カネミ油症50年次世代に継承へ 市民講座や患者招き催し 五島市が年内開催計画発表 [長崎県]
西日本新聞-2018年4月12日
五島市は11日、同市内などで被害が相次いだ国内最大の食品公害「カネミ油症」発覚から今年で50年を迎えるのに合わせ、歴史や実情を次世代に継承する初の市民向け講座や患者が参加するイベントを年内に開催する計画を発表した。
油症は1968年、カネミ倉庫製の米ぬか油にポリ塩化ビフェニール(PCB)などが混入し、長崎、福岡両県を中心に西日本一帯で約1万4千人が健康被害を訴えた食品公害事件。長崎県によると、県内在住の認定患者は468人(3月末現在)で、そのうち五島市在住は282人。
市民講座は5~10月までに計6回開催する予定。市はこれまで小中学校で年に数回、出前講座を開き、市職員が患者から聞き取った話を児童や生徒に語るなどしていたが、一般市民を対象にした講座は初めて。患者や支援者、弁護士などが、今なおさまざまな疾患に苦しむ現状などについて話す予定という。
イベントは11月ごろ市内で開催する計画。市内在住の患者が体験談を話すほか、79年に台湾で発生した同様の油症被害者を招く予定。今後、市などでつくる「カネミ油症事件発生50年事業実行委員会」で詳細を決める。
油症を巡っては、2012年成立の救済法で当時認定患者と同居していた家族も認定対象に加えたが、69年以降に患者から生まれた「2世」は同居とみなされず、対象外のまま。市は引き続き、患者側とともに救済拡大を国に求める考え。
=2018/04/12付 西日本新聞朝刊=
