☆図は、中日新聞「<エネルギー再考>生協も市場参入へ 電力の「安心・安全」を産直」より
■<エネルギー再考>生協も市場参入へ 電力の「安心・安全」を産直
中日新聞-2013/02/25
http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2013022502000136.html
安心・安全な電力を選んで、使う−。原発事故を機に、それを実現するための模索が生活協同組合で始まっている。鍵は長年培ってきた「産地直送」の発想。電力全面自由化をにらみ、市場への参入を目指す生協も現れた。 (三浦耕喜)
「もともと生協は低農薬の野菜など、コストや手間暇をかけてでも、安心できるものを届けてきた。その意味で電力も同じです」。パルシステム東京(東京都新宿区)の吉森弘子理事長は、四月に始まる再生可能エネルギー計画の基本理念に「産直」を据える。
パル東京の計画は、これまで東京電力から買っていた事業用電力の八割を、再生可能エネルギーで賄う内容。山形県村山市のバイオマス発電会社「やまがたグリーンパワー」社の電力を使う。同社では特産のサクランボ栽培で出る剪定(せんてい)材や林業の間伐材などを木材チップにし、ガスを抽出して燃料とする。年間の購入量は四百五十六万キロワット時で、事業で使う電力の77%を賄う見通しだ。
単に電力の供給元を大手電力会社以外の特定規模電気事業者(PPS)に切り替えただけなら、他に例は多い。だが、パル東京の取り組みで特徴的なのは、独自のPPS会社を立ち上げたことだ。
法律上、生協は電力事業に直接参入できない。そのため、パル東京は農産物を生産する子会社「うなかみの大地」(千葉県旭市)の業務にPPSを追加。最初の用途は自己消費だが、独自にPPS会社を持ったことで、パル東京は電力の小売市場に参入する糸口をつかんだ。
小売りの前提となる電力供給元も、小水力発電を中心に広げる計画。もともと産直事業で農村部に提携先が多く、農業用水などを用いる小水力を進めるには基盤もある。
供給先も、東京以外のグループ生協にも広げる考え。すでに医療機関から購入の問い合わせがあり、外部への売り込みも図る。
その先に狙うのは、一般家庭への配電だ。吉森氏は「電力が全面自由化になれば、約四十二万人の組合員や、それ以外の一般家庭にも販売していきたい」と言う。
現在の制度では、一般家庭向け電力は地域の大手電力会社が独占している。PPSの電力を選べるのは、契約電力五十キロワット以上の大口利用者のみだ。これについて、経済産業省の有識者会議は八日、家庭向けの電力販売を三年後をめどに全面自由化する方針を示した。家庭でも電力を選べる時代は近づいている。
吉森氏は「唱えるだけでは脱原発は実現しない。社会の中で動く仕組みをつくってこそ価値がある。事業が運動をつくり、運動がまた事業をつくるのです」と話している。
独自のPPSは持たないものの、他にも再生可能エネルギーを活用する動きもある。東京、神奈川、千葉、埼玉の各生活クラブ生協は共同事業で風力発電を用いている。季節や天候で増減はあるが、事業用電力の四割を賄うという。
日本生協連合会(東京都渋谷区)も、本州と九州にある七カ所の物流センターの屋根を利用して太陽光発電を順次展開。三月から本格的な発電に入る。発電量は年計四百十万キロワット時となる見通しで、地域の大手電力会社に売電する。
■<エネルギー再考>生協も市場参入へ 電力の「安心・安全」を産直
中日新聞-2013/02/25
http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2013022502000136.html
安心・安全な電力を選んで、使う−。原発事故を機に、それを実現するための模索が生活協同組合で始まっている。鍵は長年培ってきた「産地直送」の発想。電力全面自由化をにらみ、市場への参入を目指す生協も現れた。 (三浦耕喜)
「もともと生協は低農薬の野菜など、コストや手間暇をかけてでも、安心できるものを届けてきた。その意味で電力も同じです」。パルシステム東京(東京都新宿区)の吉森弘子理事長は、四月に始まる再生可能エネルギー計画の基本理念に「産直」を据える。
パル東京の計画は、これまで東京電力から買っていた事業用電力の八割を、再生可能エネルギーで賄う内容。山形県村山市のバイオマス発電会社「やまがたグリーンパワー」社の電力を使う。同社では特産のサクランボ栽培で出る剪定(せんてい)材や林業の間伐材などを木材チップにし、ガスを抽出して燃料とする。年間の購入量は四百五十六万キロワット時で、事業で使う電力の77%を賄う見通しだ。
単に電力の供給元を大手電力会社以外の特定規模電気事業者(PPS)に切り替えただけなら、他に例は多い。だが、パル東京の取り組みで特徴的なのは、独自のPPS会社を立ち上げたことだ。
法律上、生協は電力事業に直接参入できない。そのため、パル東京は農産物を生産する子会社「うなかみの大地」(千葉県旭市)の業務にPPSを追加。最初の用途は自己消費だが、独自にPPS会社を持ったことで、パル東京は電力の小売市場に参入する糸口をつかんだ。
小売りの前提となる電力供給元も、小水力発電を中心に広げる計画。もともと産直事業で農村部に提携先が多く、農業用水などを用いる小水力を進めるには基盤もある。
供給先も、東京以外のグループ生協にも広げる考え。すでに医療機関から購入の問い合わせがあり、外部への売り込みも図る。
その先に狙うのは、一般家庭への配電だ。吉森氏は「電力が全面自由化になれば、約四十二万人の組合員や、それ以外の一般家庭にも販売していきたい」と言う。
現在の制度では、一般家庭向け電力は地域の大手電力会社が独占している。PPSの電力を選べるのは、契約電力五十キロワット以上の大口利用者のみだ。これについて、経済産業省の有識者会議は八日、家庭向けの電力販売を三年後をめどに全面自由化する方針を示した。家庭でも電力を選べる時代は近づいている。
吉森氏は「唱えるだけでは脱原発は実現しない。社会の中で動く仕組みをつくってこそ価値がある。事業が運動をつくり、運動がまた事業をつくるのです」と話している。
独自のPPSは持たないものの、他にも再生可能エネルギーを活用する動きもある。東京、神奈川、千葉、埼玉の各生活クラブ生協は共同事業で風力発電を用いている。季節や天候で増減はあるが、事業用電力の四割を賄うという。
日本生協連合会(東京都渋谷区)も、本州と九州にある七カ所の物流センターの屋根を利用して太陽光発電を順次展開。三月から本格的な発電に入る。発電量は年計四百十万キロワット時となる見通しで、地域の大手電力会社に売電する。