを確認している。基準を超えることはあり得ない」としている。
■自治体「心当たりない」 田原の農地でヒ素検出
中日新聞-2014/10/15
市民団体の調査によると、豊橋市の産廃処理業「タナカ興業」が肥料を搬入した田原市の農地から、国の土壌環境基準の五倍を超えるヒ素が検出された。タナカの堆肥を使っている農家は困惑を隠せない一方で、タナカに汚泥や食品残さを排出している自治体や企業は「ヒ素に心当たりはない」。行政は「事態を見守りたい」と話すにとどめた。
県下水道課は、二〇一二年度に汚泥四千トン余の処理をタナカに委託し、現在も排出している。山本純課長補佐は「契約書を交わす際、汚泥の性質を調べた『分析証明書』を提示している」と説明。汚泥には、人のふん尿に加えて工場排水も含まれるが「分析結果を調べたが、ヒ素など有害物質は『検出限界以下』となっている」と話した。
タナカに処理を委託しているのは、県内の自治体や企業だけではない。年間数十トンの汚泥を排出する静岡県下水道公社西遠浄化センター（浜松市）は「ヒ素が汚泥由来とは考えにくい。基準値超えが事実なら契約違反になるので、今後は慎重に対応したい」とする。食品メーカー「カネ美食品袋井工場」（静岡県袋井市）の担当者は「排出しているのは、米や鶏肉などコンビニの販売食品の残り物。ヒ素とは関係ない」と話す。
「今回の結果が事実なら、タナカには原因究明と改善をお願いしたい」と語るのは、ヒ素が検出された畑でキャベツを栽培する農業法人の男性役員。タナカの堆肥を数年以上使っており、タナカが研究機関に依頼した昨年九月の分析では、ヒ素も含めた主要金属の含有量はすべて基準以下だったという。
ただ「信用問題に関わる」として、独自に研究機関で成分分析する考えも示した。一方、田原市の担当者は「基準値を超すヒ素が検出されたのは困るが、それが一過性なのか、常態なのか見極めないといけない」。ただ「市は農地の土壌汚染に指導権を持たないため、県と情報を共有して対応する」と付け加えた。
タナカを所管する豊橋市は「土壌と肥料の環境基準は異なる。肥料に含まれる有害物質の数値が分からない以上、コメントできない」としている。
中日新聞-2014/10/15
愛知県が排出した下水道汚泥などを原料とする肥料が搬入された愛知県田原市の農地から、国の土壌環境基準の５倍を超えるヒ素が検出された。調査した愛知県新城市の市民団体「新城の環境を考える市民の会」（山本拓哉会長）は１４日、検出結果を愛知県に通報した。＝関連＜２１＞面
肥料を製造した産業廃棄物処理業「タナカ興業」（愛知県豊橋市）は、新城市内に新たに処理施設の建設を計画し、市民の会は反対している。
市民の会によると、９月２３日、タナカが製造した肥料が運ばれた田原市和地町の農地から、土壌を採取。民間検査機関による溶出試験で、環境基準（１リットル中０・０１ミリグラム）の５・２倍のヒ素を検出した。鉛や六価クロム、総水銀は基準値以下だった。
山本会長は「田原の農地に搬入されているのは肥料ではなく、産廃であることは明確だ。撤去を求めたい。県は一刻も早く、成分分析など、自ら調査するべきだ」としている。
本紙が情報公開請求した行政資料によると、肥料の原料は、愛知県や静岡県の自治体などからの下水道汚泥、大手食品会社などからの食品残さ、業者からの木くず。２０１２年度は計１万１千トン余の原料から６５００トンの肥料を製造し、田原市の農家と取引している。肥料が運ばれた農地の周辺からは昨年秋から、悪臭の苦情が田原市に寄せられている。
愛知県産業廃棄物協会などによると、ヒ素は、下水道汚泥に含まれた工業排水か木くずに混入していた可能性がある。ヒ素は人体に過剰に入った場合、腹痛や血圧低下などの急性中毒症状が出る恐れがある。
タナカ興業は０４年に静岡県湖西市の農地に搬入した肥料が「産廃」とされ、静岡県から撤去を命じられた。その後、田原市に搬入を始めた経緯がある。本紙の取材に「社長が不在なので応じられない」としている。
愛知県廃棄物監視指導室は「環境基準を超えたからといって直ちに問題とは認識していない。必要があれば、成分分析も含め、調べたい」、排出者である愛知県下水道課は「下水道汚泥は年４回程度、成分分析して、有害物質が基準値以下であることを確認している。基準を超えることはあり得ない」としている。
■自治体「心当たりない」 田原の農地でヒ素検出
中日新聞-2014/10/15
市民団体の調査によると、豊橋市の産廃処理業「タナカ興業」が肥料を搬入した田原市の農地から、国の土壌環境基準の五倍を超えるヒ素が検出された。タナカの堆肥を使っている農家は困惑を隠せない一方で、タナカに汚泥や食品残さを排出している自治体や企業は「ヒ素に心当たりはない」。行政は「事態を見守りたい」と話すにとどめた。
県下水道課は、二〇一二年度に汚泥四千トン余の処理をタナカに委託し、現在も排出している。山本純課長補佐は「契約書を交わす際、汚泥の性質を調べた『分析証明書』を提示している」と説明。汚泥には、人のふん尿に加えて工場排水も含まれるが「分析結果を調べたが、ヒ素など有害物質は『検出限界以下』となっている」と話した。
タナカに処理を委託しているのは、県内の自治体や企業だけではない。年間数十トンの汚泥を排出する静岡県下水道公社西遠浄化センター（浜松市）は「ヒ素が汚泥由来とは考えにくい。基準値超えが事実なら契約違反になるので、今後は慎重に対応したい」とする。食品メーカー「カネ美食品袋井工場」（静岡県袋井市）の担当者は「排出しているのは、米や鶏肉などコンビニの販売食品の残り物。ヒ素とは関係ない」と話す。
「今回の結果が事実なら、タナカには原因究明と改善をお願いしたい」と語るのは、ヒ素が検出された畑でキャベツを栽培する農業法人の男性役員。タナカの堆肥を数年以上使っており、タナカが研究機関に依頼した昨年九月の分析では、ヒ素も含めた主要金属の含有量はすべて基準以下だったという。
ただ「信用問題に関わる」として、独自に研究機関で成分分析する考えも示した。一方、田原市の担当者は「基準値を超すヒ素が検出されたのは困るが、それが一過性なのか、常態なのか見極めないといけない」。ただ「市は農地の土壌汚染に指導権を持たないため、県と情報を共有して対応する」と付け加えた。
タナカを所管する豊橋市は「土壌と肥料の環境基準は異なる。肥料に含まれる有害物質の数値が分からない以上、コメントできない」としている。