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中間貯蔵施設 きょうから除染で出た土など搬入

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☆NHK「中間貯蔵施設 きょうから除染で出た土など搬入」より転載

中間貯蔵施設 きょうから除染で出た土など搬入 
NHK-2015/03/13

福島県内の除染で出た土などを保管する中間貯蔵施設への土など の搬入が震災の発生から4年を経て13日から始まります。今後、国は、難航している用地全体の確保に向けた地権者との交渉や、保管を始めてから30年以内 に完了するとしている県外での最終処分に向けた作業を着実に進められるかが課題となります。 政府は、東京電力福島第一原子力発電所の周辺の福島県双葉町と大熊町に、県内の除染で出た土などを保管する中間貯蔵施設を建設する計画で、先月、工事に着手しました。
搬入の開始については、震災の発生から4年となる今月11日を目指すとしていましたが、地元の要望を踏まえて延期し、13日から土などを一時的に受け入れる「保管場」への搬入が始まります。
環境省は、おおむね1年間は試験的な輸送として、43の市町村から1000立方メートルずつを施設に搬入する方針です。
中 間貯蔵施設は、16平方キロメートルの土地に、最大で東京ドーム18杯分に当たる2200万立方メートルの土などを搬入する計画ですが、今のところ搬入の めどが立っているのは2万立方メートルを受け入れる保管場だけで、用地全体の確保に向けた地権者との交渉が難航しています。
このため、仮置き場などでの一時保管が続いている土などの搬入完了や、施設の完成の時期は見通しが立っておらず、どのように地権者の理解を得て交渉を進められるかが課題となります。
また、政府は、保管が始まる13日から30年以内に福島県外で最終処分を完了する方針ですが、処分場の候補地の選定を含め具体的な工程は示されておらず、最終処分に向けた作業を着実に進められるかも大きな課題となります。 建設の経緯 中間貯蔵施設は、除染で出た大量の土などが、県内各地の仮置き場や住宅の庭先などで一時保管される状況が続くなか、県外で最終処分するまでの間、保管する施設として、政府が建設を計画しました。
去年3月、政府は、福島県大熊町と双葉町を建設予定地とする計画案を示し、2つの町の住民などを対象にした説明会を開くなど地元の了解に向けて調整を進めてきました。
さらに、用地の取得について地権者に土地の所有権を残すことを認めたり、地域振興などのため福島県や自治体に総額3010億円の交付を決めたりするなど、地元の要望を取り入れ、去年9月、当時の佐藤知事が建設を受け入れる考えを正式に表明しました。
中間貯蔵施設は、東京・渋谷区とほぼ同じ、およそ16平方キロメートルの土地に建設され、県内の除染で出た土などや、放射性物質の濃度が1キログラム当たり10万ベクレルを超える焼却灰などを保管します。
施 設には、搬入された土などの放射線量を測定して仕分ける「受入・分別施設」、搬入した土などにシートなどををかけて保管する「土壌貯蔵施設」、草木などを 燃やして容量を減らす「減容化施設」、放射性物質の濃度が高い焼却灰などをドラム缶などに密閉したうえで建屋で保管する「廃棄物貯蔵施設」などの施設が建 設されます。
13日に搬入が行われる「保管場」は、「受入・分別施設」に土などを持ち込むまでの間一時的に保管する施設で、早期の搬入を求める自治体や住民の声を受けて、先行して整備が進められています。
政府は、搬入された土などを保管が始まった13日から30年以内に福島県外で最終処分を完了する方針で、そのために必要な措置をとることが法律で定められています。 多くの課題 除染で出た土などの中間貯蔵施設への搬入が始まりますが、課題も多く残されています。
その1つは「用地の確保」です。
今のところまとまった用地が確保できているのは、土などを一時的に受け入れる「保管場」だけです。
しかし、ここで保管できる土などは2万立方メートルで、最大で2200万立方メートルとされている除染で出る土などの量全体のおよそ0.1%にとどまります。
環境省では、2300人以上に上るとする建設予定地の地権者と用地の確保に向けた交渉を進めていて、今月に入って初めて契約に至ったケースもあるということです。
一方で、地権者の中には、先祖代々の土地を手放したくないという人や、土地の補償額を巡って折り合いがつかない人もいて、用地の確保に向けた交渉は、長期化することが予想されています。
環境省は、搬入の作業と平行して、用地の確保ができたところから建設工事を進めることにしていますが、施設の完成や搬入の完了の時期は見通しが立っていません。
もう1つの課題は「最終処分場」です。
政府は、中間貯蔵施設で土などの保管を始めてから30年以内に福島県外で最終処分を完了する方針で、これを定めた法律が去年、施行されました。
法制化は、施設が事実上の最終処分場になるのではないかという地元の住民や自治体の懸念を受けたもので、搬入が始まった13日が、30年の期限の起点となります。
環境省は、福島県や双葉町、大熊町と結んだ協定の中で、最終処分場の候補地の選定や建設の時期などを記した工程表を作成し、毎年、進捗(しんちょく)を報告することとされています。
しかし、現時点で向こう30年のスケジュールは示されておらず、今後、どのように具体的な候補地を選定し、選ばれた候補地の地元の理解を得るかが大きな課題となります。
一方、環境省は、できるだけ最終処分の規模を小さくするため、施設で保管する土などのうち、時間がたったり、処理をしたりして、放射性物質の濃度が低くなったものを建設資材などとして再生利用する考えです。
しかし、除染で出た土などの再生利用については今のところ基準がなく、放射性物質の濃度がどの程度の水準なら使うことができるのかは、今後、幅広い議論が必要となります。 住民らは複雑な思い 13日から中間貯蔵施設に除染で出た土などの搬入が始まることについて、福島県いわき市の仮設住宅に避難している大熊町の住民からは複雑な思いが聞かれました。
施 設の予定地の中に住んでいた30代の男性は、「廃棄物は原発周辺で処理するしかないので、搬入はしかたないと思う。県外に搬出するというが、ほかの県で受 け入れてもらえるところはないと思うので、中間ではなく最終処分になるだろう。ふるさとに帰りたいが、子どももいるので、帰ることは諦めている」と話して いました。
予定地の近くに自宅がある30代の女性は、「中間貯蔵施設ができれば、町に帰れなくなる。ほかのところは廃棄物の受け入れが難しいと思うので最終処分場は双葉か大熊になると思う。戻りたいけど、戻れなくなるという思いです」と話していました。
施設の予定地の外に自宅がある60代の男性は「廃棄物をいつまで置いておくのかという問題があるので、中間貯蔵施設で処理しなければらない。早く処理を終えて、また住めるようにしてもらいたい」と話していました。          

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