■社説:東京五輪と環境 「もったいない」を世界に
毎日新聞-2015年5月4日
2020年東京オリンピック・パラリンピック開幕まで5年余りとなった。世界最大規模のスポーツの祭典を、施設中心のイベントに終わらせてはならない。開催を契機とした新たな取り組みやその精神をレガシー(遺産)として次世代に伝えていくことが大切になる。 ... ... ...
.. ... ...
東京大会の招致委員会は立候補ファイルで、「もったいない」の精神に基づき徹底的に廃棄物をなくす大会とすることや、五輪の発信力を生かして環境意識の向上を図ることなどを掲げていた。こうした姿勢は高く評価できる。
心配なのは、その実現に向け、数値目標などを盛り込んだ実行計画ができていないことだ。東京大会の組織委員会は来年度に計画を公表する予定だが、 ロンドン大会と比べると遅れている。策定に際しては政府や都、環境NGO(非政府組織)などと合意形成を図る必要がある。5年という期間を有効に使ってほ しい。
■2020年東京オリンピック・パラリンピック 立候補ファイル
・一括ダウンロード
立候補ファイル 第1巻 (PDF 18.9MB)
立候補ファイル 第2巻 (PDF 21.1MB)
立候補ファイル 第3巻 (PDF 20.8MB)
(抜粋)
柱3:スポーツを通じた持続可能な社会づくり
持続可能な会場設計及び建設
環境負荷の少ない輸送
大気汚染及び騒音公害対策
廃棄物から資源へ
2020年東京大会は、徹底的に廃棄物を無くす大会である。総合的に廃棄物を管理する戦略は、廃棄物の発生を最大限抑制(リデュース)した上で、再使用(リユース)の徹底や、再利用(リサイクル)の促進(最も効率的に再利用できる廃棄物処理の仕組みづくり)を行い、やむを得ず残った廃棄物も可能な限りエネルギーへの活用(バイオガス等)などを行なう。
その実施に当たり、大会組織委員会は、包装や使い捨て容器利用の 削 減 など に つ い て 、ス ポン サ ー・ラ イセンシ ー・サ プ ラ イヤ ー・場 内 売場などと連携する。
「もったいない」の精神を世界に普及させる5R【発生抑制(Reduce)、再使用(Reuse)、再利用(Recycle)、エネルギー回収(RecoverEnergy)、都市の自然環境の再生(Restore the UrbanNature)】モデルを採用し、次世代を中心とした地域社会へのレガシーとして啓発し、意識の向上を図る。日本中の関係機関と協力し、この大会で得られる循環型社会の取組を、オリンピックレガシー委員会による監督のもと、大会開催後もレガシーとして活かしていく。
・発生抑制(Reduce)
既存会場の最大限の活用、新設会場の建設や大会運営における環境負荷の抑制、会場での使い捨て用品の使用抑制 等
・ 再使用(Reuse)
既存施設の継続利用、新設施設の長寿命化、会場・施設でリユース食器利用、仮設建築・資材の再利用徹底 等
・ 再利用(Recycle)
各会場共通の標識や案内といった分別の分かりやすい表示、リサイクル品やリサイクル材を利用した製品と最小限の包装といったグリーン購入・調達 等
・ エネルギーを回収(Recover Energy)
清掃工場の排熱利用や食品廃棄物からのバイオガス等エネルギーを回収、様々なリサイクル・再生施設を擁する「スーパーエコタウン事業」(既に運営中) 等
・ 都市の自然環境の再生(Restore the Urban Nature)
都市における緑地の創出、植栽プログラムの実施 等