■ 東北大、精子異常による男性不妊と環境由来化学物質の関連性を解明
日本経済新聞 プレスリリース 2017年2月11日
発表日:2017年2月10日
精子異常による男性不妊と環境由来化学物質の関連性を解明
‐PCB ばく露とヒト精子DNA メチル化異常との関係‐
【研究概要】
精子と卵子が受精する際に、遺伝子の働きを制御する化学的修飾(DNA メチル化(注1))がダイナミックに変動することが知られています。このようなDNA 配列の変化を伴わない遺伝子発現制御はエピジェネティクス(注2) と呼ばれ、環境由来化学物質はヒト精子のエピジェネティクスに大きな影響を及ぼす可能性があると考えられています。実際、男性不妊症患者は世界的にも漸増傾向にあります。
東北大学大学院医学系研究科の有馬 隆博(ありま たかひろ)教授のグループは、同研究科の仲井 邦彦(なかい くにひこ)教授のグループと共同で、精子異常による男性不妊と環境由来化学物質の関連性を解明しました。ヒト不妊症患者の血中ポリ塩化ビフェニル(PCB)濃度と精液所見およびDNA メチル化異常との関連性を解析したところ、血中PCB 濃度は、年齢の増加と伴に徐々に高くなり、精子数の低下を引き起こす可能性が示されました。また、精子DNA のメチル化の異常率とも関連していることが判明しました。さらに、メチル化異常を示す精子を用いた場合、異常のない精子と比べ、体外受精で妊娠率が減少していることを見出しました。この事実により、PCB により影響を受けた精子のメチル化異常が、次世代の受精卵に伝達され影響を及ぼしている可能性が示唆されました。
本研究成果は、2017 年2 月10 日(金)午前10 時(英国時間、日本時間2 月10 日(金)19 時)Scientific Reports 誌(電子版)に掲載されます。
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リリース詳細
http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0435917_01.pdf
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東北大、精子異常による男性不妊と環境由来化学物質の関連性を解明(血中PCB高い男性、精子少ない傾向)
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