■ 【特集】疑惑!?適正な入札か…東大阪市のごみ焼却灰運搬で不可解な実態?
毎日放送 2016年10月20日
大阪湾沖にあるごみの最終処分場フェニックス。私たちが出したごみが各地の焼却場で灰となり埋め立てられていきます。しかし東大阪市にある焼却場から、焼却灰が運搬される費用は1トンあたり約3600円。東大阪と同じ府内の中核市などでは2000円台前半がほとんどで大きな差があります。いったいなぜほかの自治体よりも高いのか?東大阪都市清掃施設組合のごみ焼却場を訪れました。
こちらでは東大阪市と大東市のごみを処分していて、年間約4万2000トンと府内でも最大規模の焼却灰が出るといいます。フェニックスへの運搬業務は東大阪市の民間業者3社に委託されていますが、運搬だけでなく灰に混ざる金属片を選別し、積み込む作業も含まれているため単価が高くなると組合側は説明します。
しかし、東大阪市がほかの自治体と大きく違うのが入札です。落札業者を含め3社と契約する方式なのです。その方式とは入札でA社が落札した後、2番手のB社、3番手のC社に対し、組合側がA社の落札価格で業務してもらえないか「協議」をもちかけ、2社が納得すれば契約するという特殊なものです。結果、ここ2年は4社中、3社が仕事を得ています。組合はごみの処理量が多いなどとして、10年以上前から3社に委託していますが、入札ではここ5年連続、予定価格の99%以上の高値で落札され、落札業者と2番手、3番手の差はいずれも10円以内におさまっています。これついて組合はー
「問題ないと思ってます。予定価格、限定価格も設定してますし、それを超えるような落札結果にもなっておりません。2番手3番手の方と協議させていただいて協力をいただいておると」(東大阪都市清掃施設組合 大矢照之総務課長)
しかし、取材を進めていくと不可解な点が浮かび上がってきました。清掃施設組合が業者に出向きトラックのナンバーなどを確認した中に、入札では4番手となり仕事を得られなかったD社で確認された4台の車が、入札後には名義を変えて別の業者の車として登録されているのです。別の業者とは業務を委託されたA、B、Cの3社で、4台はそれぞれこの3社の車として登録されているのです。つまり、入札前にD社で確認されたトラックがD社が業務を受けないと決まった入札後にはA、B、Cの3社へふりわけるように登録されているのです。
入札の前後で変わるトラックの登録。しかし、業務から漏れたD社の駐車場に行ってみると…名義が変わりB社にあるはずの「9116」のトラックが、なぜかD社にとまっていました。さらに別の日には名義が変わりA社にあるはずの「191」「9115」のトラックが駐車されていました。本来この3台はD社にはないはずです。
今月7日の早朝焼却灰の運搬業務は行っていない、D社の駐車場から「9116」が出て行きます。追跡するとトラックは東大阪市内を北東に進んでいきます。そして石切堆積場、焼却灰が置いてある施設に入りました。D社は業務を受けていないはずですが、焼却灰の積み込みを行うようです。しばらくして、ドライバーが始めた作業が…
「トラックに別の業者の社名のシールを貼りだしました」(記者リポート)
なんとそこには、B社の社名が…。組合側は焼却灰の運搬業務で再委託や下請けを禁じています。しかし、実際には4社で仕事を回しあい、D社も業務を行っているではないのでしょうか?
4社に取材を申し込んだところ「9116」を登録しているB社が取材に応じました。
Q.9116はどこの車か?
「うちの車です」(B社担当者)
Q.なぜステッカーを貼る必要がある?
「名前が入ってないから貼っておいたほうがいいのではないかと」
あくまで自分たちの仕事であってD社とは関係がないといいます。
Q.実質はD社の車では?
「ないです、売買契約でうちの名義になっていればうちの車でしょ」
Q.登録だけ変えたことは?
「ない」
Q.実態として4社で業務をしていないか?
「ないですね、そんな談合になりますやん」
清掃施設組合にトラックの実態がおかしいのではないかと聞くと…。
「登録された、その所有のトラックで運搬を処理業務をされてるので、問題はございません」(大矢照之総務課長)
では、D社から出たトラックが業務を行ったことについては?
「たまたまかもしれないですから、それは調査します」(安田進彦事務局次長)
しかし、入札制度に詳しい弁護士は入札結果を無視している可能性が高いと指摘します。
「契約業者以外の業者が事実上参入しているという形ではないかなと。きわめて不明朗と言わざるを得ない」(高村順久弁護士)
不可解な車の動きと高い単価との関係はないのか、組合には徹底した調査が求められます。