東京二十三区清掃一部事務組合 平成28年10月20日
清掃工場における技術開発への協力について(PDF:132KB)
現在建設中の杉並清掃工場のプラントメーカーである日立造船株式会社から当組合に対し、清掃工場における制御技術の高度化研究開発に係る協力の要請がありました。
清掃工場における制御技術は、手動から自動へと高度化してきましたが、ごみ質や燃焼状態の変化などへの対応は現在でも人間の判断によるところが大きく、更なる高度化の余地があります。
当組合では、廃棄物の中間処理施設の更なる安全で安定的な操業の実現を目指し、もって循環型社会形成の推進に貢献することが期待されることから、この要請を受けることとし、下記のとおり基本合意しました。詳細は~
日立造船株式会社 2016年10月20日
杉並清掃工場ビッグデータ解析による最適運転管理システムの開発を開始杉並清掃工場ビッグデータ解析による最適運転管理システムの開発を開始
東京二十三区清掃一部事務組合(所在地:東京都千代田区、管理者:西川 太一郎[荒川区長]、以下、清掃一組)と日立造船株式会社(所在地:大阪市住之江区、取締役社長兼CEO:谷所 敬、以下、日立造船)は、清掃工場における制御技術の高度化に係る調査、研究および技術開発等の分野で協力する旨を10月14日(金)に合意しました。
循環型社会形成の推進に貢献することを目的とし、清掃一組の清掃工場のビッグデータを収集・活用し廃棄物の中間処理施設の更なる安全で安定的な操業の実現を目指します。
ビッグデータの活用は産業・学術・行政・防災等の様々な分野で、未来予測や新しい価値の創造をもたらすと期待されています。清掃工場において得られる、ごみの燃焼温度や空気量、排ガス量等の1日数十万点以上のデータを活用することで、従来の概念を変えるセンサーと制御アルゴリズムを持った高度な知能化制御システムの開発に取り組みます。
■今後の調査、研究・開発内容について
清掃一組は、老朽化した杉並清掃工場(東京都杉並区)を最新鋭の新工場に建て替え整備しており、現在、日立造船と株式会社奥村組の共同企業体が建設しています。2017年の竣工後は清掃一組が管理運営を行います。
日立造船は、同清掃工場において、従来のプラントの運転データに加え、運転予測、異常の前兆検知、機器の寿命予測等に欠かせない多種多様なデータを収集し、ビッグデータ解析を行います。これらをもとにして、運転条件の変化に適応しながら最適に制御していく自律制御、および機器の稼動データをもとにした予兆診断を行うサービス等を開発し、より高度な最適運転管理システムを構築します。
また、日立造船は、燃焼状態を画像から判断して最適運転を行う「CoSMoS(*1)」、ごみバンカ内を3次元的に解析し、ごみ質の安定化を図る「ピット&クレーン3次元自動運転管理システム」、SPring-8(*2)向けMADOCA II(*3)をベースにJASRI(*4)と共同開発した「ビッグデータ管理システム」等の新技術を杉並清掃工場へ集中投入し融合することで、次世代のごみ焼却発電プラントとしての革新的な運転管理技術を提供します。
清掃一組は、最適運転管理システムを構築するためのアドバイスおよび効率的運営、安定操業等の管理運営面から技術協力を行い、世界トップクラスの設備となる杉並清掃工場での研究開発に協力することで、より安心・安全・安定的な施設の操業および効率的な清掃工場の運営を目指し、循環型社会形成の構築、地球環境保全に貢献します。
■清掃一組について
清掃一組は、東京23区の可燃ごみ等の共同処理を行うために設立された国内最大の一部事務組合です。現在21の清掃工場(建替工事中の杉並清掃工場、光が丘清掃工場を含む)を有するとともに、その清掃工場の運営管理を行っており、清掃工場におけるソフト面、ハード面の両方において世界トップクラスの技術力を有しています。
<概要>
名 称: 東京二十三区清掃一部事務組合
管 理 者: 西川 太一郎(荒川区長)
所 在 地: 東京都千代田区飯田橋三丁目5番1号
設 立: 2000年4月1日
事務内容: 可燃ごみの焼却施設(当該施設と一体の溶融固化施設およびごみ運搬用パイプライン施設を含む。)の整備および管理運営、ごみ処理施設の整備および管理運営、し尿を公共下水道に投入するための施設の整備および管理運営
U R L: http://www.union.tokyo23-seisou.lg.jp
■日立造船について
日立造船は、1965年に日本初のごみ焼却発電プラントを納入し、現在は日本を含む東アジア、欧州を中心に累計850件以上のプラントを受注しています。
国内では75プラント以上の運転および30プラント以上の施設運営を行っており、ICTやビッグデータを活用したプラントの最適運転管理や売電パフォーマンスの向上等の先進的な取り組みを推進しています。本研究開発により得られた技術・ノウハウを全国展開することで、次世代のごみ焼却発電プラントの普及を推進するとともに、世界トップクラスの環境技術を海外にも展開していきます。
<概要>
社 名: 日立造船株式会社
代 表 者: 谷所 敬(取締役社長兼CEO)
所 在 地: 大阪市住之江区南港北一丁目7番89号
創 業: 1881年4月1日
事業内容: 環境保全装置、プラント、水処理装置、機械、プロセス機器、
インフラ設備、防災システム、精密機械等の設計、製作等
資 本 金: 45,442,365,005円(2016年3月31日現在)
U R L: http://www.hitachizosen.co.jp
■本件のお問い合わせ先
① 技術開発に関すること
日立造船株式会社
総務・人事部 広報グループ(東京)Tel:03-6404-0802
(大阪)Tel:06-6569-0013
② 技術開発への協力に関すること
東京二十三区清掃一部事務組合
総務部総務課 Tel:03-6238-0603
(注)
*1 CoSMoS:Combustion Sensing Monitor System(コスモス)の略称。学習機能を持った燃焼画像認識システム。
*2 SPring-8:大型放射光施設の名称。太陽の100億倍もの明るさに達する「放射光」という光を使い、物質の原子・分子レベルでの形や機能を調べることができる。
*3 MADOCA II: Message And Database Oriented Control Architecture IIの略称。SPring-8における加速器およびビームラインの制御のためにJASRIが開発したシステム。
*4 JASRI:公益財団法人高輝度光科学研究センターの略称。