信濃毎日新聞「福井の廃棄物処理場汚水対策費訴訟 県内3団体、争う姿勢」より
■ 福井の廃棄物処理場汚水対策費訴訟 県内3団体、争う姿勢
信濃毎日新聞 2016年12月1日
大量のごみを違法に搬入したまま運営会社が経営破綻した福井県敦賀市の廃棄物処分場を巡り、同市がごみ排出元の長野県内の3団体を含む6団体に総額6億3400万円余の汚水対策費の支払いを求めた訴訟の第1回口頭弁論が30日、福井地裁(林潤裁判長)であった。6団体は答弁書を提出して請求棄却を求め、争う姿勢を示した。
被告は穂高広域施設組合(安曇野市)、諏訪郡下諏訪町、葛尾組合(埴科郡坂城町)と、栃木、神奈川、千葉各県の広域行政事務組合など3団体=地図。県内3団体は穂高が1億2900万円余、下諏訪町が794万円余、葛尾が223万円余を請求された。
訴状などによると、処分場には届け出容量の13倍のごみ(一般廃棄物と産業廃棄物)が持ち込まれ、付近の川で有害物質が検出された。運営会社が破綻した2002年、福井県が応急対策工事を実施。その後の抜本対策工事で、市は15年度までに20億8千万円を負担した。市は一般廃棄物を排出した全国60団体に費用負担を求めたが、被告の6団体は協議に応じなかった―などとしている。
答弁書などによると、穂高は施設の指導監督権限は福井県と敦賀市にあるとし、「権限を行使して義務を果たしていれば、違法な処分場の拡幅を早期に把握して是正を図ることは可能だった」と主張。その責任を組合が負うべき理由はないとした。
下諏訪町は「(ごみの搬入時に)廃棄物処理法に沿って事前協議をし、敦賀市の了承を受けた。福井県と敦賀市が適切な行政指導、監督をしなかったことが汚染水浸出を招いた」、葛尾は「事前協議をしており法律上も妥当」としている。
穂高は1万392トン(1998年9月〜2000年8月)、下諏訪町は818トン(99年度)、葛尾は5895トン(94年度)の焼却灰などの処分を委託し、処分場に搬入された。
敦賀市は取材に、廃棄物処理法は一般廃棄物の処理責任は排出自治体にあると規定し、民法上も各団体に費用を請求できると説明。「業者に委託したからといって、排出自治体の責任が無くなるわけではない」(環境廃棄物対策課)としている。
同市は同様の主張に基づき、14年に岡山県の津山圏域東部衛生施設組合(15年度末に解散)を提訴し、福井地裁で争っている。
■ ごみ搬入の県外6団体が争う姿勢 敦賀ごみ処分場工事費請求訴訟
福井新聞-2016年12月1日
許可量の13倍を超えるごみが持ち込まれた福井県敦賀市樫曲の民間最終処分場の抜本対策工事費を巡り、当時ごみを搬入した県外の自治体など6団体に、敦賀市が費用の一部計約6億3400万円を支払うよう求めた訴訟の第1回口頭弁論が30日、福井地裁であった。6団体は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。
市が訴えたのは、栃木、神奈川、長野、千葉各県の6団体。いずれも敦賀市側の請求棄却を求める答弁書を提出した。
訴状によると最終処分場を運営していた「キンキクリーンセンター」が経営破綻したことから2006~15年度、県が8割、市が2割(約20億3千万円)を負担し汚染水漏れを防ぐ抜本工事を行った。
市は、一般廃棄物を持ち込んだ団体に法令上、費用負担の責任があるとして支払いを求めているが、口頭弁論で弁護側は「廃棄物処理の最終責任はない」「県や敦賀市が適切な指導などを行わなかったことが処分場からの汚染水浸出を招いた。対策費は県と敦賀市が負担すべき」などとした。
関連(本ブログ)
■ごみ排出6団体(南那須地区広域行政事務組合など)を提訴…処分場汚染対策費で約6億円の支払い求める 敦賀市2016年09月23日
■違法搬入ごみ 排出元(筑西広域市町村圏事務組合など)5県7団体を提訴 敦賀市方針、6億円支払い求め /福井2016年08月31日
■ 福井のニュース 10年前のきょう、敦賀ごみ問題、木ノ芽川へ漏水/福井2015年08月20日
敦賀ごみ問題、木ノ芽川へ漏水 【2005年8月20日】
福井新聞-2015年8月20日 10年前の今日の記事です、、、
敦賀市樫曲の民間ごみ最終処分場から汚水が漏れ出している問題に関して、同市民間最終処分場環境保全 対策協議会の第四回会合が二十日、同市福祉総合センターあいあいプラザで開かれた。県側が現地調査の中間報告を行い、処分場の遮水シートから漏水があり、 漏れは近くの木ノ芽川まで続いていることが裏付けられたとした。
県は漏水対策取りまとめに向けた調査を五月から行っている。中間報告では、以前に行った三本も含め十五本のボーリングや、高密度電気探査、弾性波探査で判明した漏水経路、処分場の廃棄物の内容などが明らかにされた。
電気探査では、土壌中の水分量によって異なる数値が遮水シートの上部と下部でほぼ同じとなり、漏水が裏付けられた。また木ノ芽川方向へ漏水していることも 判明した。ただ漏水の痕跡はシートの直下に比較的集中していることから、委員の一人は「シートがすべて破れているわけではないが、完全には機能していない 状況ではないか」とみている。
廃棄物の分析では、一般廃棄物焼却灰や汚泥などを含んだ土壌が約55%、ガラス陶磁器くずが約26%、シュレッダーダストを含む廃プラスチック類が約11%であることが分かった。有害物質は一部で鉛が検出されたが「ごみに吸着されるため外に漏れる恐れはない」とされた。
また遮水シート下の岩盤は、一部を除き全体的に水が浸透しにくいものだった。しかし岩盤とシートの間で土砂の分布が新たに見つかり、同協議会は耐震面での安全性調査を県に要請した。
県の調査は処分場周辺や木ノ芽川沿いの地質、地下水水質調査を残しており、十月末までかかる見込み。漏水対策は調査終了後に開かれる次回協議会で検討される。
福井県 最終更新日 2013年3月27日
●敦賀市民間最終処分場抜本対策事業の概要
福井県敦賀市 最終更新日:2015年3月1日
●平成20年 敦賀市樫曲民間一般・産業廃棄物最終処分場に関する意見書(県)
敦賀市は、費用負担を巡って、最大の搬入元であった、津山圏域東部衛生施設組合を提訴している。
岡山県津山市に限らず、18府県の自治体と一部事務組合の計60団体から、一般ごみの焼却灰などが搬入されていた。
関連(本ブログ)
■福井のニュース 10年前のきょう、ごみ処理費、敦賀市負担は3分の1/福井 2014年12月05日
■敦賀市が岡山の組合提訴 ごみ処分場問題巡り2014年10月22日
■ごみ最終処分場の計画10年延長 敦賀・樫曲、福井県が方針(2012年12月12日)
■【福井】敦賀ごみ処分場から汚水漏れ(2011年11月22日)
■敦賀ごみ問題「キンキ社の許可取り消しを」環境省が県指導(2011年06月04日)
■ 県が不法産廃6年黙認、許可量の13倍(2010年06月12日)
■排出者側が協議会設立 敦賀ごみ問題で消極12団体(2009年02月18日)
■「支払い応じられず」 敦賀ごみ問題 排出団体が初の意見交換(2008年05月23日)
■敦賀・廃棄物最終処分場 破産手続き9月終了へ(2008年04月22日)