私たちは繊維製品をエネルギーに変える技術を確立しました。その技術により、コットンからバイオエタノールというエネルギー資源が生まれます。使わなくなった繊維製品や着られなくなった衣類を捨てる前に、リサイクルについてもう一度考えてみませんか?
☆日本環境設計「コットンからバイオエタノールへ 今治第一工場」より転載
■ごみを集めて世界を変える「グーグル式」資源・燃料ベンチャー=日本環境設計 岩元美智彦代表インタビュー
ASCII.jp-2014/12/04
着なくなった洋服、古くなったぬいぐるみ。地球上にあるすべてのごみをバイオ燃料・資源に変え、ガソリン代わりに自動車を走らせる。ハリウッド映画「バック・トゥー・ザ・フューチャー」の名シーンを実現してみせる。
日本環境設計の岩元美智彦代表は、顔いっぱいに笑みを浮かべてそう話す。しかし眼差しは真剣だ。日本の技術ベンチャーが今、夢のようなエネルギー構想を実現までこぎつけている。
「日本国内の産業廃棄物は年間約4億トン、家庭ごみだけでも年間4500万トン出ている。家庭ごみをリサイクルするだけで、日本国内のプラスチック需要1000万トンをまかなえる」(岩元代表)
イオン、セブンも参加 国内最大のリサイクル事業
日本環境設計の設立は2007年。愛媛・今治にリサイクルプラント2基を抱え、繊維ごみ、プラスチックごみ、2種類のごみを資源に変えている。衣料品やタオルの繊維をバイオエタノールに変え、ボイラー燃料としてタオル染色工場に売るのが1つ。同じプラントで携帯電話などのプラスチックの再生油化も手がけている。
繊維製品、プラスチック製品、2種類の回収拠点は、イベント実施も含めれば全国900箇所を超える。セブン&アイ・ホールディングス、イオングループ、良品計画など54社と連携しており、参加企業はパタゴニアなどの衣料品メーカー、インクカートリッジ回収インフラを持つプリンターメーカーまで幅広い。
同社のプラスチック回収プロジェクト「PLA-PLUS」に参加した消費者は2013年時点で全国約40万人。創業7年、工場稼働5年でここまでの業績を築けた背景には、岩元代表が事業にかける並ならぬ思いがあった。
ごみが資源になれば日本は資源大国
岩元代表は大手繊維商社の元営業マン。扱っていたのはペットボトル由来の再生繊維だ。
1995年、容器包装リサイクル法が施行されたばかりの当時。営業の傍ら、再生繊維に関する研究を進めていくと、家庭ごみ、とくに衣料品のリサイクルがほぼ手つかずであることに気づかされた。
「日本はもちろん、米国も欧州もリサイクルが進んでいない。一般衣類だけで国内年間100万トン、カーテンなども含めた繊維製品全体だと200万トンのうち8割が埋め立て、焼却処分されている状態だった」
衣類のリサイクルといえば中古衣料の市場だけ。リサイクル市場には限界があり、埋め立てや燃えるごみとして焼却される量の方が圧倒的に多かった。自分たちが売っている繊維の問題だ、どうにかできないか。
目をつけたのは衣類の構成成分だ。綿(コットン)のほとんどはセルロースで構成されている。セルロースを糖に分解すれば、糖からバイオエタノールが抽出できる。当時、とうもろこしに含まれる糖からバイオエタノールが出来ることは知られていたが、燃料用の取引が進んだことで原料価格は高騰していた。
捨てられているごみを使えば、原料価格を抑え、高純度のエタノールが出来るはずだ。日本は資源に乏しいと言われるが、ごみも資源と考えれば立派な資源大国ではないか。
繊維のリサイクル事業をやらせてほしい。そう上司に訴えてみたが、「寝ぼけたこと言わんと繊維売ってこい」と足蹴にされた。あきらめるわけにはいかない。独立を決意したのは42歳のときだった。
続き~