食品安全関係情報詳細 資料日付 2014(平成26)年10月31日
■オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)、オランダにおける食品からのダイオキシンによる暴露に関する2014年の報告書を発表
オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)は10月31日、オランダにおける食品からのダイオキシンによる暴露に関する報告書を発表した。
1. 2014年に算出した摂取量
基準値を超えなかったので、オランダにおける食品からのダイオキシンによる暴露はもはや公衆衛生のリスクではない。主な曝露源は引き続き牛乳、肉(特に牛肉)、植物油、脂肪である。
暴露量の減少は、この数十年の食事中のダイオキシン濃度が減少したことによる。食品中のダイオキシン濃度はこれ以上下がることはない限界に達していると考えられる。食事パターンの変化も暴露量の減少に寄与している。ダイオキシンは食品の脂肪成分に含まれているが、摂取者は脂肪含量の少ない食品をだんだんと選択するようになっている。しかし、摂取量が許容できるレベルであるか確認し、偶発的な高レベルのダイオキシンの食品への混入を検出するために、食品中のダイオキシンレベルの検査を継続することは重要である。
実際の摂取量は本報告書の摂取量より低い可能性がある。植物油と脂肪について、10年前の濃度データが評価に使用された。動物由来食品中のダイオキシン濃度が減少し、トータルのダイオキシン暴露に関わる植物油と脂肪の割合が増えたことから、最近のデータから算出すると、さらに推定暴露量は低くなるだろう。また調理中にダイオキシン濃度が減少すると示されている。
2.オランダにおける食品からのダイオキシンによる暴露算出方法
オランダ全国食品摂取量調査(DNFCS)の食品摂取データと入手可能な最も新しい食品中ダイオキシン濃度データを用いた。計算された摂取量はダイオキシンの健康基準値と比較された。この基準値は人々が健康被害を受けないで生涯を過ごす間に平均的に暴露される物質の量を基本にしている。
食品摂取データはDNFCSから、2~6歳については2005~2006年のデータ、7~69歳については2007~2010年のデータを用いた。
ダイオキシンによる暴露量は年齢とともに減少している。中央値は2歳について1.0 pgTEQ/kg体重/日、7~69歳については0.5 pgTEQ/kg体重/日であった。99パーセンタイルは各々、2.0、1.3 pgTEQ/kg体重/日である。
3.過去の暴露量報告との比較
2014年の報告書による暴露量の結果を、2009年に発表された2~6歳のデータ、2008年に発表された1~97歳のデータと比較した。99パーセンタイルを見ると、今回の暴露量は過去に報告された暴露量に比べ減少していた。2~6歳の値(2009年報告)は今回の値の1.5倍である。1~97歳の値(2008年報告)は今回の7~69歳の値の2倍である。(訳注:報告書中の参考文献(Regulatory Toxicology and Pharmacology Vol.51,pp.278~287,2008)に基づいて、中央値で今回の暴露量を2008年のデータ比べると、2008年が0.9pgTEQ/kg体重/日であるのに対して今回が0.5pgTEQ/kg体重/日なので、2008年は今回の1.8倍である。)
報告書(42ページ、英語)は以下のURLから入手可能。
http://www.rivm.nl/dsresource?objectid=rivmp:264042&type=org&disposition=inline&ns_nc=1
注:TEQ(toxoc equivalent) 毒性の強さを加味したダイオキシン量の単位
日本も、食品からのダイオキシン類摂取量推計は年々減少していることになっている。
平成25年度における食品からのダイオキシン類の一日摂取量(推計)は、
0.58 pg TEQ/kg bw/ 日 ( 0.18 ~0.97 pg TEQ/kg bw/ 日)
日本における耐容一日摂取量(TDI) 4 pg TEQ/kg bw/日
日本には飼料や食品にダイオキシン基準値はない。
【WHO】(1998年の評価)TDI(暫定)1-4 pgTEQ/kg bw*4pg/kgbwを当面の最大耐容摂取量とし、
究極的な目標として1 pg/kgbw未満まで摂取量を削減するよう勧告した。(WHO, 1998)
【米国】RfD(一日当たりの経口摂取での参照量)0.7 pgTEQ/kg bw/da
EUでは、飼料・食品のダイオキシン規制あり
○食品中の最大基準値(EU規制)
○調査・対策開始の目安となる食品中のアクションレベル(EU勧告)
○飼料中の最大基準値及びアクションレベル(EU指令)(飼料中の最大基準値)
カネミ油症後も、食品にダイオキシン規制のない日本、
一方、EU諸国では、飼料・食品に個別規制があるので、飼料経由の鶏肉・鶏卵・豚肉などのダイオキシン汚染も発覚する。
日本でも、大気へのダイオキシン類排出は極減少傾向ではあれ、これまで排出の 食物連鎖、生物濃縮、
特定施設の事故や事件はあとを絶たない。化学物質の漏洩や爆発事故も度々起きている、
何が起きても、「直ちに影響はありません」の事なかれ主義の日本
ダイオキシン類も、例え、個別に高い数値の食品があったとしても、規制がないのでフリーパス。例え、高い値の食品であれ、
4 pg TEQ/kg bw/日を超えようと、生涯にわたってトータルで考えれば問題なしとする日本。
カネミ油症問題は何ら教訓となっていない。そういう考え方が、今の国の放射能対策にも顕著にでている。
参考 (c) 農林水産省 更新日:2014年2月14日
●食品安全に関するリスクプロファイルシート(化学物質)
基準値やリスク管理、日本ない海外の食品規制値なども一覧表で
例えば、【EU】
○食品中の最大基準値(EU規則)
○調査・対策開始の目安となる食品中のアクションレベル(EU勧告)
○飼料中の最大基準値及びアクションレベル (EU指令)
(飼料中の最大基準値)
(調査・対策開始の目安となる飼料中のアクションレベル)
☆国内の汚染実態の報告もあり(食品別ダイオキシン類濃度)
関連(本ブログ)
■平成25年度食品からのダイオキシン類一日摂取量調査等の調査結果について(2014年10月23日)
■日本には食品基準がない「ダイオキシン摂取の削減に関する質問書」政府交渉(2014年09月19日)