■ 市施設、不正投棄めぐり金銭トラブル 鳥羽副市長、4000万円
中日新聞 2016年3月3日
三重県鳥羽市の旧市清掃センター(停止中)で廃棄物の不適切な処理が続き、外部から指摘を受けて交渉に当たった木下憲一副市長(65)と、仲介した市内の会社経営者の男性(63)が、交渉をめぐって多額の金銭トラブルになっていることが分かった。
市などによると、センターでは2009年ごろまで焼却施設を核とした敷地内に焼却灰と一緒に本来は処理できない廃タイヤや古いドラム缶などを埋めた。不正 な処理は10年以上続いていたとみられ、一部に産業廃棄物も含まれる。現在も埋められたままで、市は「分別を徹底できていなかった」と認めている。
センターは新施設に移行した14年4月から稼働していない。
木下副市長は09年に就任し、直後に第三者から、現場の写真とともに不正な投棄を指摘されてきた。副市長が交渉役となり、知人だった男性が仲介に入った。 男性によると「最終的に副市長が個人で写真とネガなどを5千万円で買い取る形となった」として、支払いは男性が立て替えたという。
木下副市長は本紙の取材に「(支払いに)同意せざるを得なかった」と反論している。写真とネガは持っていないという。
その後、副市長は昨年10月まで数十回にわたり男性に1回10万~500万円を払った。手渡しの際には「会社の運転資金として融資する」と記した文書を男性に渡している。
副市長は今年1月、代理人を通じてこれまでに支払った金額として4155万円の返還を求める文書を男性に送付した。書面では「法的な支払い義務を負わない金銭の支払い要求を繰り返した」と指摘している。
男性は「副市長に立て替えを強く頼まれ、会社の運営資金や貯蓄を投じた。返済してもらうべき借金」として返還に応じていない。
木下副市長は取材に、多額の金銭を支払ったことを認め「私の意志の弱さと、市役所や家族を守りたい気持ちだった。法的な支払い義務のないものを払わされてきた。訴訟を含めて検討している」と答えた。
木田久主一市長は昨年12月に木下副市長から報告を受けるまで金銭トラブルを知らなかったという。取材に「今は何も話せない」としている